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異世界に来たけど、生活魔法しか使えません  作者: 梨香
第六章 中等科二年春学期

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夏休み前のクラブ

 ナシウスの優秀な成績発表も見終わったから、マーガレット部長に音楽クラブにドナドナされる。卒業は後押ししてくれたのに、音楽クラブは秋学期も所属なのかな?


 アルバート元部長とマーガレット新部長から、夏休みの間に新曲と苦手な楽器の練習をするように二重に注意されて、解放された。

 アルバートは部長をマーガレット王女に譲っても、秋学期もクラブ活動をする気満々だね。収穫祭も演奏していたりして? 私は、卒業するのだから、パーシバルと一緒に見学するつもりだ。


「アンジェラ、新曲を作る時、相談にのるよ」

 おお、サミュエルがアンジェラに親切にしている。好きだと、丸わかりだよ! アオハルだね。


 そうだ、アンジェラに質問があったのだ。

「アンジェラは、夏の離宮に行かなくて良いの?」

 少し困った顔をして、実は遊びに来るようにと言われているのだと答える。


「お母様は、とても喜んでいるのですが、少し気が重たくて……ジェーン様だけなら良いのですが……」

 それは、そうだと思う。煌びやかな王族大集結だもの。


「きっと、他の王族の方々が帰国されてからだと思いますわ」

 慰めておくけど、他人事じゃないよ。

 ただ、新領主の忙しい最中、女性騎士の合宿を引き受けたのだから、私は免除して欲しい。


 サミュエルが、少し遠慮がちに口を開いた。

「今年の夏休みは、客が次々と来るみたいだ。ナシウスは、秋学期が終わったら、中等科に飛び級するのだろう? ダニエル達も、初等科よりも中等科の方が面白い授業が多いから、飛び級したいと言っているのだ……」


 了解だよ! 去年は、ノースコートに招待してくれたんだからね。感謝しているんだ。


「ええ、ナシウスと一緒に勉強したら良いと思うわ。勿論、サミュエルが居た方が良いお客様がいらしている時は、接待しないと駄目よ」

 

 この点は、ノースコート伯爵夫妻は、よく考えておられるから、将来、サミュエルの役に立ちそうな客人の相手はさせそう。


「良かった! ずっと客の相手ばかりだと、勉強する気にならないかもと心配だったのだ」

 サミュエルは、見張りや、一緒に勉強する相手がいないと、サボりそうな自分が不安なのだろう。


 それは、少し分かるよ。グレンジャー家は、学問の家系だからか、ペイシェンスもナシウスもヘンリーも地頭が良いし、勉強を苦にしないんだ。


「伯母様の許可が出たら、泊まりに来ると良いわ」

「感謝する!」

 ここまでは可愛いかったのに、私に乗馬とリュートの練習をした方が良いとアドバイスするのは、余計なお世話だと思う。

 人って、本当の事を言われると、腹が立つね。


 音楽クラブから、錬金術クラブへ急ぐ。

 こちらは、カエサル部長からベンジャミン新部長となったけど、相変わらず『鍵は、バーンズ商会のパウエル支配人に預けてあるから、いつでも錬金術クラブに通えるぞ』だってさ。

 その上、二人とも「八月の初めには、王都に戻るので、毎日、錬金術クラブを開けておく」なんて、良いのかな? 領地管理を習わないといけないのでは?

 カエサルも部長をベンジャミンに譲ったけど、秋学期も錬金術クラブに日参しそうだね。


 これで解散かなと思ったけど、少し雑談タイムになった。

「去年の錬金術クラブの合宿が懐かしいな」

 えっ、ベンジャミン、今年は無理だからね!

「そうだな……でも、アンドリューが変な事を口にしていたのだけど?」

 ブライス? アンドリューはいつも変な事を口にするんだよ! 危険だ!


「そろそろ、メアリーが寮に来る時間ですわ。ご機嫌よう!」

 逃げようとしたけど、ベンジャミンは勘が良い。手を伸ばして、逃げ道を阻む。獅子丸のくせに!


「ブライス、アンドリューが何を言っていたのだ?」

 ああ、言わないで! 願いは叶わない。

「魔法合宿をペイシェンスの領地でするとか? 彼奴を招待なんかしないよな?」

 

 魔法クラブと錬金術クラブは、あまり仲が良くない。特にアンドリューとはね!


