世紀末光頭伝エスニャンダモ(小説版)/第二十二話:高地の死闘! シャイニングニャンダモ対サタンニャンダモですにゃー
2020-10-18
安価・お題で短編小説を書こう!9
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>>25
使用お題→『家畜』『全知の神』『クライミング』『無能力』『牧童』
【世紀末光頭伝エスニャンダモ(小説版)/第二十二話:高地の死闘! シャイニングニャンダモ対サタンニャンダモですにゃー】
にゃーたちの世界とは別の世界、どこかにあるという『ネクラ・ゲハワールド』。
この世界では、ネコミミ族やイヌミミ族が平和に暮らしていたのですにゃー。
ある日、『もふもふですにゃー』の叫び声と共に、巨大な影がこの世界を覆ったのですにゃー。
『<もふもふ魔王>サタンニャンダモ』ですにゃー。
魔王は、この世界のネコミミ族もイヌミミ族も毛だらけにして、世界を『イオオ・ガケワールド』に変えると宣言したのですにゃー。
東方の国、ここ『にゃおーん国』にも魔王のもふもふの毛が伸びてきたのですにゃー。
『<大僧正>ニャーゴロ』は一人の僧侶を選び、彼に魔王の毛を刈るよう命じたのですにゃー。
僧侶の名は『シャイニングニャンダモ』。
救世の旅が始まったのですにゃー。
*
シャイニングニャンダモと仲間たちは、かつて『<全知の神>スプリームニャンダモ』が降臨したとされる『ゴロニャ高地』の麓まで辿り着いたのですにゃー。
「やっとここまで来ましたにゃー」
「疲れましたにゃー。足が棒ですにゃー」
「にゃーは疲れてないですにゃー」
「それは一人だけ馬に乗っていたからですにゃー。ずるいですにゃー」
「ずるくないですにゃー。人馬一体ですにゃー」
ジャングルの中から見上げれば、青空に向かって高く切り立つ岩山が見えますにゃー。
ねこたちは、しばしの間、使命を忘れて、その雄大な景色に見とれていましたのにゃー。
「では登りますかにゃー。早くしないと日が暮れてしまいますにゃー」
リーダーのシャイニングニャンダモが声を上げましたにゃー。
変わり者ばかりの一行の中で、一番まともなのが彼ですにゃー。
頭に猫耳、顔にはネコミミ族伝統の仮面、そしてはんてんのような上着の袖からは、これもネコミミ族らしい健康的な小麦色の肌が見えますにゃー。
「そうですかにゃー。登りますかにゃー。ですが、どこから登りますかにゃー」
頭にかっこいい帽子をかぶった、こちらも仮面のねこですにゃー。腰には二丁拳銃を下げて、足にはブーツを履いていますにゃー。一人だけ騎乗しているのも彼ですにゃー。
「クライミングですにゃー」
「クライミング? それはなんですかにゃー」
「登るのですにゃー」
「そうですかにゃー。登るのですかにゃー」
「そうですにゃー。登るのですにゃー」
「そうなのですかにゃー。それで、どこから登るのですかにゃー?」
この時、シャイニングニャンダモは、馬上の彼、カウボーイニャンダモを気の毒そうに見たのですにゃー。
「崖をよじ登るのですにゃー」
これを聞いたカウボーイニャンダモが仮面の下でどんな顔をしたか、ですにゃー。
この世の終わりにバニラアイスを食べようと思ったのにチョコチップクッキーしかなくて困りましたにゃー、というような顔をしたに違いないですにゃー。
「じ、人馬一体ですにゃー」
「ではにゃーから登りますにゃー」
うろたえるカウボーイニャンダモを無視して名乗りを上げたのは、この場では最も身軽そうな、手足が細長いねこですにゃー。
「このくらいの崖なら、にゃにゃんのにゃん、ですにゃー」
そう言うと、するすると進んで岩壁に取り付くかと思われたのですが、彼はすぐに戻ってきたのですにゃー。
