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異世界に来たけど、生活魔法しか使えません  作者: 梨香
第四章 中等科一年の秋学期

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秋学期のスケジュール!

 予め、パーシバルはパリス王子とリュミエラ王女にもスケジュール表と履修要項を渡していたようだ。

「私は家政コースにしますわ。来年の社交界デビューまでに多くの単位を取りたいのです」

 リュミエラ王女は、来年にはリチャード王子との婚約発表だし、そこからは花嫁修行が忙しそうだから、それが良いと思う。パリス王子は騎士コースかな? 見かけは優雅だけど、スレイプニルに興味津々だったからね。

 私は、パーシバルが優雅な態度なのに騎士志望だったから、パリス王子もそうかなと思い込んでいたけど、違った!

「私は、折角、ロマノ大学のお膝元に留学したのだから、魔法使いコースを選択したいですね。おお、そう言えばペイシェンスは錬金術クラブに属していると聞きました。魔法使いコースの授業について教えて下さい」

 えええ、魔法使いコースですか? 優雅なパリス王子は浮くと思うけど……まぁ、ご自由に!

「パリス王子様、私は家政コースと文官コースを選択しているのです。魔法使いコースは、下級薬師の資格を取りたかったのと、錬金術に興味があったから、4科目だけ取っているに過ぎませんわ」

 その下級薬師の資格は取ったから、後は錬金術と魔法陣だけだよ。

「王子様だなんて、いちいち敬称をつけなくても良いよ。同級生になるんだからね。そうか、もう下級薬師の資格を取ったなんて優秀ですね。私も薬師の資格は欲しいから、情報を頂けるとありがたいです」

 王子なのに薬師? まぁ、薬の知識はあると便利だけどね。

「薬草学と薬学のマキアス先生は厳しいですわ。特に薬草は枯らすと落第ですから、気をつけて水遣りを忘れないようにしないといけません」

 パリス王子は「ご忠告、ありがとうございます」なんて呑気に言ってるけど、カエサルとベンジャミンは落第したんだよね。知らないよ!

「他にお勧めの授業はありませんか?」

 ここのメンバーで少しでも魔法使いコースの授業を取っているのは私しかいないから、パリス王子の質問に答えるしかない。

「私はキューブリック先生の錬金術と魔法陣の授業も取っています。とても役に立つ授業ですわ。他は取っていませんから、ご自身で1回目の授業を受けてから判断されるか、魔法使いコースの学生に相談されては如何でしょう?」

 パリス王子は意外そうな顔をした。

「何故、ペイシェンスは魔法使いコースを選択しないのですか? 強力な魔力を感じるのですが?」

 えっ、魔力が漏れているのかな? 違うよね。私も大体どの魔法を使うかは見れば分かるようになっているし、魔力が強いかは何となくわかるから、そんな感じかな?

「私は、生活魔法しか賜っていませんから、攻撃魔法が必須科目の魔法使いコースは無理ですの」

 これで理解してくれたよね?

「えええ、生活魔法だけとは思えないのですが? ああ、失礼致しました。他人の魔法について詮索するのはマナー違反ですね」

 パーシバルが横で「コホン!」と咳払いしてくれたので、パリス王子の追求は終わったよ。やれやれ!

「リュミエラ様とパリス様には申し訳無いのですが、中等科は単位制なので1回目の授業で必須科目の合格を取らなければ、先ずはその科目を優先的に履修して貰うことになります。その後で、コース別の選択授業を選んで下さい」

 パリス王子には、パーシバルが説明する。そして、リュミエラ王女には、マーガレット王女と私だ。

「ここの勉強内容がどのくらい難しいかはわからないけど、国語とダンスと美術と音楽は大丈夫だと思いますわ。家政数学とは聞きなれない科目ですから、自信ありません。普通の数学は得意でしたけど……」

