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異世界に来たけど、生活魔法しか使えません  作者: 梨香
第四章 中等科一年の秋学期
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すき焼きvsしゃぶしゃぶ

 ゆっくり食べていた父親も2枚目、ナシウスとヘンリーは4枚目、ゲイツ様は5枚目、サリエス卿、ユージーヌ卿や騎士コースの女の子と錬金術メンバーは3枚目! 

 ルーシーとアイラは、2枚食べて、お代わりするか悩み中。


「すき焼きは味が濃いから、あっさりとしたしゃぶしゃぶにしても宜しいですよ」

 あっ、ワイヤットがそう言うって事は、エバがしゃぶしゃぶの用意ができたって事だね。


「しゃぶしゃぶ?」

 父親が首を傾げているけど、すき焼きはもう十分みたいなので、そちらにする。私やアイラやルーシーもね。

 今度は平鍋ではなく、深鍋で昆布を四角く切ったのが一切れ入っている。

「これは? 生肉に見えるが?」

 父親は困惑しているけど、従僕のジョージがお世話するよ。

 トングで薄切りしたビッグボアの肉を一枚摘み上げると、深鍋の中でしゃぶしゃぶと数回揺らす。

 皿に綺麗に並べてある肉の薄さ、エバの包丁の腕は凄いね!

「柚子風味のあっさりソースと胡桃ソースのどちらにされますか?」

 父親は、すき焼きで濃い味には飽きていたので、ポン酢を選ぶ。

 綺麗なピンク色から火が通ったビッグボアの肉をポン酢に入れて貰ったのを、器用に箸でつまんで食べる。

「ああ、これは風味が良いし、あっさりとしている。いくらでも食べられそうだ」

 私も、アイラもルーシーも、しゃぶしゃぶだ。

 トングで薄切りビッグボア肉を摘んで、鍋の中でしゃぶしゃぶする。

「これで良いの?」

 2人は、初しゃぶしゃぶだからね。

「ええ、色が変われば火は通っているわ。柚子風味のあっさりソースか胡桃ソースの濃厚ソースにつけて食べるのよ」

 すき焼きで口が甘いから、柚子風味のポン酢で食べる。

 アイラとルーシーも柚子風味のポン酢だけど、フォークだね。


「美味しそうですね! 次は、私もしゃぶしゃぶにしましょう」

 パーシバルは、次はしゃぶしゃぶにしたし、サリンジャーさんもユージーヌ卿も、錬金術クラブメンバーもね!

 でも、あんなにレシピを見て騒いでいたゲイツ様や弟達はすき焼きに夢中だ。

 それに、騎士コースの女の子4人も、すき焼き派みたい。

「しゃぶしゃぶにも興味はありますが、こんなに美味しい料理は初めてですから、止まりません!」

 冷静そうなカミラは、初めは生卵を食べるのを躊躇していたと思うのに、器用にフォークで混ぜて、すき焼きの肉を潜らせて食べている。

 アリエット、リンダ、ジェニーも爆食が止まらない。味が濃いのは、運動量が多い騎士コースには人気だね。


 ゲイツ様は、すき焼きを6枚食べてから、しゃぶしゃぶにした。

「しまった! こちらもとても美味しいです! ペイシェンス様、今度はしゃぶしゃぶパーティをしましょう」

 今、食べているじゃん!

 弟達も、しゃぶしゃぶは、2人で1鍋にしたよ。すき焼きを5枚食べたからね。


 デザートはいちご! 真っ赤な宝石みたいで、全員から称賛された。

 いちごを食べながら、すき焼き派としゃぶしゃぶ派がどちらがより美味しいか議論しだした。


 すき焼き派は、騎士コースの女の子4人、サリエス卿、ゲイツ様、ベンジャミン、ブライスとナシウス、ヘンリー!

 意外な事に、ベンジャミンとブライスはしゃぶしゃぶにしたのに、またすき焼きに戻って、すき焼き派だ。

 しゃぶしゃぶ派は、私、パーシバル、サリンジャーさん、カエサル、アーサー、アイラとルーシー、ユージーヌ卿と父親!


「しゃぶしゃぶも美味しいが、すき焼きの肉、そしてネギ、豆腐の味には敵わないさ!」

 ベンジャミン、久しぶりに獅子丸になっているよ。

 カエサルは、しゃぶしゃぶ派みたい。

「あの繊細な味が、ベンジャミンには理解できないのだろう」

 そんな事を言うと、すき焼き派が黙っていない。

「濃厚なすき焼きを、生卵に潜らせて食べると、凄く贅沢な味になります。それに、忘れてはいけないのは、口の中が濃い味になった時、ご飯を食べると、なんとも言えない幸せ感があるのです」

 初めは、すき焼きに夢中で、ご飯には手を付けていなかったゲイツ様、後から一緒に食べたら美味しかったんだね。

「ゲイツ様、お言葉ですが、しゃぶしゃぶはタレによって、あっさりとも食べられますし、こってりとした味も楽しめます。それに、こちらもご飯と合うのです」

 サリンジャーさんは、しゃぶしゃぶ派だね。

 ブライスはすき焼き派だけど、アーサーはしゃぶしゃぶ派!