「足が棒でしたにゃー。今日はもう休んで、ごろごろした方がいいですにゃー」
このねこ、ダイナソーニャンダモは、ダイナソー拳法の使い手ですにゃー。
体の細さが特徴的な彼ですが、目を引くのはその服装、仮面も服も金ぴかで、とっても目立つのですにゃー。
「そうですかにゃー。ですが、にゃーたちは先を急ぐのですにゃー。困りましたにゃー」
仲間たちのやる気のなさに、さしものシャイニングニャンダモもお手上げかと思われましたが、その時、もう一人の仲間が口を開いたのですにゃー。
「にゃー」
「困りましたにゃー」
やっぱりお手上げかと思われましたが、その仲間、ナットニャンダモが、もう一度口を開いたのですにゃー。
「にゃー」
「どうしましょうかにゃー」
今日は諦めてごろごろしようかと思い始めたシャイニングニャンダモでしたが、最後にもう一度、ナットニャンダモが口を開いたのですにゃー。
「にゃー。にゃーにいい考えがありますにゃー。まずは地元のねこを探すのですにゃー。この辺の地理に詳しいねこがいいですにゃー。うまく見付かったら、お金を払ってそのねこを雇うのですにゃー。それで高地の上まで行けたら、今度はスプリームニャンダモの石碑を探さないといけないのですにゃー。もしそのねこが石碑の場所まで知っていれば、色々と時間の節約になりますにゃー」
他のねこたちよりも少し太めのナットニャンダモは、体だけでなく、脳みその容量も太めなのですにゃー。
「分かりましたにゃー。では、よじ登るのはやめにして、地元のねこを探しますにゃー」
シャイニングニャンダモ、カウボーイニャンダモ、ダイナソーニャンダモ、ナットニャンダモ。
それにカウボーイニャンダモの馬。
彼ら四人と一頭が、この物語の主人公なのですにゃー。
*
第一村ねこを探してジャングルの中をさまよう一行。
「だーれもいませんにゃー。いぬ一匹いませんにゃー」
「足が棒ですにゃー。ごろごろしたいですにゃー」
「にゃーはごろごろしたくないですにゃー」
「……そんなことを言うねこは、馬からごろごろ落ちるがいいですにゃー」
「人馬一体ですにゃー。馬耳東風ですにゃー」
このままふらふらしていても埒が明かないので、彼らはひとまず休憩することにしましたにゃー。
「地面がばっちいですにゃー。ごろごろできないですにゃー」
「人馬一体ですにゃー。馬上でお昼寝ですにゃー」
楽しそうな仲間たちをよそに、シャイニングニャンダモは一人苦悩を深めていましたにゃー。
(ここまでなんとかやってきましたが、にゃーがリーダーでいいのでしょうかにゃー)
別に誰がリーダーでも大差ないのですが、彼はネコミミ族にしては責任感が強く、日々そんなことを考えていたのですにゃー。
(にゃーは無力ですにゃー。こんな崖一つ超えられず、にゃーたちはサタンニャンダモをやっつけられるのでしょうかにゃー)
そんな彼に、ナットニャンダモが声を掛けますにゃー。
「にゃー」
(それに、敵はサタンニャンダモだけではないのですにゃー)
サタンニャンダモには多くの手下がいますにゃー。シャイニングニャンダモたちより強い者も多いのですにゃー。
「にゃー」
(にゃーたちはまだまだ弱いのですにゃー。強くなるためには、ゴロニャ高地での修行が必要ですにゃー)
過去、多くの英雄たちがゴロニャ高地で修行しましたにゃー。その中には、シャイニングニャンダモの、かつての師匠も含まれますにゃー。
「にゃー。あそこを見るのですにゃー。ねこが歩いてますにゃー。ヤギも歩いてますにゃー。あれは野生のヤギではなく放牧ですにゃー。あのねこに話を聞くのがいいですにゃー。あっ、もう一人いますにゃー。あの二人を雇って、上まで連れていってもらうのがいいですにゃー」
仲間たちが休んでいる間も、ナットニャンダモは周囲に目を光らせていたのですにゃー。
