表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界に来たけど、生活魔法しか使えません  作者: 梨香
第四章 中等科一年の秋学期
403/755

女子勉強会?

 マーガレット王女とは、王宮で少しだけ会ったけど、1週間も側仕え無しで大丈夫だったのか気になっている。

「メアリーも疲れたでしょう。早く屋敷に帰って休みなさい」 

 メアリーは、服や下着などを片付けてくれていたので、労って帰らせる。


「ふぅ、マーガレット王女はちゃんと勉強されているかしら?」

 中等科2年生からは、文官コースの勉強もすると意欲を見せていたけど、王妃様は家政コースの単位を多く取らないと駄目だと言われたみたい。

「ペイシェンスです」と言ったら、マーガレット王女がドアを開けてくれた。

「ペイシェンス! 貴女は、とても大きな魔物を討伐したのね!」

 ああ、ビッグボアが学園に運ばれたのだ。

「あれは、ゲイツ様が横におられたから、安心して魔法を撃っただけですわ。それに、気分が悪くなってしまったのです」

 マーガレット王女は、くすくす笑う。

「ペイシェンスは、相変わらず自分の評価が低いわね。キースから学生チームのトップだったと聞いたわ。それに雪狼(ニックスルプス)を何頭も討伐したし、フェンリルも追い払ったのでしょう。素晴らしい活躍だわ! それに馬の王(メアラス)やスレイプニルの群れも捕まえたのよね。それで女子爵(ヴァイカウンテス)に叙されたのですもの」

 ああ、あの我儘な馬の王(メアラス)について、マーガレット王女にちょっと説明しなくてはいけないのだ。


「ええ、それに関しては陛下に感謝しておりますわ。ただ馬の王(メアラス)は、まだ人に慣れていませんし、スレイプニル達も野生のままです。私がいないと暴れてしまうのです」

 マーガレット王女は、元々、スレイプニルは好きではなかったみたいなので、怒られるかな? 少し言い出し難い。

「朝は馬の王(メアラス)の世話と運動をさせないといけないみたいなのです」

 あっ、と驚かれる。

「ペイシェンスは、乗馬は苦手なのに大丈夫なの?」

 ふぅ、全員が私の乗馬が下手なのを心配してくれるよ。

「ええ、何とかパーシバル様も乗る事を承諾させたのですが、まだ私と一緒じゃないと駄目みたいなのです。なるべく、パーシバル様だけで乗れるようになって欲しいですわ」

 

 マーガレット王女は、少し考える。

「朝、ペイシェンスがいないのは、少し困るけど、なるべく私もリュミエラ様も自分で髪の毛を整えるわ。美容の修了証書を貰わなくてはいけないから、その練習だと思うことにしましょう」

 ええ、凄い自立心だよ。前は起こさないといけなかったのに!

