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異世界に来たけど、生活魔法しか使えません  作者: 梨香
第六章 中等科二年春学期

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ご機嫌なゲイツ様は怖い!

 お昼までにノースコートに着いた。

「ゲイツ様のご機嫌が悪くないと良いのですが……」

 パーシバルもやはり心配なのかな?

「エバにゲイツ様の好物を作って貰っているのですが……」

 何とはなく小声で話しちゃう。ただ、話し合いがいつまで続くか分からないから、軽食っぽいメニューになっちゃうんだよね。


「昼から、どうしますか?」

 話し合いは続いている様なので、パーシバルと昼からの予定を考える。

「ゲイツ様は、昼からもお話し合いかしら?」

 逃げそうな予感がするけどね。

「さぁ、まだ冷凍車に余裕があるなら、マッドクラブ狩りをしても良いですね。母からも頼まれているのです」

 それは、良いお土産になりそう!

「それと、雲丹の瓶詰めも!」

 かなり父親も気に入っているみたいだからね。

「乾物も買いたいですね!」

 パーシバルも私と婚約して、食いしん坊になったのかもね。


 ノースコート伯爵は、話し合いに参加していない。ブロッサム公爵に遠慮したのかな?

「私がコルドバ王国の元提督と密談だなんて、洒落にならないよ」

 私の視線に気づいたのか、伯父様が笑う。

「では、この話し合いは、ご迷惑なのでは?」

 私にゲイツ様が付き添うのを見越して、ブロッサム公爵とグラント元提督が決めたのなら、やはり気になる。

「いや、ブロッサム公爵は先代の王宮魔法師、マグナム様と親友だったから、ゲイツ様に悪い様にはされないだろう」

 年頃としては同じぐらいなのかな? マグナム様が金の内装が好きだったとしか知らないけどね。


 少しお昼を回った頃、長い話し合いが終わったみたい。機嫌が悪いんじゃ無いかなと、少しビクビクしていたけど、上機嫌だった。

 余計に怖くなって、隣に座っているパーシバルの手を握っちゃった。


「ノースコート伯爵夫人、お昼を遅らせてしまったのではないでしょうか?」

 ブロッサム公爵は、礼儀正しくしているし、グラント元提督も笑顔をキープしている。

「いえ、では昼食にしましょう。時間が分からなかったから、軽食になりましたけど……」

 何だか、薄い氷の上を歩いている様な気分になったよ。


「やはり、ペイシェンス様の料理人は凄いです。私の好きな味ばかりですね」

 それは、機嫌が悪いだろうと思って、ゲイツ様の好物を作らせたからだよ。このテンションの高さ、何故なの?

 蟹の内子のスープとゲイツ様が大好きなサンドイッチ、それとエビフライ。

 軽いランチだけど、どれも美味しい! 特にサンドイッチは男性陣に好評で、お代わりしている。

 デザートはアイスクリームクレープのチョコレートソース掛けだ。

 エバのこれでもかっ! って言うほどのゲイツ様の好物を重ねたデザートだ。


「これは美味しいですね! お代わりをお願いします」

 やけ食いじゃなければ良いけど……。何とか昼食が終わったので、私はパーシバルとマッドクラブ狩りに行きたい。

 ただ、この上機嫌なゲイツ様をどうしたら良いのだろう。


「ペイシェンス様、昼からはどうされるのですか? パーシバルと遺跡見物とか?」

 ふぅ、正直に言うしかないね。

「冷凍庫にはまだ積めますから、マッドクラブを狩りたいと思っています」

「おお、それは良いですね。ヘンドリック・ラドリーにも贈りますから、私に余分に下さい」

 これって、前に王妃様にチョコレートを渡すから二箱欲しいと言って、自分が食べたのと同じにならないかな?

 私の微妙な顔にゲイツ様が抗議する。

「ペイシェンス様! いつまでチョコレート一箱の事に拘っているのです。あれは、偶々、王妃様にお会いする機会が無くて、疲れた時につい食べてしまっただけですよ」

 普通、王妃様宛の物を食べたりしないよね!

