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異世界に来たけど、生活魔法しか使えません  作者: 梨香
第五章 忙しい冬休み
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似合う生地選び!

 私はエリザベスに勧められた鮮やかなグリーンの生地を肩に掛けた。

「まぁ、顔色がよく見えるわ」

 何となくブルー系が多いけど、そう言えば収穫祭のドレスも濃い緑色だったね。

「ペイシェンス様は、こちらの薄いピンクの生地も似合いそうよ」

 えええ、それは苦手なベビーピンクだよ。


「幼く見えそうですわ」

 今でもお子様だけど、より幼くは見せたく無いんだ。誰に見せたく無いか? パーシバルに決まっているよ。

「肩に掛けてみなさいよ!」

 渋る私の肩に、メアリーがベビーピンクの布を掛ける。

「あらら、顔が綺麗に見えるわ」

 ふふふとエリザベスが笑う。

「私のセンスは、なかなかでしょう。アビゲイル様にはあの綺麗な薄いブルーも似合うと思うわ」

 こちらは、アビゲイルも抵抗なく肩に布を掛けて貰っている。

「凄く似合っているわ!」

 アビゲイルも嬉しそうに微笑む。

 

 エリザベスは、あれこれ肩に掛けて悩んでいたけど、灰色に細い黄色と黒のチェック柄を選んだ。

「あっ、柄物も素敵だわ!」

 アビゲイルには青色に細い白の縞模様を掛けさせる。

「なかなか良いと思うわ。デザイン次第だけど。ペイシェンス様の柄物は、これが良いと思うわ」

 赤に黒の格子模様! チビなのに大丈夫かな?

 メアリーがいそいそと肩から掛けてくれる。

「あっ、この生地なら、サークルスカートにしたら可愛いと思うわ」

 バイヤスに生地を切って、サークルスカートにしたら、格子柄が斜めクロスになって良い感じになりそう。

 白の大き目のオープンカラーをつけて、白の包みボタンをつけたら可愛いと思う。

 

 エリザベスは、悩みに悩んで、灰色がかったトルコブルーの生地を選んだ。

「こちらの緑も捨てがたいけど、この色のドレスのイメージが浮かんだの。ペイシェンス様の銀ビーズを袖口とスタンドカラーにしたら素敵だと思うの」

 えっ、私が刺繍するのですか? モリーとマリーに教えてやって貰おう!


 生地を三個ずつ選んで、やっと椅子に座る。銀のベルを鳴らして、ワイヤットにお茶を運んでもらう。

「御免なさいね。お茶もお出ししないで」

 エリザベスも恥ずかしそうに笑う。

「いえ、訪問したばかりの屋敷で興奮して、大騒ぎしてしまいましたわ」

 アビゲイルもクスクス笑っている。


 ワイヤットがワゴンにアフタヌーンティースタンドを三個乗せて運んできた。

「まぁ! 何かしら?」

「お菓子のタワーだわ!」

 二人が手を叩いて喜んでいる。好評みたいで、良かったよ。

「アフタヌーンティースタンドよ。どうぞ召し上がって」

 ワイヤットにお茶を注いでもらう。


 メアリーは、お付きの侍女達にお茶とクッキーを出している。クッキーの皿には、二個ほどチョコレートも添えてあるよ。

 普通の付き添いと違って、お嬢様のお世話と、散らかった布を片付けるのが大変だったからね。


「これはどうやって食べたら良いのかしら?」

 お皿を取り出して食べても良いし、小皿に取って食べても良いのだ。

「お好きに召し上がって下さい」

 下のサンドイッチや小さなキッシュから食べても良いけど、好きなように食べたら良いと思う。


「まぁ、チョコレートもあるわ!」

 アビゲイルが嬉しそうに、チョコレートを一個食べる。

「これは、新作ですの」

 そう、どうせお出しするなら、新作の方が良いよね。

「中はいちごなのかしら? サクサクして甘酸っぱいわ。ドライいちごは固いのに、これは食べ易いわ」

 アビゲイルは、あの女学生の中では料理ができるから、興味があるみたい。

 

 甘い物を食べたら、しょっぱい物! 一番下の一口大のサンドイッチを摘む。

「これがマーガレット様が言っておられたペイシェンス様のサンドイッチね! 美味しいわ!」

 エリザベスもアビゲイルもサンドイッチを摘む。

 

「今度はケーキにしましょう!」

 エリザベスが二段目の皿を取り出す。

 小さなプチケーキが三個、並んでいる。

 いちごショート、チョコケーキ、そしてプチロールケーキの周りにチョコレートスプレーを付けたの。


「どれから食べるか悩みますわ」

 アビゲイルは、スイーツも好きみたい。

「ねぇ、ペイシェンス様! マーガレット様をお呼びしなくて良かったのかしら?」

 えっ、それは考えてもいなかったよ。

「これを聞きつけたら、叱られる気がするわ」

 そうなのかな?

「そうですわね! ペイシェンス様とマーガレット様は一番の仲良しなのに」


 えええ、そうなのかな? そうかも?

「明々後日なら、空いていますけど……王女様を屋敷に招待しても良い物なのかしら?」

 そう言えば、リチャード王子は押しかけて来たことがある。

「えっ、ペイシェンス様はマーガレット王女の側仕えだから……もしかして、お呼びした事がなかったのですか?」

 そう言えば、前の学友達の屋敷には遊びに行ったと言われていたね。

「私は、側仕えで学友とは違いますから」


 二人から睨まれたよ。

「それ、本気で言っています? 驚きますわ」

「マーガレット様は、一番ペイシェンス様を信頼なさっておられますわ。それは、この前学友に選ばれたばかりの私でもわかります」

 そうかも? 貧しかった頃のお仕えするイメージが染み付いていたよ。

「では、明々後日に来られるか、お手紙を書いてみますわ」

 旅行の前日だけどさ! 二人も呼んで欲しそうだから、招待するよ!


「なら、この生地も選び直した方が良いかも?」

 アビゲイルが心配そうに言う。

「いえ、マーガレット様には、似合いそうな生地を考えているから、大丈夫ですわ」

 これは、センスの良いエリザベスに任せよう。

「もし、私達の生地が気に入られたら、相談しましょう」

 私的には普通に言っている言葉なのに、エリザベスとアビゲイルに笑われた。

「やはりペイシェンス様が一番のお友達ね!」

 そうなのかな? 


 

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― 新着の感想 ―
[気になる点] アフターヌーンティーの時、サンドイッチもあるし、おしぼり付けるのかしら?ペイシェンスがクリーンしたのかな? 元日本人のペイシェンスの事だから、手に取って口に入れる以上、手洗いを推進する…
[気になる点] >「これは、新作ですの」 >そう、どうせお出しするなら、新作の方が良いよね。 ペイシェンスがチョコ作ってるの内緒にするのやめたのかな? エリザベスやアビゲイルが知ってるレベルだともう…
[気になる点] 新しいドレスはシャーロッテ伯母様よりも 社交界で活躍するリリアナ伯母様の方が食いつきそう。 [一言] マーガレット王女の護衛として一緒に来ると思われる ユージーヌ卿のドレスも話し合うか…
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