「それに、ペイシェンスも女子爵(ヴァイカウンテス)になったのだから、乗馬ぐらいできないと困ると思うわ。練習しなさい」

 うっ、その通りなのだ。


 でも、朝食の7時までには、寮に戻るつもりだし、ちゃちゃと髪の手直しはできそう。

「お勉強をなさっていたのですね!」

 机の上には、家政数学の教科書が置いてある。

「ええ、リュミエラ様も頑張っていらっしゃるし、負けられないもの」

 やる気は良いけど、パリス王子を諦めてくれた方が、私的にはホッとするのだけどね。


 夕食までにリュミエラ王女と一緒に勉強しているのを見ながら、私はロシアン帽を縫う。

 ふう、やはり2人分は無理だから、雪狼(ニックスルプス)の毛皮が届いたら、パーシバルのも縫おう。

 それと、毛糸のパンツも編まなきゃね! 今のドロワースも要改善だよ。何とかゴムみたいに伸び縮みする素材を見つけて、可愛いパンティにしたい。

 でも、毛糸のパンツも冬は穿くけどね! 前世の薄くて暖かい素材の一分丈パンツが懐かしいよ。

 あっ、無ければ作れば良いのだ! ふぅ、やりたい事や、しなくてはいけない事がいっぱいありすぎる。


 それと馬の王(メアラス)の世話にどのくらい時間を取られるのか、さっぱりわからない。

 ブラシを掛けたりしなくても、生活魔法でピカピカにはできるけど、スキンシップというか、精神的に繋がる事を求められている気がする。

 普通の馬とは、そんな繋がりは感じた事は、私は無かったのだけど、ユージーヌ卿とかパーシバルは少なくとも自分の戦馬と信頼関係を結んでいる気がする。

 それにオーディン王子は、勇者(アンドレイオス)との絆が強そう。


 なんて事を考えながら、2人の勉強を見ていたのだけど、私も、そろそろレポートを纏めたりしなくてはいけないのだ。

「今夜は、ペイシェンスも疲れているでしょうから、夕食後はリュミエラ様と勉強会をするわ」

 確かに疲れているけど、夕食後も馬の王(メアラス)の所に行かないといけないのだ。

 本当に、パーシバルが一緒に行ってくれるのだけが慰めだな。


 夕食の鐘が鳴ったので、食堂に降りる。

「ペイシェンス、早く食べて馬の王(メアラス)の所に行かなくては!」

 ああ、パーシバルのやる気が眩しい。

「まぁ、夜も行かないといけないの?」

 マーガレット王女が呆れている。

「ええ、馬の王(メアラス)がここの馬房に慣れるまでは、寝る前に落ち着かせた方が良いと言われたのです」

 パーシバルと急いで夕食を取って、特別馬房に急ぐ。


「その帽子、可愛いですね」

 ロシアン帽を褒めてくれるパーシバル、とても優しい。

「寒いから、温かい帽子が必要だと思ったのです。パーシー様のも作りたかったけど、手持ちの毛皮がもうなくなってしまったの」

 パーシバルは、自分は大丈夫だと笑うけど、夜になって凄く寒い。朝はもっと冷え込むのだろう。


「ブヒヒン!」『遅い!』と文句を言われたよ。

「夕食ぐらい食べさせてよ!」と言い聞かせておく。

「綺麗になれ!」と掛けると、元々、ピカピカだったのが、余計にピカピカになったよ。

「綺麗なスレイプニルですね」

 パーシバルがうっとりとした目で馬の王(メアラス)を称賛している。

「パーシー様、馬の手入れとは、ブラシを掛けたりするのかしら?」

「こんなに綺麗ならブラシを掛ける必要はありませんよ。でも、スキンシップには良いかもしれませんね」

 そんな事を話していたら、サンダーが良い案だと助手のジニーにブラシを持って来させる。

「いつも、ペイシェンス様が生活魔法を掛けて下さるから、馬の王(メアラス)はブラシを掛けた事がないのです。ブラシ掛けに慣らした方が良い」

 私は、パーシバルに教わりながら、ブラシを掛ける。

「もっと強く擦っても良いのですよ」

 ふう、パーシバルはテキパキとブラシを掛けていくけど、かなり疲れる。

馬の王(メアラス)、気持ち良い?」

「ブヒヒン!」『もっと強く!』だってさ。


「マッサージして貰っている気分なのかしら?」

 ブラシで擦ると気持ちよさそうに目を瞑る。

「さぁ、私が騎士クラブで当番していた時は、汚れや抜け毛をブラシで取り除いていましたが、馬の王(メアラス)の場合は綺麗ですからね」

 だよね! でも、まぁ気持ち良さそうなのは良かったよ。

「そろそろ寝る時間でしょ? 私も部屋で寝るわね」

 ブラシ掛けが気持ち良かったのか、馬の王(メアラス)はうとうとしている。

「ブヒヒン!」と許可が出たから、パーシバルと寮に帰る。

 

「寒いですね!」

 ゆっくり話しながら帰りたいけど、そんな事をしていたら凍えちゃうよ。

「走りましょう!」

 パーシバルに手を引いて貰って走る。ペイシェンス、走るのも遅い!

 はぁはぁ、息が上がったけど、寮に戻ってホッとした。


馬の王(メアラス)は元気か?」

 食事は終わったのに、何故かパリス王子とオーディン王子とアルーシュ王子とキース王子が食堂で待っていた。

「ええ、私は朝早いから失礼しますね」

 スレイプニル愛の深いオーディン王子と長話はしたくない。

 討伐から帰って、本当に疲れているのだ。

「パーシバル様、おやすみなさい」

 ふふふ……、寮の前でおやすみのキスはしたから、簡単に言って部屋に上がる。


 ゲイツ様に貰った腕時計のタイマーを4時に合わせて、眠るよ。

 やれやれ、明日からこの時間に起きなきゃいけないのかしら? はぁぁ……。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] 綺麗になぁれ! 多分これやるとブラシが引っかからない。
[気になる点] 『可愛い“パンティ”』という表現が気になります。 ショーツとパンティは同じものを指しますが、パンティという言葉には「男性を性的に興奮させるアイテムとしての女性用下着」という意味が含まれ…
[良い点] >ブラシで擦ると気持ちよさそうに目を瞑る。 メアラスとペイシェンスの絆が深化すれば、メアラスは魔法も色々覚えそうだし強くなりそうだな。 メアラスとメアリーも仲良くなってほしいものだ。 メ…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