「ああ、そう言えば、三年生なのにルーシー様が新部長になったと聞きましたわ。ベンジャミン様、何かしたのではないですか?」

 これ、聞きたかったんだ。話を逸らすつもりじゃないよ。


「えっ、魔法合宿!?」

 ルーシー新部長の件は、スルーしたのに、魔法合宿は全員が注目するんだね。

 ああ、クラリッサに説明しなきゃ。男子学生と一緒に夏休みを過ごすなんて、昔風の考えの保護者には受け入れて貰えないだろうから。


「魔法クラブのルーシー様とアイラ様が夏休みに私の領地に遊びに来られるのよ」

 魔法合宿だなんて言ったら、錬金術合宿もしたいと駄々を捏ねそうだからね。約二人!


 クラリッサは、中等科の女学生が二人増えようと問題はなさそう。エドも説明を聞いて、頷いている。良かった! 秘書は必要なんだ!


「ナシウス? 歴史研究クラブの合宿はどうなったのだ?」

 ベンジャミン! 歴史研究クラブは、錬金術クラブとは無関係じゃん。


「お姉様がグレンジャー館で合宿しても良いと許可して下さいました」

 ふぅ、ナシウスは、良い子だよ。ベンジャミンは、領地でもっと過ごした方が良いと思うな。カエサル様もね!


「そうか、ペイシェンスの領地には、ハープシャー館とグレンジャー館があるのだな。ふむ、ふむ」

 嫌な予感! これ以上は、本当に無理だからね。


「あのう、ベンジャミン部長、今年は騎士合宿もありますし、ロマノ大学の教授や学生も多く滞在しますから、無理だと思います」


 おお、ナシウス! お姉ちゃん、感激したよ。NOと言える子に育ったんだね。

 現実逃避していたけど、ベンジャミンが獅子丸になって「ロマノ大学の学生を泊めるぐらいなら、錬金術クラブの合宿をしよう!」と騒いでいる。


「ベンジャミン! ペイシェンスは、新領地の開発の為にロマノ大学の教授や学生を招待するのだぞ。駄々を捏ねても無駄だ」

 パチパチパチ! やはりカエサル部長は、頼りになるね。なんて、考えていた私は、馬鹿だよ。


「寮まで送って行こう」

 あれっ? こういうのって、ブライスがいつもしてくれていたんだけど? 偽手紙の事件から、パーシバルがエスコートしない時は、誰かが寮まで送ってくれるんだ。


 今日は、ナシウスで良かったんじゃないの? まぁ、初等科のメンバーとわちゃわちゃ話しているのも楽しそうだから、お姉ちゃんは邪魔しないけどね。


「魔法合宿は、もしかしてゲイツ様の考えなのか? 騎士合宿は意味がわからないが……ゲイツ様の考えは、凡人の私には理解できなくても当然か? もしかして、南の大陸の竜が活発になっている件なのか?」


 わぁ、カエサル様に、鎌をかけられている。ブロッサム公爵も気に病んでいたけど、バーンズ公爵も情報を得て、心配しているのかも。

 やはり、公爵家はローレンス王国の元王族だけあるね。ラフォーレ公爵は、少女歌劇団に夢中で、気にしていないだろうけど、その代わりにチャールズ様がチェックしていそう。弟のアルバートは竜より音楽だからね。一人苦労していそう!


 カエサル様に色々と相談に乗って欲しいけど、言って良いのかわからない。パーシバルは、婚約者だから、一蓮托生の運命なんだ。

 でも、カエサル様は違う。少し、胸がズキンとした。

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― 新着の感想 ―
[一言] なんだかんだと領地でも錬金術で作らないといけない物がありそうなペイシェンス。国家機密案件でも錬金術クラブ中等科は大丈夫な気がするからペイシェンスの手伝いにはなりそうな気がする。ゲイツさんとだ…
[気になる点] ナシウス君のことだから修了証書をたくさん取ったのかな?と楽しみにしていましたが、記述があまりなくて残念です。
[一言] でも、宿がなかったら、断れるからな~
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