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異世界に来たけど、生活魔法しか使えません  作者: 梨香
第六章 中等科二年春学期
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新学期が始まった

 中等科二年生になった。ナシウスは入学式だ。パーシバルは、学生会長として、挨拶する。新入生代表は、ジェーン王女だ。王族ってやっぱり大変だね。

 私は、裁縫の問題をキャメロン先生と話し合いたいけど、先ずはホームルームだよ。


 やった! 去年の持ち上がりのケプナー先生が担任だ。

「君たちも気づいていると思うが、成績不良の学生はBクラスに落ちる。だから、頑張って勉学に励んで欲しい」

 ハリエットとリリーナだけでなく、騎士コースからも二人落ちたみたい。

 ふぅ、それってリュミエラ王女、パリス王子、アルーシュ王子とザッシュが留学したからかな? ほぼ30人の1クラスだけど、学年によっては微妙に違う気もするよ。

「兎に角、成績に不安があるなら、早めに相談に来て欲しい! 補習授業を受けるとか、弱い点を補強する相談に乗るから。それと、そろそろ卒業の単位を取る相談にも乗るぞ。留年などしないようにしないとな!」

 ああ、ケプナー先生にハリエットやリリーナは相談に行ったのだろうか? 多分、行かなかったんだろうね。春学期の成績が悪かったなら、秋学期に社交界デビューなんかしないで勉強するべきだったんだよ。

 ハリエットは父親が男爵に降爵したからだと騒いだみたいだけど、成績次第では男爵家の学生もAクラスに入れるからね。


「ペイシェンスは時間割は決めているの?」

 マーガレット王女に質問されたから、時間割を書いた紙を見せる。


月曜

火曜 国際法2 経営学3 染色3 音

水曜 経済学3 外交学3 織物3

木曜 外交学3 第二外国語2 (魔法訓練)音

金曜


 魔法訓練は、まだゲイツ様に連絡していないけどね。後、領地管理はパーシバルが教科書を貰ってくれたので、暗記しちゃった。教科書を読むだけの授業なら、とりたくないからパス。

 月曜と金曜は、領地に行かない時は錬金術クラブデーだね。それか、馬の王(メアラス)とヘンリーと過ごしても良いのだ。


「まぁ、本当に今年で単位は全部習得できるのね」

 そうなんだよね。卒業しようと思えば、できるんだ。

「ロマノ大学で何を学ぶのか決まっていませんから」

 そう、それが問題! この一年、というか春学期で決めないといけない。


 マーガレット王女達は、授業だから、私はキャメロン先生と話し合いだよ。前もって手紙で面会の許可を得ている。

「ペイシェンス! よく来てくれたわ」

 ミシンが二台届いているけど、まだ使い方はマスターできていないみたい。何とか、キャメロン先生は糸を通したりはしていたけどね。

「助手の方にもミシンの使い方を教えますね」

 いらない布で練習する。ミシン糸はまだ黒と白ぐらいしかないんだよね。捻りが反対だからさ。後は個別で対応! 少しずつ色を増やして貰っている。メイド服は、黒! シャツやシーツは白!

 皆、ミシンの使い方をマスターするのは早い。


「先生、裁縫を週に5時間は多すぎますわ」

 それはキャメロン先生も同感みたい。

「ええ、だから今年からは基本のドレスの形をこちらで選ぶ事にしました。それと、まっすぐな線は助手にミシンで縫わせますわ」

 裾は、縫わない糊もあるし、それなら何とか週2回か3回でいけるんじゃないかな?

「ただ、ミシンはもっと欲しいですわ」

「まだ部品を錬金術で作って、それを組み立てている状態ですから。そのうち、部品を大量に生産できるようになれば、安価になると思います」

「そうなると嬉しいのですが」

 自転車も、やっと春頃から大量生産ができるようになるそうだ。ミシンも来年ぐらいかな? とはいえ、まだ当分は高価だろうけどね。


 午前中は、裁縫教室と錬金術クラブに顔を出すつもりだった。体験コーナーの準備もあるからね。

 でも、助手にミシンの使い方を教えているうちに、中途半端な時間になっちゃったんだよね。

「錬金術クラブに行っても、すぐに昼食の時間になるし……パーシー様は上級食堂(サロン)にいらっしゃるかしら?」

 半分期待せずに行ったら、パーシバルがいた。

「ペイシェンス! やはり来ましたね」

 パーシバルも月曜と金曜は空けているからね。冬休みは、毎日馬の王(メアラス)の運動の為に来てくれていたから、会う時間があったのに、昨日はお互いにバタバタしてて夕食の時にしか話せなかったから、嬉しい!