彼が指差したのは崖の中腹で、二人のねこと何頭かのヤギたちが、ほとんど垂直の岩肌を、平らな場所を歩くのと変わらない速度で進んでいましたにゃー。
「あっ……あれは……もしや……ですにゃー……」
「にゃー。どうしましたかにゃー」
そのねこたちの姿を目にするや、シャイニングニャンダモは驚きで言葉を失ったのですにゃー。
「あのお方たちは……ニャーゴロ様からお聞かせ頂いたことがありますにゃー……」
* * * Side <大僧正>ニャーゴロ * * *
あれは、にゃーがゴロニャ高地で修行をしていた時のことですにゃー。
一緒に修行をしていたねこたちの中で、にゃーがどうしても敵わない、そう思えた、才気あふれる者たちがいましたのにゃー。
年嵩の方が『ポニャはたポニャオ』、若い方が『ポニャざきポニャオ』という名前でしたにゃー。
彼らは二人で『崖の上の廃人少女ポニャQの物語』という連載を持っていましたのにゃー。
にゃーはその頃『雨中猫缶НЬЯМОТО』という難しい話を書いていたのですが……この作品、読者アンケートでは最下位続きでしたにゃー。最後は打ち切りで終了ですにゃー。思い出しても涙が出ますにゃー。
それはともかく、ポニャのコンビの方は飛ぶ鳥を落とす勢いで、にゃーは大いに打ちのめされたものですにゃー。
『立った立った! 廃人が立ちましたにゃー!』
この感動的なシーン一つ取っても、にゃーをして傑作と言わしめるものでしたにゃー。
事実、この作品は社会現象にもなりましたにゃー。歴史に名を残す偉業ですにゃー。
ですがにゃーも負けたままではいられませんにゃー。
『古代戦士ニャンダモ』から続いた『古代世紀』シリーズは大成功でしたにゃー。今回の新作『エスニャンダモ』の連載で、彼らに少しでも追い付きたいものですにゃー。
* * *
「……あのお二人は、ニャーゴロ様がおっしゃっていた、伝説のコンビに違いありませんにゃー」
「そうでしょうかにゃー。にゃーと違って仮面も服も普通の二人ですにゃー」
「そうでしょうかにゃー。にゃーとにゃーの馬こそが伝説のコンビですにゃー。人馬一体ですにゃー」
「にゃー。あんな崖の上を、あんなすいすい歩けるなんて、すごい能力ですにゃー。にゃーは羨ましいですにゃー。あの二人だけでなく、みんなすごいですにゃー。にゃーはただのデブねこですからにゃー。自分の無能力が恨めしいですにゃー」
ナットニャンダモがしれっと自虐発言を始めたので、シャイニングニャンダモがたしなめますにゃー。
「無能力なんて、そんなことはないですにゃー。あなたはすごいデブねこですにゃー」
「にゃー。そうですかにゃー。すごいデブですかにゃー。やっぱりにゃーは駄目なねこですにゃー。ダイエットしますにゃー。手始めに、今日から断食ですにゃー」
「断食は駄目ですにゃー。ダイエットには逆効果だと聞きましたにゃー」
ふと気が付くと、ねこ二人とヤギたちは遠くに移動していましたにゃー。
「あっ、急いで追い掛けますにゃー」
「にゃーはゆっくり追い掛けますにゃー。足が棒ですにゃー」
「にゃーは走って追い掛けますにゃー。人馬一体ですにゃー」
「にゃー」
*
結果だけ言うと、急いで追い掛けたシャイニングニャンダモが、二人に一番早く追い付きましたにゃー。
「おーい! ですにゃー」
崖の下から呼び掛けますが、二人には聞こえていないようでしたにゃー。
「どうしましょうかにゃー。あっ、そうですにゃー」
彼は荷物の中から金属製の鍋を取り出すと、それを打ち鳴らしましたにゃー。
大きな音は崖の上まで届いたようで、二人はシャイニングニャンダモの存在に気が付いたのですにゃー。
*
程なくしてシャイニングニャンダモの仲間たちも現れたので、彼らは互いに自己紹介をしましたにゃー。