 見知らぬ方に冷凍とはいえ、生物を贈るのはちょっと遠慮した方が良いから、今回はゲイツ様を信じる事にする。


 馬の王(メアラス)でグレンジャー海岸まで行く。馬車は後から持って来て貰う。

「ゲイツ様……」どう聞けば良いのか躊躇しちゃう。もしかして国家機密なら聞いてはいけないのかもしれないしね。


「ああ、リヴァイアサンの討伐を手伝う事になりそうです。まぁ、コルドバ王国から正式に協力要請があり、それを陛下がお認めになればですけどね」

 パーシバルが、馬の王(メアラス)の手綱をギュッと掴んだ。これって外務省も巻き込む話だよね。

「これで魔石の関税もかなり抑えられるでしょう。モラン外務大臣には頑張って貰わなくてはね!」

 リチャード王子とリュミエラ王女の縁談でも、魔石の関税引き下げが条件の一つになっていると聞いたけど、これでより強気な交渉になるのかも?


「ゲイツ様、リヴァイアサン討伐だなんて、危険なのでは?」

 フッとゲイツ様は笑う。

「あんな水蛇なんか、大した事はありません。でも、肉が美味しいとグラント元提督に聞いて、やる気になりました。素材も貰えるそうですし、ペイシェンス様も一緒に討伐しませんか?」

 いや、それはお断りしておく。パーシバルも「駄目です!」と怒っている。


「まぁ、まだペイシェンス様を外国に出すのは難しいから、今回はサリンジャーを連れて行きますよ。リヴァイアサンの肉を持って帰るので、美味しい料理を期待しています」

 リヴァイアサン、海蛇なの? あまり食べたいとは思わないけど……。

「どんな系統なのかしら? グラント元提督は美味しいと言われたのだから、食べられたのよね?」

 それは、ゲイツ様が詳しく聞いていた。

「どちらかというと火食い鳥(カセウェアリー)に似た食感だそうです。でも、脂が乗っていて、全く別物だと言っていました。それに、リヴァイアサンの皮は、魔法防衛が強いから、防具に良いですよ」

 魔法防衛が強いなら、魔法使いのゲイツ様は不利じゃ無いの?


「心配しなくても、魔法防衛より強い魔法で攻撃したら良いだけです。リヴァイアサンは水属性なので、火の魔法や雷系に弱いから簡単ですよ」

 でも、やはり心配だ。

「ゲイツ様とサリンジャー様のマントに守護魔法の刺繍をさせて下さい。これまで、魔法の訓練をして下さったお礼です」

 パーシバルも「そうしたら良い」と同意してくれた。


「ペイシェンス様が私の婚約者なら良かったのですが……まぁ、効果は友達でも一緒でしょう。サリンジャーも喜ぶと思いますよ」

 サリンジャーさんは、できたら行きたくないのでは?

「ただ問題は、ペイシェンス様の魔法訓練が遅れてしまう事ですね」

 それは、まぁ、良いんじゃない? 

「南の大陸の竜については、アルーシュ王子に訊いておきますわ。わざわざ、ローレンス王国まで留学されたのは、魔法を習う為みたいですから」


 ゲイツ様が少し考えて笑う。

「それなら、アルーシュ王子に少し魔法の訓練をしてあげても良いですね」

「良いのですか?」

 パーシバルが驚いている。

「バラク王国は、エステナ教ではありませんし、竜の繁殖期が近づいているなら、強化しておいた方が良いでしょう。それに、彼は留学生だから、来年はロマノ大学に入学するのでは? ペイシェンス様と一緒に魔法学科で学べば良いのです」

 うっ、私は領地管理のザッカーマン教授を指導教授に選んだんだけど……まぁ、リヴァイアサン討伐が終わってから話そう!

 

 マッドクラブを二匹討伐して、解体して貰って急速冷凍した。雲丹は、取れたてのを買って、瓶詰めにしたよ。

 明日は、ロマノに帰るけど、リヴァイアサン討伐だなんて、本当に大丈夫なのかな?

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― 新着の感想 ―
[一言] 龍の子とかでてこないかなあと思ってたら、 神を除いて最強ですか
[気になる点] 弟が遺跡で下に落ちた時に引き寄せて助けた事の応用で魔物や魔獣の脳や心臓を引き寄越せば簡単に討伐できるのかなって思った 脳や心臓が無くなればどんなに強い魔物や魔獣でも生命活動が停止するだ…
[一言] ゲイツ氏は癖の強い男ですが、ペイシェンスの強力な庇護者の一人でもありますから、危険な魔物の討伐に赴かなければいけないのならマントの刺繍もやむなしですね(*´・ω・`)b ゲイツ氏が不在の間は…
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