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異世界に来たけど、生活魔法しか使えません  作者: 梨香
第四章 中等科一年の秋学期
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飲茶ランチ!

 前に行った高級茶店で、飲茶ランチだ。

 今回も、エバとメアリーとグレアムは別の席に座る。一緒でも良いのにと思うけど、そちらの方が気が楽みたい。

「飲茶ランチ! これにしたいわ」

「足りなければ、追加で注文しましょう」

 綺麗なドレスを着た店員のお姉さんに、パーシバルが全員分を注文して、お茶を一口。

「ああ、まだまだ買い足りないわ!」

 パーシバルとナシウスがお茶を吹き出しそうになった。

「ペイシェンス、あんなに買ったのに……あっ、もしかして注文があったのですか?」

 パーシバルは、気がついたみたい。

「ええ、カエサル様から渡された書類の中に、第一騎士団からの注文書が混ざっていましたの。だから、今度の週末の打ち上げパーティ用だけではありません」

 業務用なら仕方ないと、パーシバルは肩を竦める。

「それと、エバに売っている店を覚えて欲しいのです。毎回、私が買いには来れませんから」

 ただ、季節ごとには来たい! また、新商品があるかもしれないもの。


 干貝柱のスープ、小さな焼豚肉まん、肉焼売、乾燥エビの春巻き、青菜炒め、ビッグボアの角煮、そしてシメに麺がでた。

「この麺は、お箸で食べた方が美味しいです」

 私は、焼売もお箸で食べていたけど、弟達はフォークだった。

「ペイシェンス、お箸の使い方が上手いですね」

 パーシバルもカルディナ帝国風のテーブルマナーを習ったみたいで、お箸は使えるけど、まだぎこちない。

「手先は器用なのです」と誤魔化す。

 ナシウスとヘンリーに、お箸の持ち方を教える。

「こうして一本を固定して、後の一本を挟むだけなの。ほら、片方は幾らでも動かせるでしょう?」

 ナシウスは、私の手元を見ながら、なんとかクロス箸にならずに、少しずつ麺を掬って食べている。

「お姉様、無理です」

 ヘンリーは、焦るから、箸がクロスになって、麺が掴めない。

「今日は、フォークで食べたら良いわ」

 いきなり麺は難しい。それも、割り箸とかなら、麺が引っ掛かりやすいけど、ツルツルとした象牙っぽい太い箸なのだ。

「カルディナ帝国では、太い箸が高級みたいだから、難しいわね。今度、家では食べやすい箸を作りましょう」

 それと、躾箸も良いかも! 甥や姪達の為に実家にも準備してあったから、よく知っている。あれならヘンリーも使い方をマスターできそう。

 

 私も転生して初の麺を食べる。こちらでは、食事の音はマナー違反だから、啜らないように気をつけなきゃね。

「ああ、美味しい!」

 香港の麺みたいな、細い縮れ麺でラーメンとは違うけど、そんなの関係ないよ! 鶏のスープと麺とネギと焼豚! 泣きそう。

「麺は買って帰らなきゃ!」

 買い物に疲れているパーシバルも、これには賛成する。

「ええ、是非!」

 シンプルなスープも良いけど、味噌味も美味しそう! 雲呑を浮かべても美味しそう。

 ビッグバードの骨で良い出汁が取れそうなんだよね! ビッグボアで焼豚作らなきゃ!

 

 私はシメでお腹いっぱいになったけど、パーシバルとナシウスとヘンリーは、肉まんや角煮などを追加注文する。

 へへへ、私はスイーツだよ。甘い物は別腹!

「メアリー達のスイーツも追加注文しておくわ」

 グレアムの分は、パーシバルが一緒に注文していた。

 杏仁豆腐、美味しい!

「もう、良いの?」

 いつもは、弟達はもっと食べるのに?

「メニューを読んでも、何か分からないのです」

 ナシウスが悲しそうだ。

「そんな時は、聞けば良いのですよ」

 パーシバルが店員のお姉さんを呼んで「何かお勧めは?」と訊ねる。

「焼き麺もおいしいですよ!」

 それ、食べたい! 顔に出たみたい。

「なら、それを大皿で願いします。取り分けて食べられますよね」

 私達は、飲茶ランチだから、一人ずつ出たけど、他のテーブルではアラカルトを頼んで分けて食べていた。

「ええ、カルディナ帝国では、大皿でだして、それを分けて食べる方が多いのです」

 今度は、それにしてみよう。

「では、もう一皿お勧めをお願いします。この子達は食べ盛りだから、ガッツリとした肉料理が良いです」

 飲茶店なので、ガッツリした肉料理は無いのでは? と心配したけど、大皿に山盛りの唐揚げが出てきた。

 そちらは、もう手が伸びないけど、焼き麺は少しだけ、店員さんに給仕してもらう。

 餡掛け五目焼きそばっぽい味で、麺は揚げてなくて、表面をカリッと焼いた私好みの焼き麺だった。

「あちらの席にも少し取り分けてね」

 この味を覚えてほしいから、食べてもらいたい。

 