 数学が得意なら、家政数学は楽勝だよ! あれは、家政コースの女学生が数学が苦手だから作られた科目だからね。

「まぁ、数学が得意だなんて、羨ましいわ。ペイシェンスも得意だし、苦手なのは私だけなのね」

 歴史もそこそこ勉強しているみたいだから、秋学期でかなりの単位は取れそうだ。

「リュミエラ様、この裁縫の授業は多く履修された方が宜しくてよ。授業で縫ったドレスで収穫祭のダンスパーティに出なくてはいけないのです。春学期は、青葉祭に間に合うかドキドキしましたから、私は最低でも5時間は取るつもりです」

 マーガレット王女、それは毎日取るってことですよ! 裁縫が苦手なのに気合いが入っているのは、パリス王子と踊る時に変なドレスを着たくないからかしら? 

 それぞれが最初のスケジュール表を書くのを、パーシバルと私とが手伝う。私はマーガレット王女のも手伝うけど、裁縫多過ぎると思うんだけど……でも、冬物は裏地も付けなくちゃいけないから、これでもギリギリかも?

「まぁ、本当に裁縫の授業が多いのですね」

 リュミエラ王女がマーガレット王女のスケジュール表を見て驚いている。リュミエラ王女は、先ずは必須科目がどれぐらい修了証書が貰えるか分からないから空きが多い。

「家政コースの必須科目は一緒のを取りましょう」

 料理と裁縫の一部はマーガレット王女と同じ時間になりそうだ。

「刺繍と習字は得意なのよ」

 本当にレオノーラ王妃様は厳しくリュミエラ王女を育てている。多分、数年前から縁談が持ち上がっていて、ローレンス王国の次の王妃として恥ずかしくないように考慮されたのだろう。

「まぁ、それなら一緒の授業を取れるかもしれないわ」

 マーガレット王女は、刺繍2と習字2だからね。すぐに追いつかれそう。

「料理はした事が無いので不安ですわ」

 ありゃりゃ! これは、怖い!

「まだ私達もやり始めたばかりですの。一緒の授業を取れるように先生と相談してみましょう! 私は料理の上手な女学生と組んでなんとか食べられる物ができるようになりましたの。本当ならペイシェンスと組めば楽勝なのに、一時間目で修了証書をとってしまうのですから。リュミエラ様にも料理が得意な女学生を紹介いたしますわ」

 それって良いのかな? まぁ、先生に任せよう。

「ペイシェンスは本当に優等生なのね。マーガレット王女の側仕えに選ばれるのも当然ですわ」

 リュミエラ王女に褒められるけど、私は秋学期が不安になってきたよ。早く、錬金術クラブでミシンを作らなきゃ! 

「ペイシェンス様、私も一時間目のテストを受けないとどの授業になるかわかりませんが、第二外国語と国際法は一緒に受けましょう」

 パーシバルは、行政と法律は秋学期中に修了証書を取る予定だそうだ。後は、世界史と地理は前から勉強しているから、一回目の授業で修了証書を取ると野心満々だ。私もだけどね。

「護身術は、騎士コースで取っていますし、第一外国語も修了済みです」

 まぁ、夏休みにデーン王国に出迎えに行かされるぐらいだから、話せるよね。

「行政と法律は、教科書の丸暗記で修了証書は取れますわ。経済学と経営はディベートも必要ですが、経済学1と経営1を合格して下されば、一緒に勉強できますね」

 フィリップスとラッセルも論客だけど、パーシバルもかなり厳しい論客になりそう。

「それは面白そうですね。夏休み中に世界史と地理と経済学と経営はかなり勉強したのです。そうか、教科書通りなら行政と法律を暗記しておけば良かったのですね」

『しまったな』と悔しそうな顔をするパーシバルは、かなり可愛いよ。

「まぁ、パーシバルとペイシェンスは仲が良いのね。モラン伯爵領で何かあったのかしら?」

 マーガレット王女に突っ込まれたけど、パーシバルは上手くかわす。

「私はペイシェンス様と再従兄弟ですしね。弟君達も素晴らしい才能の持ち主で、できればナシウス君には外交官になって貰いたいです」

 あっ、それってフィリップスと同じパターンかも。遺跡や世界の珍しい物を見るために外交官になる感じだね。私も、どちらかと言うと外国に行きたいから外交官になりたいんだよね。

