表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界に来たけど、生活魔法しか使えません  作者: 梨香
第六章 中等科二年春学期

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

544/761

パーシバルとタッグを組もう

 キャリーに「なるべく早くいらしてください」と手紙を届けてもらったので、パーシバルはすぐに来てくれた。


「急にお呼びだてして、申し訳ありません。この手紙を読んで下さい」


 パーシバルにゲイツ様からの手紙を差し出す。


「えっ、竜ですか!」

 パーシバルも先ずはそこで驚く。読み進めて、今すぐの話ではないとわかって、安堵の息を漏らした。


「本当にゲイツ様ときたら、先制攻撃が激しいのです」

 これを最初に書いたのは、私を脅すつもりかな?


「でも、これは考えないといけないことですよ」

 それは、その通りだけど……竜が来るかどうかは不明なんだよね。来るかも? 来ないかも?


 パーシバルは、来る可能性があるなら、その脅威に備えなくてはいけないと顔を引き締める。


「パーシー様! 備える必要はあるでしょうが、それを私の領地で夏休みにするのは如何でしょう?」


 パーシバルは、ハッと思考の渦から醒めた顔をした。

「そうですね。これは、王宮魔法師としての仕事です」

 そう、そう! 魔法省や騎士団が対応策を考えて欲しい。


 二枚目のエクセルシウス・ファブリカ案件の話は、パーシバルはううむと唸ってしまう。


「これも国の機密案件だと思いますわ」


「ああ、そうですよね! つい、太陽光から魔素を取り出して、魔石の代わりに使えたらと考え込んでしまいました」

 

 確かに、エネルギー革命になりそうなんだよね。飛行艇に使うのは、軍事利用になりそうだけど、街灯とかに使いたいのも本音。


「これをペイシェンスは作れそうなのですか?」


「まさか! 私は作れそうにありませんわ。だから、王宮魔法師のゲイツ様が作られたら良いと思うのです」


 パーシバルが疑わしそうな目で私を見ている。


「でも、ペイシェンスは、ゲイツ様も作れなかった浄化の魔法陣を描いたのですよね?」


 うっ、それはチートだよ。

「凄く魔力を使って、気絶してしまいましたの」

 パーシバルが、急速冷凍の魔法陣を描いた時を思い出して、反省した。


「それは、心無いことを言いました」


 ゲイツ様は、もしかして、それを期待しているのかもしれないけど、紙に魔法陣を描いただけでも大変だったのに、ソーラーシステムなんか無理だよ。


「これは、拒否しましょう!」

 パーシバルは、私を抱き寄せて宣言した。

「コホン!」

 えっ、メアリーがいつの間にか、キャリーと交代している。

 ゲイツ様に返事を届けて、直ぐに帰って来たんだ。少しはサボれば良いのにね。


「ああ、ルーシー様は三年生でしたね。私とは違うクラスですし、魔法使いコースの方とは知り合いが少ないので、うっかりとしていました」

 魔法使いコースは、カエサルとアーサーぐらいしかパーシバルは、知らないそうだ。


 まぁ、元々は騎士コースだしね。あれっ? 今までの魔法クラブの部長は誰だったのかな? アンドリューが偉そうにしていたけど?


「魔法クラブの元部長は……名前は分かりますが、顔を思い出せません。部長会にもアンドリューが代理で出席していましたし」

 つまり、アンドリューが次期部長どころか、実際的に部長だったんだ。


「それなのに、卒業間近のルーシー様が部長で良いのでしょうか?」

 私の疑問に、パーシバルは肩を竦める。

「魔法クラブが、アンドリューよりルーシー様を選んだのだから、それは問題ありません。卒業後は、また選挙をすれば良いだけでしょう」


 ふうん? そんな感じなの? 音楽クラブや錬金術クラブは、選挙はなかったけど、自然と決まったから不思議。


「多分ですが……ルーシー様がアンドリューに魔法決闘を申し込み、勝ったのではないでしょうか?」


 うっ! 私も決闘をルーシーに申し込まれたよ。


「騎士クラブもそういった決め方ですか?」

 決闘とか血の気が多いよ!


「いえ、実力は無視できませんが、立候補して投票で決めています」

 パーシバルは、実力は問題ないけど、文官コースに変わるから立候補しなかったんだね。


「そうか、アイラ様はこのままではアンドリュー様に勝てないのですね」

 ふぅ、単なる魔法合宿だと思っていたけど、魔法クラブの新部長を決める為なのかな? アンドリューが新部長になったら、錬金術クラブと揉めそうで嫌なんだよね。


「ペイシェンス! ゲイツ様のワナに掛かっていますよ」


 うっ、その通りだ。これも、私の領地で夏休みにしなくはいけないことじゃない。


「ふぅ、アルーシュ王子は夏の離宮に招待されているし、魔法合宿はなしですよね!」


 これで安心して、パーシバルと弟達と夏休みを過ごせるよ!


「他国の王族を夏の離宮に招待するのは、最初の二週間ですよね? その間、陛下も一緒でしょうが……王都に先に戻られるのでは?」


 いつも忙しそうな国王陛下だ。その留守の間は、ゲイツ様が王都に残っている筈。


「えっ、もしかして……」

 嫌な予感がして口を噤む。パーシバルも同じ考えみたいで、口を閉ざしている。


「一つ、一つは、論破できますが、全てを絡めてこられると拙いですね」

 そうなんだよね! 竜の件も、太陽光蓄魔器も、魔法合宿中も、全てローレンス王国の将来の防衛に関連してくる。


「ルーシー様とアイラ様だけなら、良いのですけど……指導とまで言えるかどうか不安ですが、手ほどきぐらいはしても良いです。それに領地の開発のお手伝いをして貰っても良いし」

 女の子の友だちは少ないから、その手助けはしてあげたい。


「ペイシェンス、それもゲイツ様の手ですよ」


 そうなんだよね! パーシバルの言葉で、溜息が出ちゃう。


「二人でタッグを組んで、ゲイツ様の罠から逃れましょう!」

 パーシバルと手を取り合って、気合を入れる。メアリーが隅の椅子で呆れているよ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] みんなペイシェンスの魔法で解決しそう! (*´ω`*) [気になる点] ゲイツ様々は策士だね! (^^) [一言] 問題が山積み!ペイシェンス頑張って (๑•̀ㅂ•́)و✧
[一言] 領主なんだから領地の仕事を優先したいよね。 婚約者も居るんだし。
[一言] いつも楽しく拝見しております。 私は途中までカエサル派として読んでいたのですが、こうしてパーシヴァルがペイシェンスと一緒に、彼女の気持ちに寄り添って色んなことに立ち向かってくれるので、本当に…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