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異世界に来たけど、生活魔法しか使えません  作者: 梨香
第一章 王立学園初等科
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ミニ発表会

 馬は時間制レンタルだった。メアリーを説得して店に行く計画は頓挫した。でも、ネバーギブアップだ! また何か考えよう。今回の外出で得た情報を利用する事にした。

「苺が沢山採れるから、半分は売りましょう」

 全部は売らないよ。弟達の好物だもの。これはジョージに収穫を任せて、エバに売って貰う。エバは食糧品店で肉などを買っているから、付き合いがある。なるべく高く売って欲しいものだ。あっ、それともその分は肉や調味料になるのかも? それはそれで良い。

「冬の薔薇は高く売れそうだわ」

 前庭に残っていた薔薇の枝を温室に何本か挿し木して増やす。冬までに花が咲くように大きく育てるつもりだ。

「食事改善はまだまだしなくてはいけないわ」

 裏庭の畑に「大きくなれ!」と唱えて、少し成長を促す。初めて温室で使った時程は魔力を込めてない。あの時は、食べ物がなくて必死だったんだ。

 それに、土日は内職にも魔力を使うからね。ティーセットに細密画を描く内職は、靴下のかけつぎより儲かる。家ではこちらを優先的にする。靴下は絵付けが終わってから。

 寮ではハンカチにレース編みの縁取りをつけるのをすることに決めた。万が一、急に部屋に誰か(マーガレット王女とか)入っても、これなら趣味の手芸でとおるからだ。

「ペイシェンス、体力無さすぎ。あの程度歩いただけで疲れるなんて駄目だわ。それにまだ10歳なのだから、身体を鍛えなければいけないわ」

 本当にペイシェンスは体力がない。まぁ、死んだぐらいだ。当たり前か。

 本当は書斎に篭っている父親にも運動させたいが、それは無理そうなので弟達、特に本の虫のナシウスには特に注意してさせる。ヘンリーはほっておいても走り回っているから運動は大丈夫。あっ、ヘンリーも賢いよ。ただ、ナシウスや父親やペイシェンスほど本の虫じゃないってだけ。

 週末は弟達と縄跳びして体力強化にも励むことにする。ナシウスも走り飛びが上手になったし、クロス飛びもできる。ヘンリーは二重飛びに嵌っているようだ。連続で何回飛べるか挑戦している。

「お姉様、走り縄跳びの競走をしましょう!」

「競走、競走!」

 まだ8歳や6歳の弟には負けないよ。ゼイゼイ……どうにか勝てました。


 ハノンの練習もさせている。前世の童謡を楽譜に書いて、2人に練習させているんだ。だってペイシェンスの持っている練習曲は指の練習ばかりだったのだ。それだけでは面白くないよね。それに童謡を歌う姿は可愛いもの。

 勿論、私も練習している。青葉祭が近いからね。キャサリン、ハリエット、リリーナには、前世の「エリーゼのために」「仔犬のワルツ」「トロイメライ」を弾いて聴かせた。後は、本人達が楽譜を起こしてくれるだろう。少し変化しても、それはそれで良いと思う。アルバート辺りは『そこは違う』とか煩そうだけどね。後輩指導してくれるでしょ。

 青葉祭は保護者も見学に来れるのだ。事前に入場許可がいるので父親に尋ねたが「遠慮しておこう」と言われた。

 免職になったので、謹慎しているのかもしれないし、単に人混みが嫌いで本を読んでいる方が好きなだけかもしれない。

 青葉祭に子どもが来れないのは残念だ。異世界の貴族は10歳以下の子どもは子守が育てるのが普通みたい。客の前にも出さないし、公共の場にも連れて行かないみたいだ。

 でも、私は弟達に来て欲しかった。なので、昼から応接室でミニ発表会をする事にした。父親も座って聞いていた。

「ペイシェンス、とても上手だよ」

 褒めて貰って嬉しいが、少しだけ後ろめたさを感じてしまう。

「次はナシウスの伴奏で、ヘンリーが歌います」

 ナシウスが童謡を弾き、ヘンリーが歌う。ヘンリーはまだ音階しか覚えてないから歌にしたんだ。マジ、可愛い。

 「とっても上手だったわ」ほっぺにキスしちゃう。

 「ナシウス、上手く弾けていた。ヘンリーも歌が上手い。ペイシェンスは教えるのも上手いな」とまたしても褒めて貰った。それは愛情が違いますからね。

 弟達が王立学園に入学するまでに、出来るだけ勉強を教えてあげたいし、体力強化もしてあげたい。お姉ちゃん業は大変なのだ。

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― 新着の感想 ―
[良い点] めちゃめちゃ面白いです。読んでる途中ですが今日中に全部読んじゃいたいです。
[良い点] 毎日12時を楽しみに今、生活しています。 大好きです。 [一言] ティーセットの絵付けはどうされているのでしょう。 すごく気になります。 素焼きのティーセットに磁器工房の下請けとして 材…
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