「やはり歳を取るとすき焼きは食べにくいのかも?」

 気がつくブライスにしては、失言だね。

「私は1歳しか年上ではない。しゃぶしゃぶの繊細さは、お子様口にはわからないのだろう!」

 アーサーは、いつもは穏やかなのに、ブライスの発言に食い付いている。

 

 食べ物の議論ってヒートアップしやすいけど、結論は、どちらも美味しいよね! で落ち着いた。やれやれ!

 

 応接室に全員が座ると窮屈だから、弟達は子供部屋に上がり、サリエス卿とユージーヌ卿とサリンジャーさんとゲイツ様は、図書室で父親とお話しする。

 私的には、弟達も一緒で良いと思うのだけど、中等科の学生ばかりだから、ナシウスが気をきかせたのだろう。

 父親は、本当は書斎に籠って読書をしたいんじゃないかな? でも、ゲイツ様が図書室にドナドナして行ったよ。

「報告する事もありますし、サリエス卿とユージーヌ卿にも相談しておきたいので」と言っていたから、元執事のダンカンの不正について報告するのかも? 

 それと、サリエス卿とユージーヌ卿も一緒って事は、警備面の強化かな? 今はグレアムだけだからね。

 本当なら子爵家でも10人ぐらいの警備人が必要なのだ。それに、新しく拝領する土地にも兵は必要だね。


 でも、今は、招待したメンバーと打ち上げ会を楽しもう!

 応接室には、騎士コースの女の子4人、錬金術クラブメンバーの4人、ルーシーとアイラ、そして、私とパーシバルだ。

 2人ずつ組んで人生ゲームをして遊んだよ! なんだか、合コンみたいなノリになったのが笑える。

 特に、いつもは威勢の良いベンジャミンが2歳年上のカミラと組んでゲームしている時に、少し手が触れただけで真っ赤になったのには笑えたよ。

「カミラ様、申し訳ありません!」

「いや、同時に馬車に手が伸びただけだから」

 カミラも第二のユージーヌ卿になれそうな男前だね! アリエットは、クールな美女だ。こちらは少女歌劇団のヒロイン役っぽい。

 ジェニーとリンダは、先輩の前だから大人しくしていたけど、ゲームの途中からは、はしゃいで楽しんでいた。


 ルーシーとアイラは、初めは錬金術クラブメンバーと少しだけ距離があった。

 模擬決闘の後は、私と一緒に錬金術クラブメンバーと食事していたのにね?

「どうしたの?」コソッとルーシーに聞いたら「カエサル様やアーサー様やベンジャミン様やブライス様に失礼な真似をしてはいけないと親に厳重に言われたのです」と小声で答えた。 

 ああ、Aクラスだから、上級貴族だとは思っていたけど、公爵家の嫡男だとか、知らなかったのかも?

「そんなの気にしないで良いわ! とても優しい方々だから!」

 ルーシーとアイラは、討伐の時の食事場での様子を思い出して「そうですね!」とリラックスしたみたい。


 少し遊んで、お茶を飲んだら、昼食会はお終いだ。

 籠に家庭用の大きさのポン酢(柚子風味)、醤油タレ、辛味噌タレをセットしてお土産に渡す。

 それと、フレッシュいちごのチョコレート掛けだよ。これは、本日中に食べて欲しい。

 

 図書室にいた、サリエス卿とユージーヌ卿にもね! サリンジャーさんとゲイツ様にも渡すけど「もっと大きな瓶が良かった」とかは聞かなかった事にするよ。

 大人数がいる基地キャンプじゃないからね。

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― 新着の感想 ―
[一言] 久しぶりにベンジャミン萌パートありがとうございます。 オチ担当の隠れヒロインですが、シャイボーイなところがたまらないです。女子と絡むところ待ってます。 ライオン丸がんばれ〜!!!
[一言] 学園内では地位や爵位を考えす平等と謳っていても、その時に抱いた好悪の感情は残るし後に相手を評価する時には影響も残る。 能力が同等の二人のどちらかを起用する時、かつて嫌味を言われ罵ってきた相手…
[一言] エバと助手たちが作る エバらのタレ、近日発売
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