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異世界に来たけど、生活魔法しか使えません  作者: 梨香
第一章 王立学園初等科

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学年を飛び級するぞ!

あけましておめでとうございます。

本年も宜しくお願いします。

 キース王子と同学年は避けたいし、何だかルイーズにライバル視されているのも嫌なので学年の飛び級を真剣に考える。

 問題の魔法実技の時間だ。後の、美術や音楽は不合格でも学年の飛び級ができる。

 魔法実技室なんてあるんだよ。まぁ、学園内でファイヤーボールとか飛んでたりしたら危ないよね。大きな体育館みたいだけど、床は土のままだ。きっと土の魔法とか使うのに良いんだろう。だけど、ここで生活魔法、使うのあるかな? 不安になる。

 他の学年の学生もいるけど、何とはなく1年は固まっている。えっ、的に向かって火の玉が! あれがファイアーボールなのか。初めて見たよ。ゲームとかアニメとかでは見たことあるけど、実際に見ると迫力だね。当たりたくないよ。ああ、下級生に自慢したかったんだね。可愛いな。あっ、怖そうな先生に叱られてるよ。そりゃ、当たり前だな。


「1年Aクラス全員、ここに集まれ!」

 上級生を叱っていたのは魔法実技のシェパード先生で、魔法使いというより体育会系に見えた。熱血指導しそうだ。生活魔法なんて、価値を認めて貰えるのかな?

「各々、自分の得意な魔法に分かれろ」

 火、水、風、土、光、そして身体強化と生活魔法。私の他に2人の女子がいた。確か、ルシエンヌとケイトリンだ。全員、子爵令嬢だけど、家と違って領地持ちらしい。生活魔法は何となく肩身が狭い気がして、実技室の端の方に固まる。先生がぞろぞろと魔法実技室に入ってきた。

「それぞれの先生に初級の技を見て貰え」

 やはりシェパード先生は身体強化の指導みたい。でも、火も指導するようだ。キース王子、お気の毒様。

 光はルイーズしかいない。でもわざわざ修道士を呼んできている。期待が大きいのがわかる。

「さぁ、この3人が生活魔法なのね。私はアンジェラ・ジェファーソン。生活魔法を極めれば、何だってできるのよ」

 ジェファーソン先生は、少し年配の貴婦人だった。白髪だけど矍鑠としている。元気なお婆ちゃん先生だ。全員、ホッとした。何となく生活魔法は、他の魔法より下に見られている感じがするので、何でもできると言われて嬉しかったのだ。

 この先生なら、あんな恥ずかしい呪文を唱えなくても良いかも知れない。10歳なら兎も角、精神年齢25歳には厨二病っぽい呪文は口にするのが恥ずかしい。

 席も身分順なので、ルシエンヌから実技も始まる。同じ子爵家でも領地の広さとか歴史とか格差があるみたい。ペイシェンスは詳しそうだけど、私は興味ない。

 おお、恥ずかしい呪文を唱えているよ。でも、あまり身体は綺麗になっていない様な? ルシエンヌは元々汚れている訳じゃないし、わかりにくいよね。ケイトリンもジェファーソン先生に合格は貰えなかったが、魔法実技は楽しそうで良かった。

 最後は私の番だ。

 『清潔になれ!』いつも通りに唱える。スッキリしたよ。私も汚れてないから、そんなに変わって見えないだろうけど、気分も爽快になるんだよな。便利、便利!

「まぁ、ペイシェンス・グレンジャー。貴女には教える必要はありませんね。もう、魔法の実技は終了ですよ」

 お婆ちゃん先生? 合格なの?

 ジェファーソン先生は、熱血指導しているシェパード先生を呼んで一枚の紙を渡した。

「えっ、ジェファーソン先生。この学生はまだ1年生なのですよ」

 何だか変だ。飛び級じゃないの?

「ええ、だって私が教える事なんて無いのですもの。修了証書を出しますわ」

 ちょっと待った! 目立つのは嫌なんだよ。飛び級も目立つけど、それは諸々の事情でしたいと思ったから良いんだよ。お婆ちゃん先生、勘弁してよ。あっ、またルイーズからの視線が……。学年飛び級になりそうで良かったと思うしかないね。

 金曜の魔法学のテストも合格だった。これは合格者、多かった。教科書、薄いから暗記すれば良いものね。キース王子が合格したからか、ラルフとヒューゴも、そしてルイーズもだね。飛び級してもキース王子とルイーズとかなり授業、一緒の様な気がする。

 気を取り直して、美術。絵を描くのは好きなんだ。ペイシェンスも絵の具とかは買えなかったけど、写生とか上手い。私のデッサンより腕は上かも。ここでもルイーズと一緒に合格だよ。トホホ

 音楽は何か楽器を演奏する。あっ、ピアノっぽいのハノンって呼ぶみたい。正式には大きさによって呼び方が色々と変わるみたいだけど、まるっとハノンになっている。

 音はピアノよりハープシコードに近い高い音。ここはペイシェンスに頑張って貰い合格でした。音楽は女子は合格が多かった。勿論、ルイーズもだよ。トホホ。

 キース王子も琵琶の様な弦楽器を弾いて合格してた。リュートかな? やはり、キース王子が合格したら、ラルフも合格だね。フルートみたいな笛を吹いていた。でも、ヒューゴは残念ながら不合格。キース王子と同じリュートを弾いたけど、慣れて無さそう。自分の得意な楽器にすれば良かったんじゃないかな?

「ペイシェンスって、全部合格してないか?」

 キース王子に睨まれちゃったよ。自分より合格数が多いのに腹が立つタイプなんだね。だから、ラルフは控え目にしているんだ。だけど、それで良いのかな? 間違っている気がするけど、キース王子には関わらないでおこう。

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― 新着の感想 ―
[気になる点] 面白いのだけれど、目立つのが嫌な理由がわからないのがもやもやします。貧乏を気にしてるならある程度目立ってコネを作って人脈を活用するくらい25歳なら出来ると思いますけど… 弟達にまともな…
[良い点] この主人公、できるッ! [気になる点] 終了証書は意図通りの表現なのかな?
[一言] とても面白かったです。続きが楽しみでなりません! そしてペイシェンスの家族の皆さん(召使込み)があったかいご飯いっぱい食べられる日がやってきますように...(祈)
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