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異世界に来たけど、生活魔法しか使えません  作者: 梨香
第五章 忙しい冬休み
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モラン伯爵領へ!

 目の前の街道は雪に覆われていた。

「昼ごろには街道の雪は溶けるのですがね」

 パーシバルは、何回もモラン伯爵領との往復をしているので、慣れているみたい。

 南の門までは馬車で行ったけど、そこからは馬の王(メアラス)にパーシバルと二人乗りだ。

 そうしないと、他の戦馬や馬がついていけないのだ。


「さぁ、行きましょう!」

 何故か、ゲイツ様も戦馬に乗っている。寒いの苦手なんだから、馬車にしたら良いのにね。

 私とパーシバルは、ダウンコートだよ。

 もこもこだったけど、かなりスッキリとさせたので、変じゃないと思う。


馬の王(メアラス)、ゆっくり走るのよ」

 言い聞かせたけど、久しぶりの王都の外なので、興奮しちゃっているよ。

 弟達も(特にヘンリー)馬で先行したかったみたいだけど、護衛と馬の世話をするサンダー達を優先したから、馬車に乗っている。


「このコート、温かいですね」

 久しぶりに二人っきりだけど、後ろにはゲイツ様や護衛達もいるから、前世の話はできない。

 これは、新学期になってからかな?

「ええ、ビッグバードの羽毛がいっぱいありますから」

 パーシバルが笑う。羽布団だけではなくて、服にするとは思わなかったみたいだ。


馬の王(メアラス)、あまりスピード出さないのよ!」

 ちょっとパーシバルと話していると、馬の王(メアラス)のスピードが上がる。

「二人乗りでも馬の王(メアラス)には負担にならないみたいですね」

 パーシバルも背は高いけど、筋骨隆々って感じじゃないものね。

 あまり、ムキムキだとちょっと好みから外れちゃうかも?

 この異世界には魔法があり、身体強化も使えるから、見るからにゴツイって騎士はあまり見当たらない。

 

 なんて、自分の趣味を考えながら、馬の王(メアラス)をなるべく抑えながら走らせる。

 早朝の出発だったので、初めは街道に馬車も馬も見当たらなかったが、1時間程経つと、ポツポツ馬車や荷馬車が出てきた。

「ペイシェンス、馬の王(メアラス)に気をつけるように言って下さい」

 パーシバルに注意されて、私も馬の王(メアラス)に言ったけど「ブヒヒヒン!」『そのくらいわかっている』と返事があった。


 街道を西に進み、二個目の街で休憩する。

「ペイシェンス、お疲れ様」

 エア階段で降りられるけど、パーシバルに抱き下ろして貰った。

 途中で粉雪も降ったけど、馬の王(メアラス)が逸らしてくれたから、然程は寒くはなかった。


「お疲れ様です」

 予め、モラン伯爵家の使用人が宿屋に待機していたので、私は中に入って休憩だ。

「馬車が合流するまで1時間は掛かるでしょう」

 それまで、馬の王(メアラス)や他の馬達を休憩させる。

 宿屋の女中が心得て、私の休憩する部屋にも付き添ってくれる。

「温かい飲み物をお持ちしましょう」

 お湯で手を洗って、ソファーに座って休憩する。


 馬車が到着して、その馬も休ませるから、2時間近く休憩するのだ。

 旅立ちは早朝だったので、ちょっと眠い。

 温かな暖炉の前で、お茶を飲むとうとうとしちゃうよ。


「ペイシェンス」

 ノックの音で、うたた寝していたのに気づいた。

「パーシー様?」

 女中にドアを開けてもらうと、パーシバルが立っていた。

「馬車が着きました」

 なら、下に降りて、伯爵夫妻に挨拶しなきゃね。


「お疲れ様です」

 馬車から降りてきたモラン伯爵夫妻を下で出迎える。

「馬車だから、疲れていませんよ。それにあのクッションが温かくて快適でしたわ」

 弟達やメアリーやエバも合流して、少し休憩だ。


「次の休憩所で昼食になります」

 ここから、私は馬車に乗る予定。昼食休憩は時間を多めに取ってあるし、伯爵夫妻と一緒に食事をするからだ。

馬の王(メアラス)、早く走りすぎないのよ」

 そう言い聞かせて、弟達とメアリーと馬車に乗る。

「なかなか快適だわ!」

 ホカホカクッションがいい感じだ。

「お姉様、外は寒かったでしょう」

 ナシウスに気遣われたけど、そこまでではない。

 