 二人でお茶を飲みながら、話し合う。

「ナシウスが気になるのだけど、やはり男子寮だから会う機会が無いわ。パーシー様は、入学式で挨拶したのでしょう? どんな感じでしたか?」

 まるで初めての子を入学させた過保護のママみたいだよ。

「私は普通に挨拶しました……学園長のお話は少し長かったですね。あっ、ジェーン王女の挨拶は少し変わっていました」

 学園長の話が長いのは知っているけど、ジェーン王女は何を話したのかな?

「騎士コースを選択したいと言われていましたよ」

 ああ、それは……王妃様は頭が痛そう。まぁ、ジェーン王女の側仕えはアンジェラなんだから、私はアンジェラの様子を見ておこう。

「もしかして、家政科ではなく体育を選択されるのかしら?」

 私は体育より家政科の方が楽で良いと思ったのだけどね。

「騎士コースを選択する女学生も初等科は、家政科を親から強制的に選択させられる事が多いですが……ユージーヌ卿が家政科をしている姿は想像できませんね」

「あら? でも卒業されたカミラ様とアリエット様は初等科は家政科だったそうですわ。ずっと単位が取れなくて、最終学年まで掛かったみたいですけど」

 パーシバルは、この二人はよく知っているみたいなので、プッと噴き出した。


 こんな噂話でもパーシバルとゆっくり話せるのは嬉しいな! なんて思っていたら、キース王子とラルフとヒューゴ、そしてオーディン王子がやってきた。

「おお、ペイシェンス! 馬の王(メアラス)は元気だろうか?」

 初っ端の挨拶からスレイプニル愛を感じるよ。

「オーディン様、馬の王(メアラス)は元気にしておりますわ」

 他の話題はないから、そう返事をしておく。

「今年から中等科なのだ!」

 キース王子は相変わらずだね! 飛び級できたのが、凄く嬉しいみたい。

「おめでとうございます」

 苦手な古典と歴史を克服できたのは、良かったと心から思う。

 

 なんて話していたら、パリス王子やアルーシュ王子もやってきた。

「ペイシェンス、チョコレートは国でも大人気だった。母達にもっと欲しいと言われたよ。バーンズ商会で何枚かは購入したのだけどね」

 母()なんだね。でも、私が想像していた陰謀が渦巻く後宮って感じじゃなさそう?

「これは、お土産です」

 控えていたザッシュからお土産を貰ったよ。

「あら? 何でしょう?」

 開けてみて良いと言われたので、色鮮やかな包みを丁寧に開く。

「まぁ! これは!」

 箱の中には種と球根が何種類かあった。

「南国の花の種なのだが、ペイシェンスなら育てられるだろう」

「とても嬉しいです!」

 アルーシュ王子って、よく人を見ているよね! 超、嬉しい!


「私もペイシェンスにお土産を持って来たのですよ」

 パリス王子は、綺麗に包装されたレースのハンカチをくれた。

「まぁ、ありがとうございます」

 ちなみに、マーガレット王女とリュミエラ王女には、もう渡してあるみたい。これも嬉しいよ!


「ああ、忘れていた! ちょっと取って来る!」

 オーディン王子は、お土産を手配されていたけど、配布するのを忘れていたみたい。キース王子も少し呆れている。

 スレイプニル関係じゃなきゃ良いなと思っていたけど、どうやら選んだ方は常識があるみたいで、男子にはペーパーナイフ、女子にはデーン王国で取れる半貴石がついたネックレスだった。

 薄いピンク色のローズクォーツのネックレス、なかなか趣味が良い。オーディン王子が選ばなくて、良かったと心から思う。


 上級食堂(サロン)にナシウスも同級生達とやって来るのを見て、ホッとした。でも、同じテーブルじゃないのが寂しいな。

 今日は、女の子だけのテーブルで食事をしたけど、マーガレット王女はパリス王子が気になっているみたい。

 あちらは、結局、パーシバルがキース王子を補助して食べている。

 パリス王子、アルーシュ王子とザッシュとパーシバル。キース王子とオーディン王子とラルフとヒューゴ。

 ジェーン王女は、カレン王女とアンジェラと学友二人とわいわい楽しそうだけど……、この二人の王女はタイプが本当に違うよ。大丈夫かな?

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― 新着の感想 ―
今さらかもですが、外交3が水木どっちもあるようです。
[一言] 異世界だから、領地にいくのは、木金土日とか、土日月火でも、問題ないかも?
[気になる点] あと15分くらいで次の話が投稿されると思うが、 今話の最後の終わり方・・・ >この二人の王女はタイプが本当に違うよ。大丈夫かな? 意味深だよな・・・喧嘩でも始まるのかな?
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