「にゃーの名前は『ポニャざきポニャゴロー』ですにゃー」
「にゃーは名乗るほどの者ではありませんが、仲間からは『ポニャエモン』と呼ばれていますにゃー」
「えっ、そうなのですかにゃー。お二人は『ポニャはたポニャオ』と『ポニャざきポニャオ』ではないのですかにゃー」
どうやらシャイニングニャンダモの勘違いだったようですにゃー。
ポニャゴローの方が口を開きますにゃー。
「違いますにゃー。『ポニャざきポニャオ』はにゃーの父ですが、にゃーたちはその二人とは別人ですにゃー」
「そうでしたかにゃー。それは失礼しましたにゃー」
それから、シャイニングニャンダモは、二人に自分たちの目的を説明しましたにゃー。
「つまり、手っ取り早く高地の上に行きたいと。それは困りましたにゃー」
「高地の上まで崖を登るのも修行の内ですからにゃー」
「やっぱりそうですかにゃー。ですが道案内はお願いしたいですにゃー。にゃーたちは急いでいるので、登りやすいルートで時間を節約したいのですにゃー」
するとジュニアポニャコンビの二人は、顔を見合わせて、こう言ったのですにゃー。
「方法がないことはないですにゃー」
「ですが……ちょっと危ないのですにゃー」
*
シャイニングニャンダモ一行は、ポニャの二人が暮らす村まで案内されましたにゃー。
そこには、ジャングルの村には場違いな、巨大施設があったのですにゃー。
「これですにゃー。こっちがマスドライバーで、こっちがウーニャンキャッツカタパルトですにゃー」
「ウー……なんですかにゃー。それは大丈夫なのですかにゃー」
「大丈夫ではないですにゃー。『ちょっと危ない』と言いましたにゃー」
ネコミミ族の言う『大丈夫ではない』『ちょっと危ない』は、『問題だらけ』『本当に危険』という意味ですにゃー。
「そ、そうですかにゃー。他に方法はないのですかにゃー」
「一番いいのは、その馬をこの村に預けて、にゃーたちと一緒に崖をよじ登ることですにゃー」
「そうですかにゃー。分かりましたにゃー。ではお願いしてもよろしいでしょうかにゃー」
*
そんなこんなでシャイニングニャンダモたちは、ゴロニャ高地の岩山の上に到着したのですにゃー。
「では石碑を探しますかにゃー。石碑を無事に確保できたら、みんなで修行ですにゃー」
「疲れましたにゃー。手も足も棒ですにゃー」
「にゃーも疲れましたにゃー。塞翁失馬ですにゃー」
そんなことを言い合いながらポニャたちに案内されて進むと、石碑はすぐに見付かりましたにゃー。
「こちらですにゃー」
「石碑は二つあるのですが、こちらがその内の一つですにゃー」
シャイニングニャンダモとナットニャンダモが、石碑に近付いて、表面をよく観察しましたにゃー。
「どうですかにゃー」
「にゃー。これはスプリームニャンダモの石碑ではないですにゃー。これは『<邪神>ス○ー』と『<聖剣>じゃーじゃー丸』の石碑ですにゃー。邪神を聖剣で封印したのは間違いないのですが、『じゃーじゃー丸』が聖剣の名前なのか、聖剣の勇者の名前なのかは、よく分かっていないのですにゃー。歴史のミステリーですにゃー」
「そうですかにゃー。○ー○ン大統領ですかにゃー」
「にゃー。違いますにゃー。邪神ですにゃー」
「○ーさんが好きな国家主席ですかにゃー」
「にゃー。違いますにゃー。ス○ーですにゃー」
「あえて言うと! ス○ですかにゃー」
「にゃー。違いますにゃー。全国のス○さんに失礼ですにゃー」
「ご指摘は当たりませんにゃー。どうせこんな駄文、誰も読んでないですにゃー。総合的、俯瞰的な判断ですにゃー」
「にゃー。なんか違和感がありますにゃー。にゃーの気のせいでしょうかにゃー」