 その後、昼食休憩した後は、また馬の王(メアラス)に乗ることになった。

 パーシバルだけだと、かなりスピードがでてしまうみたい。


 午後も一度休憩して、夕方前にはモラン伯爵領に着いた。

馬の王(メアラス)、お疲れ様」

 労ったけど、まだ元気いっぱいみたい。

 サンダーとジニーが馬の王(メアラス)と馬の世話をするので、任せて屋敷に入る。


 メアリーはまだ着いていないけど、メイドはいるので、夏休みに泊まった部屋に案内された。

 暖炉の火が一番のご馳走だよ。3時を過ぎると急に寒くなったからね。

 メイドがお湯を運んできてくれたので、顔と手を洗う。

「綺麗になれ!」でできるけど、やはり気分スッキリだよ。


 休憩していたら、パーシバルが下の応接室で待とうと呼びにきた。

 ここで一人でぼぉっとしているよりは、良いかもね?

 応接室にはゲイツ様も居て、地図を眺めていた。

「このミラー湖からライナ川がハープシャー領を経由してグレンジャーまで流れているのですね」

 その途中の峠でダムを作りたいのだけど、それは後になりそう。


「ハープシャーの特産品はワインだと聞きましたが、近頃はどうなのでしょう?」

 特産品があるのは嬉しいよね?

「領主がいないと、葡萄畑も手入れが不十分みたいですね」

 パーシバルが近所なので噂を聞いていた。

「葡萄の木を植え替えないといけないのでしょう」

 ワインは好きだったから、ちょこっとだけ知っている。

「でも、古い葡萄の木から作るワインも美味しいと聞きますわ」

 まぁ、ちょこっとだけの知識だけどね。

「それは、ちゃんと管理されている葡萄畑の場合でしょう?」

 うっ、そうなのかも?

「なら、新しい葡萄の木を植えないといけないのかしら? すぐには収穫できないのですよね」

 徐々に植え替えていっても良いのかも?

「葡萄畑を管理している人もいると思いますよ」

 だよね! 素人の私の良い加減な知識より、専門家に訊きたい。


 そう言う事で、明日からのスケジュールを決めていく。

「マッドクラブを討伐しましょう!」

 ゲイツ様、それって蟹を食べたいだけでは?

「先ずは、ハープシャーとグレンジャーを視察しましょう。管理人にも説明して貰いたいので、予め手紙を書いています」

 うっ、やはりパーシバルは頼りになるよ。というか、それ私がしなきゃいけなかったんだよね。

「ありがとうございます」

 感謝する私にパーシバルは、苦笑する。

「いえ、私も気が付かなかったのです。父に言われて……」

 うちの父親なんか、全くのノータッチだよ。


 この夜は、皆疲れていたので、簡単な夕食で休むことになった。

「メアリー、マシューとルーツはちゃんと弟達の世話をできているのかしら?」

 メアリーは、くすくすと笑う。

「ここでなら、他の使用人に尋ねることもできますから、大丈夫ですよ」

 なら、良いのだけど。ヘンリーは夕食は別だったけど、部屋でルーツと一緒に食べてバタンキューだった。

「明日から視察なので、早く寝なきゃ!」

 あれこれ見て判断しなくてはいけないのだ。寝不足でやりたくないからね。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 本当に良かった! 副反応とはどこかで見たような気がしてたのですが… なんとか回復途中のようでひと安心です。
[一言] 更新、ありがとうございました。 遂に出発しましたね。この旅程の間に、さらに2人の愛は育まれていくのですね! とても楽しみです。
[良い点] 更新あってよかった~ お体に気を付けて~
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