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異世界に来たけど、生活魔法しか使えません  作者: 梨香
第四章 中等科一年の秋学期

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パーシバルと一緒!

 1時間目は外交学2だ。私が外交官に向いているのか分からないし、外国に行けるのかも不安だけど、勉強だけはしておこう。

 フィリップスにエスコートされて、外交学2の教室へ行ったら、パーシバルが先に座っていた。外交学1はテストで合格したんだね。

「ペイシェンス様、こちらにどうぞ」なんて言われるから、横に座る。フィリップスとラッセルも近くに座ったよ。

「ああ、見慣れない学生もいるようだから自己紹介しておこう。外交学2を教えるオリバー・フォッチナーです」

 少しキザな喋り方のフォッチナー先生だけど、外交学2の内容をテキパキと解説してくれた。

「秋学期は、自国の産物を他国になるべく高く売る交渉をして貰う。そして、勿論だが、相手国側にもなって、なるべく安く購入できるように交渉して貰おうと考えている。春学期は、ローレンス王国の惨敗だったから、今度こそは勝って欲しい」

 あれは、フィリップスとラッセルが相手側だったからね。私も誘われてそっちだったから、楽だったけど、微妙な気持ちになったよ。自国に不利な事ばかり考えて言うんだからね。

「組み分けはどうされるのですか?」

 パーシバルは積極的に質問するね。

「春学期の二の舞は御免ですから、公平に分けたいと考えています。つまりくじ引きです」

 ええええ! っと非難の声があがる。

「それでは、論客が固まる可能性もあります」

 ラッセル! 春学期は貴方が集めたから、相手側が大変な目に遭ったんだよ。

「まぁ、それも運じゃないかと思うのだよ。それに、不利かどうかはわからない。交渉のテーブルを去るまではね」

 そういうと、上着の内ポケットからくじを取り出した。筒に細い棒が十数本刺さっている。先生は人数分に入れ直す。

「さて、お楽しみの時間だ!」

 フォッチナー先生は上機嫌だけど、くじを引く学生の方は複雑な顔をしている。できれば、パーシバル、フィリップス、ラッセルと同じ組になりたいと願っているのだろう。私も同感だよ!

 フォッチナー先生が筒を持って前の席から引かせていく。棒の先には青と赤が塗ってある。

 何人か引いたけど、青でも赤でも騒がなかった。ただ、パーシバルの番が来た時、少し学生達から圧を感じた。自分が引いた色の方を引け! という熱気だ。

「青です」パーシバルが引いたくじを先生に見せる。

「うぉお! やったな!」青を引いた学生から歓声が上がり、赤の学生からは落胆の溜息が漏れた。

「次は、ペイシェンス君だね。さて、どちらに行くのでしょう?」

 えっ、凄い圧を感じるよ。紅一点だからかな?

『できたら青が良いな!』と願いながら、くじを引く。

「青でしたわ」

 パーシバルがにっこりと笑って「一緒の組ですね」と言った声は「嘘だろう!」という怒声にかき消されたよ。だってフィリップスも青を引いていたからね。

「ラッセル君、できれば赤を引いてくれたまえ」

 フォッチナー先生の言葉に従った訳では無さそうだけど「赤ですね」とラッセルが棒を高くあげた。

「うぉぉ! やったぜ!」赤を引いた学生から歓声が上がった。やはり、ラッセルは論客だからね。

「はん、こちらにはペイシェンスとフィリップスとパーシバルがいるのだ!」

 あれっ? 私の名前が出ているよ?

「春学期の資料まとめが効いていたからな! ペイシェンスと同じ組になりたかったよ」

 ラッセルに言われて、びっくりだ。

「ペイシェンス嬢、あの資料があったから、有利になったのですよ」

 ラッセルとフィリップスが中心に論破していたんじゃ無いの? 聞いていたパーシバルが愉快そうに笑う。

「これは勝ちの予感がしますね。ディベートで大切なのは、事前にどれほどの資料を用意して纏めておくかですから」

 フォッチナー先生も組み分けには不満そうだ。

「どうも青が優勢っぽいですね。では、赤はローレンス王国側にしましょう。そして、青はカルディナ帝国です」

 青の組からブーイングが起こる。

「先生、普通はソニア王国かコルドバ王国かデーン王国でしょう。せいぜい難しくしてもエステナ聖皇国なのでは?」

 フィリップスも積極的に発言するね。

「君達、カルディナ帝国の発展を無視して外交学だなんて恥ずかしくて言えないですよ。それに視野を広げて欲しいのです。ローレンス王国側もカルディナ帝国との貿易品を調べるのは難しいですから公平ですよ」

 そうかな? やはり青の組の方が難しい気がするよ。

「さて、一応はテストを用意してある。受けない学生は解散だ」

 まぁ、今更テストを受ける学生なんていないよ。全員が出て行く。

「次は地理だけど、ペイシェンスもテストを受けるよな?」

 廊下でラッセルに話しかけられる。

「ええ、そのつもりです」

「私もテストを受けますよ」パーシバルがそう言うと、フィリップスも手をあげた。

「なら、全員がテストを受けるのだな。では、テストが終わったら、学食に行こう」

 ああ、本当に今日はパーシバルと一緒の時間が多いね。いつもはフィリップスがエスコートしてくれるけど、パーシバルがエスコートしている。腕に手を置いているだけだけど、ドキドキしちゃう。


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― 新着の感想 ―
[一言] ペイシェンス&フィリップス&パーシバルvsラッセル。 ……ラッセル、どんまい。
[一言] フィリップス…どんまい (´-﹏-`;) パーシバルが相手じゃ敵わんよ 別の機会で頑張って!
[良い点] うっわ、外交学2面白い……寧ろ色々な事案を調べるのが楽しそう!(*^▽^*) それも1人だけじゃなく時には友人と声掛け合って、でしょう? 楽しそう!(*^▽^*) 違う意見や見方とか、えー…
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