「前任者があれでしたからにゃー。これもライターの仕事の内ですにゃー。次の石碑を確認しましょうかにゃー」
一行は次の石碑がある場所へと向かいましたにゃー。
「こちらがその石碑なのですが、ご覧の通り、ちょっと問題があるのですにゃー」
「こ、これはひどい……ですにゃー……」
石碑は粉々に砕かれていたのですにゃー。
「つい先日、ここを訪れた観光客が、なんだかんだ言って石碑を破壊したのですにゃー。『□ケットワン』とかいいましたかにゃー」
「『ターレワーン』だったかも知れませんにゃー。年端も行かぬワンちゃんゴリリン元王子の集団でしたにゃー」
「そうなのですかにゃー。それは多分観光客ではないですにゃー」
「棒で武装していましたかにゃー」
「塞翁失馬ですにゃー。意馬心猿ですにゃー」
仲間たちが口々に組織的犯罪集団を非難する中、ナットニャンダモは一人押し黙っていましたにゃー。
やがて彼は、仮面の下の小さな目を大きく見開いて、次のように叫んだのですにゃー。
「ニャーーーーッッッッツ! ですにゃー」
「あっ、ナットの伐折羅モードですにゃー」
「それはなんですかにゃー。にゃーのにゃ意棒よりも強いのですかにゃー」
「強いですにゃー。千軍万馬ですにゃー」
「にゃー。ニャッツですにゃー。古代言語マスターですにゃー」
「それはどういう意味ですかにゃー。ちなみに、実はにゃーも古代言語マスターなのですにゃー」
ナットニャンダモはその賢さ故に、シャイニングニャンダモは普通に習ったために、古代言語が理解できるのですにゃー。
「にゃー。にゃんぐりっしゅですにゃー」
「そうなのですかにゃー。さすにゃろですにゃー」
「にゃー。さすにゃろ? それはどういう意味ですかにゃー」
「古代にゃおーん語で『すごーい』という意味なのですにゃー」
「にゃー。そうなのですかにゃー。さすにゃろですにゃー」
「さすにゃろですにゃー」
「にゃー」
二人は、ひとしきり互いを称え合うと、石碑の残骸に向かいましたにゃー。
「何かいい考えがありますかにゃー」
「にゃー。ありますにゃー。本来、一度壊されたものは元には戻りませんにゃー。諸行無常ですにゃー。ですが、ここには古代言語マスターが二人もいるのですにゃー。石碑の文章を読みながら破片を組み合わせれば、きっと元通りにできますにゃー」
そうして二人は、ネコミミ族にしては熱心に働いて、石碑を修復しましたにゃー。
二人が働いている間、他のねこたちは、それぞれごろごろして過ごしましたにゃー。
「出来ましたにゃー。完成ですにゃー」
「にゃー。さすにゃろですにゃー」
「さすにゃろですにゃー」
「にゃー」
すると突然、ポニャコンビの片方が大声で笑い始めたのですにゃー。
「ふにゃーっはっはっはっはーですにゃー。ご苦労でしたにゃー」
「それはもう、苦労しましたにゃー」
「にゃー。さすにゃろですにゃー」
そのポニャは『ポニャエモン』の方でしたにゃー。ポニャは続けて言いましたにゃー。
「シャイニングよ、にゃーのことを見忘れましたかにゃー」
ポニャがそんなことを言うので、シャイニングニャンダモは、彼の顔をじっと見詰めましたにゃー。
「忘れましたにゃー。どちら様でしたかにゃー」
「ふにゃはははは、だからあなたはねこなのですにゃー。にゃーですにゃー!」
そう叫ぶと、ポニャは仮面と服を脱ぎ捨てましたにゃー。
「あっ、あなたは……! 名前がいっぱいある、あのお方!」
「そうですにゃー、思い出しましたかにゃー」
普通に見えた仮面と服の下には、黒い仮面、黒いマント、鍛え上げられた筋肉の形がはっきりと分かる、黒いにゃんとスーツが隠されていましたにゃー。
「あなたは——引っ張れるほど文字数に余裕がないので普通に言いますにゃー——『<東方の吾輩はねこですにゃー>ブラック師匠ニャンダモ』!」