「まぁ、夏の離宮に連れてきていた弟達もペイシェンスに似て優秀なのね。確かナシウスは、ジェーンと同級生だと思ったけど……キースと同級生になるかもしれないのね」

 ははは……それは避けたいな。サミュエルと一緒にいた方がお互いに影響し合って良い効果がありそうなんだ。

「ヘンリー君も剣の腕が上達著しいですよ。うかうかしていられない気がします。今度、サリエス卿が剣術指南にいかれる時に伺って宜しいでしょうか? 騎士コースを離れて剣の腕が落ちたなんて言われたくありませんからね」

 ああ、パーシバルは負けず嫌いだね。

「ええ、ナシウスもヘンリーも練習相手が増えて喜びますわ」

 これは社交辞令ではなく、本心からだ。弟達はパーシバルに憧れているからね。

「私には兄弟がいないから、二人が本当の弟みたいに感じます」

 年の離れた姉が一人いると聞いているけど、モラン伯爵領では会わなかったんだ。嫁いでいるみたい。きっと凄い美人なんだろうね。

「まぁ、パーシバルはぐいぐい攻めるタイプなのね。いつもクールな態度だから興味が無いのかと思っていたわ」

 マーガレット王女、人の恋バナどころではありませんよ。大体のスケジュール表を書いたパリス王子が、またクラブの話を持ち出してくる。

「マーガレット様に音楽クラブに推薦して頂くにしても、私のハノンを聴かれたうえでなくては、恥をかかせてしまうかもしれません」

 えっ、でも女子寮には男子学生は立ち入り禁止だし、音楽室は開いてないよ。

「私の部屋にハノンを運ばせているので……」

 パーシバルが笑いながら遮る。

「パリス様、男子寮に女学生を連れ込んだら、即退学ですよ」

 パリス王子もケラケラと笑う。

「そうなんですね! ローレンス王国は男女交際に厳しいな。覚えておきます」

 本当にそうして欲しいよ。油断も隙も無いんだから。

「なら、明日は水曜ですから音楽クラブは無いわ。放課後、あそこのハノンを弾いて貰いましょう。音楽クラブは火曜と木曜が活動日ですの。そう言えば、コーラスクラブは月曜と水曜ですわ。グリークラブは火曜と木曜日と音楽クラブと重なっていますけど……あそこは、ほぼ毎日練習しているみたいだから問題は無いと思うわ」

 マーガレット王女がコーラスクラブかグリークラブに入ったら、音楽漬けになりそうだけど、私は音楽クラブだけにしておくよ! 錬金術クラブにも行きたいからね。

 兎に角、パーシバルが寮に入ってくれて助かったよ。リュミエラ王女はサバサバしててお友達としてもやり易いけど、パリス王子に好意を感じているマーガレット王女との仲を邪魔するのは大変そうだもの。


ペイシェンス中等科一年秋学期


月曜 外交学2 ?   染物2

火曜 錬金術3 外国語  裁縫 ?

水曜 国際法  経営2  織物2 

木曜 経済学2  ?   防衛魔法

金曜 魔法陣2 第二外国語  ?  ?


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― 新着の感想 ―
[気になる点] 最初にスレイプニルが出てきた時は留学前のオーディン王子が持っている、みたいな感じで書かれており、6本足はスレイプニス、とルビがあったのですが8本足と呼び方が違うのでしょうか?ただその後…
[気になる点] 三部の人物紹介で気になったんですが、 確かリチャード王子殿下は、マーガレット王女殿下の三つ年上なので、十六歳ではなく十七歳では? [一言] 連日更新お疲れ様です。 パリス王子殿下の…
[良い点] マーガレット王女の知ってるくせにすっとぼけて夏休みに何かあったのかしら?とか聞いちゃう恋バナ好き心よ! [一言] リュミエラ王女はいい感じだけど、王子の方はくせ者だね!
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