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異世界に来たけど、生活魔法しか使えません  作者: 梨香
第五章 忙しい冬休み
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干物と瓶詰め

 ギルドでマッドクラブを解体して貰い、食堂で食べる。

 女将さんに、干物は無いのか尋ねてみる。

「干物ねぇ……海が目の前にあるから、あまり買わないのだけど、漁師は売れなかったのを干物にしているよ」

 まぁ、そうかもしれないね。干物はグレンジャーにある万屋で売っているみたい。食べたら覗いてみよう。


 最終日の昼食は、焼き蟹だった。スープと焼き蟹! シンプルだけど美味しい。

 この食堂で食べて正解だったな。

「明日には王都に帰ります。ご馳走様でした」

 私達がいる時間は、いつもの客は遠慮して来なかった。迷惑を掛けたかも?

「いえ、いえ、田舎の料理ですが、そう言っていただけると嬉しいです」

 

 万屋はすぐ見つかったよ。一軒しかないんだもん。どれだけ寂れているかわかるね。

「いらっしゃいませ」

 貴族がゾロゾロと入ってきたので驚いている。

「お姉様、サミュエルにお土産を買っても良いでしょうか?」

 ナシウスに尋ねられて、勿論と答える。

「ヘンリー、一緒に探そう」

 二人はサミュエルのお土産を選ぶみたいだから、私は干物を買おう。


「干物を全部買います!」

 こら、こら、ゲイツ様! 独占は駄目だよ。

「私も欲しいですわ」

 あっ、って顔をした。忘れていたな。

 店主が慌てて、息子に干物を持って来させる。

「そんなに無いのですが……」

 魚の干物が多いけど、貝柱、鮑、海老もある。十分だよ!

 半分に分けて買う。


「魚の干物はどう料理するのですか?」

 知らないのに買ったの? 呆れる!

「焼いて食べても良いですが、戻してスープにしたら美味しいですよ」

 ゲイツ様がレシピを欲しがるので、渡すと約束する。

「今夜、エバに作って貰いますから、口に合わなかったら魚の干物はこちらで引き取りますわ」

「いや、ペイシェンス様のレシピで美味しくない訳がありません」

 その自信は凄いな。


 この日は、雲丹の瓶詰めを作る予定! 小さな錬金釜を持ってきているけど、珪砂はないだろうから、何処かで買いたい。

「あのう、珪砂と巨大毒蛙の粘液は売っていますか?」

 万屋だから、売っていないかなと期待したけど駄目だった。

「そういった物はギルドで扱っていますよ」

 そうか! でも、あのギルドマスターに会うのはなぁ。グレンジャー館が使えない状態だから、ハープシャーに住むことになりそうなんだよ。

 まぁ、見つからなきゃ良いよね!


「ゲイツ様、何の御用でしょうか?」

 ああ、ゲイツ様が一緒だから、ギルドマスターがやってきちゃったよ。私的には、受付のお姉さんに言って、買って帰るだけで良かったのに。

「今日は、ペイシェンス様が何か買いたいと言われているのだ」

 そう、購入だけして、サッサと帰りたい。


 マッドクラブの解体を頼んだ時に、買えば良かったな。失敗したよ。

 でも、受付のお姉さんは、テキパキと買いたい品を用意してくれた。メアリーがお金を払って、馬車に素材を乗せて帰ろう!

「ペイシェンス様、グレンジャーとハープシャーに決められたのですか?」

 前は言わなかったけど、もう決めたからね。

「ええ」とだけ答えておく。領都とかはスルーしよう。

「それだけでもありがたいです」

 領主がいないのって、やはり寂れるみたいだからね。


 モラン館に帰って、エバに魚の干物のスープのレシピを渡してから、私は瓶を作る。

「サミュエルへのお土産、こんなので良いでしょうか?」

 ナシウスは、あの万屋でお小遣いでお土産を買ったみたい。

「ノースコートも海に近い領地だし、これで良いと思うわ」

 かぶるんだよね! だけど、グレンジャーにはマッドクラブが多いから良いんじゃないかな?

 マッドクラブの殻で作った、ミニマッドクラブの置物。

「そうですね!」

 まぁ、お土産って微妙な物が多いんだよね。


「それで、お姉様は何を作られるのですか?」

 雲丹の瓶詰めの瓶だよ。

「ナシウスもやってみますか?」

 一緒に瓶を作る。まだ、ナシウスは形がバラバラだけどね。

「後は、蓋と中蓋ね!」

 中蓋は、巨大毒蛙のネバネバと珪砂少しとスライム粉で作る。

「あっ、形が同じじゃ無いと駄目なんですね」

 まぁ、今回は瓶に合わせて、中蓋と蓋を作るよ。

「これから何回も作れば、上手くできるようになりますよ」

 これを煮沸消毒するのだけど、私は生活魔法で時短するよ。

「綺麗になれ!」

 

 台所にメアリーに持って行って貰う。他所の家だから、台所には行かないよ。

「あれは何になるのですか?」

 横で見ていたヘンリーが質問する。

「雲丹の瓶詰めになるのです。王都でも雲丹のパスタが食べられますよ」

 ナシウスがハッとする。

「それもお土産にして、良いですか?」

 良いけど、パスタマシーンも付けなきゃね。リリアナ伯母様にはこれからもお世話になるから、あげよう。


 雲丹の瓶詰めは、雲丹を殻から出して、何回か洗ってトゲとかを除き、塩を混ぜて、瓶に食用アルコールをちょこっと入れて、雲丹を入れて混ぜたら出来上がり。

 エバに任せておくけど、大丈夫だろう。


 最後の夕食は、雲丹のパスタが絶賛された。貝柱もソテーして添えてあり、美味しい!

「明日は王都に行きますから、早く寝ないといけませんよ」

 モラン伯爵夫人に注意されたので、今夜は早く寝室に上がる。


「お嬢様、少し時間を宜しいでしょうか?」

 メアリー? もしかしてグレアムとの事?

「ええ、良いわよ」

 メアリーがもじもじしながら話す。

「王都に帰ったら、グレアムはリチャード王子様と話し合うそうです。その後、グレンジャー家に雇って貰えたら、私と結婚したいそうです」

 おお、やっとだね!

「おめでとう!」

 ただ、メアリーは難しい顔だ。

「でも、召使い同士の結婚なんて、宜しいのでしょうか?」

 駄目なの? 私は良いと思う。

「王都に戻ったら、ワイヤットと相談しましょう。きっと良い提案をしてくれるわ」

 メアリーが頷いて、少し頬を染めた。幸せになって欲しい!


 

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― 新着の感想 ―
[一言] グレアムとは、しりえた情報を漏らさないと契約しとかないとね 念のため あと、メアリーは非常勤にした方がいいかもね
[一言] 特筆する事が無かったのか、夜に干物のスープが出ませんでしたね
[良い点] メアリーさんえがったえがった(´Д⊂ヽ
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