 それと、もう一品、デザートを食べたいから、メニューを眺める。

「口をさっぱりさせたいから、梅ゼリーかしら?」

 眺めていたら、季節が変わったので新しいデザートが並んでいる。

 私達にはローレンス語のメニューだけど、却って何かわからない。これなら漢字の方がまだイメージが掴みやすいかも?

「何かお勧めのデザートは?」

 パーシバルの真似をして、店員さんに訊ねる。

「冬のデザートで人気なのは豆花です。温かい豆腐に甘いピーナッツ餡を掛けた物です。それかさっぱりされたいなら、柚子ゼリーがお勧めです」

 豆腐! 柚子! あったんだ!

「両方、たのみます! それと、豆腐と柚子は買えますか?」

 店員のお姉さんは、私の勢いに少し驚いていたけど、売っている店を教えてくれた。

「パーシー様、覚えて下さった?」

 聞いたのは私だけど、方向音痴だから見つける自信がない。

「ええ、両方とも割と近くの店ですよ」

 なら、安心してデザートを食べられるよ。


 私が頼んだデザートをパーシバルや弟達も食べて、お腹いっぱいになったみたい。

 来年は冬の討伐に行かないつもりだったけど、ナシウスとヘンリーの食べっぷりを見たら、少し考えちゃうな。

 パーシバルも私よりは食べていたけど、ナシウスとヘンリーは倍以上食べているんだもん。お腹いっぱい食べさせてあげたいからね。


「麺を買うことはできますか?」

 ここで買えなかったら、麺を売っている店を教えて貰うつもりだったけど、麺はこの店でも売っているみたい。

「ええ、人気なのです。スープも売っていますよ」

 おお、商売熱心だね! でも、スープはいらない。

「5人分、お願いします」

 持ってこられたのは、乾麺だった。

「さっき食べたのも乾麺ですか?」

 違う気がしたけど?

「いえ、店のは打ち立てです。でも、お持ち帰りは乾麺なのです。茹で方は紙に書いてあります」

 ふむ、乾麺の方が日持ちがするから良いかもね!

 

 支払いはパーシバルがしてくれたけど、こちらの方が人数が多いのに良いのかな?

「パーシー様? 良いのかしら?」

 パーシバルが驚いている。

「そのくらい支払わせて下さい。買い物代はペイシェンスが払っていたのだから」

 えええ、それは当たり前でしょう? それに騎士団からは料金をもらうのだ。

 どうやら、こちらでは男性が食事代を払うのが普通みたい。割り勘とか無いのかも?

「パーシー様、ご馳走様でした!」

「パーシバル様、ご馳走様でした」

 弟達やメアリー達も口々にお礼を言う。

「いや、ペイシェンスには討伐の時のソースや沸くポット、ティーバッグ、それにチョコレートをいっぱい頂きましたから。とても助かりました。エアマットレスと長靴も! それに守護魔法のマントがあったから木の蛇(ヴィゾーヴニル)を討伐できたのです」

 長靴は改善してから売り出す。中に毛織物を張ったのと、魔法防衛が高い毛皮を張った物を作るよ。

 守護魔法のマントは、遅れた誕生日プレゼントだしね。

 さぁ、お腹はいっぱいになったから、お豆腐と柚子を買いに行こう! うん? パーシバルと弟達の目が死んでいる様に見えるけど、錯覚だよね?

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― 新着の感想 ―
[気になる点] 気になる事がいつくかあるので、こちらに書かせていただきます。 1.ペイシェンスと弟たちの絡み描写が、パーシバルと婚約してから物凄く削られているので、和むシーンの描写がもう少し欲しいで…
[気になる点] メアリーとメアラスの関係性。 ただ単に名前似てるなってだけなんですけど『お前ペイシェンスの匂いがするな……』だとか『ペロッ! これはペイシェンスの魔力!』とかありそうな侍女なのだった…
[良い点] 更新お疲れ様です。 何時の時代でも何処の世界でも、女性の買い物に付き合う男性の目がダメな感じになるのは共通なんですね(笑) でもペイシェンスはわりかしパパっと選んでくれそうだから、一般的…
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