「その通りですにゃー。よくかまずに言えましたにゃー」
シャイニングニャンダモは、かつてブラック師匠ニャンダモの下で修行をしていましたにゃー。
その修行はとっても厳しくて、正にブラックでしたにゃー。
しかし、ある時、ブラック師匠ニャンダモは自らの意志でサタンニャンダモの手下になったのですにゃー。
「もふもふの仲間がなんの用ですにゃー」
「ふにゃはははは、にゃーはあなたたちが来るのを待っていたのですにゃー。にゃーは古代言語マスターではありませんからにゃー。その石碑はにゃーが頂いていきますにゃー」
「そうはさせませんにゃー」
ここまで見せ場のなかったダイナソーニャンダモが立ちはだかりましたにゃー。
「にゃーの必殺技ですにゃー。ダイナソークロー! ですにゃー」
そう叫ぶと、ダイナソーニャンダモの右手が……ちょっとだけ伸びましたにゃー。ちなみに左手はちょっとだけ縮みましたにゃー。
「足りない分はマジックハンドですにゃー。にゃ意棒ですにゃー」
「ふにゃはははは、だからあなたはねこなのですにゃー。これを食らうのですにゃー。『アヴァンギャルドスラッシュ・壱ノ型』ですにゃー」
ブラック師匠ニャンダモの強烈なねこパンチがダイナソーニャンダモを襲いましたにゃー。
「ふにゃーん」
ダイナソーニャンダモはごろごろと転がっていきましたにゃー。
「次はにゃーが相手ですにゃー! ネタ切れでも、馬がいなくても、にゃーは戦いますにゃー」
カウボーイニャンダモが二丁拳銃を構えましたにゃー。
「撃つべし! 撃つべし! ですにゃー」
「『アヴァンギャルドスラッシュ・弐ノ型』ですにゃー」
ブラック師匠ニャンダモは、その辺の小石を拾うと、カウボーイニャンダモの銃を目掛けて投げましたにゃー。
「ふにゃーん」
小石が命中すると、二丁拳銃は弾き飛ばされてしまいましたにゃー。
「次は誰ですかにゃー」
「にゃー」
「『アヴァンギャルドスラッシュ・参ノ型』ですにゃー」
「ふにゃーん」
ブラック師匠ニャンダモのねこキックで、ナットニャンダモは転がっていきましたにゃー。
「残るはあなた一人ですにゃー」
「こっ、こうなったら『シャイニングクロー』ですにゃー」
『シャイニングクロー』はシャイニングニャンダモの必殺技ですにゃー。敵の毛根を焼き尽くしますにゃー。
「それならにゃーは『ブラッククロー』を使いますにゃー。あなたの技は不発に終わりますにゃー。そしたらアヴァンギャルドスラッシュであなたの負けですにゃー」
手詰まりでしたにゃー。絶体絶命の大ピンチでしたが、その時、意外なところから救いの手が差し伸べられたのですにゃー。
「この石碑……これはいいお宝ですにゃー」
「にゃにゃっ! あなたは誰ですかにゃー。にゃーはポニャゴローですにゃー」
「とても美しいねこですにゃー。その帽子もコートもかっこいいですにゃー。にゃーはカウボーイニャンダモですにゃー」
いつの間に現れたのか、つばの広い真っ赤な帽子と赤いトレンチコートに身を包んだ、美しい女性が立っていましたのにゃー。
「にゃーの名前はニャ□メン・サンフランシスコですにゃー。世界ねこある……ではなく、世界を股に掛ける女盗賊ですにゃー」
「そうですかにゃー。にゃーはシャイニングニャンダモですにゃー。しかし、さすがにネタがマニアック過ぎではないですかにゃー」
「大丈夫ですにゃー。これを書いてる作者自身、全部のネタの半分も理解してないですにゃー」
「そうなのですかにゃー。ところで、あなたは脱獄囚ですかにゃー」
「にゃーは脱獄囚ではないですにゃー。これまで捕まったことがないですからにゃー」
彼女はそう言ってから、石碑を抱え上げましたにゃー。
「このお宝は、にゃーが頂いていきますにゃー。さようにゃらですにゃー」
「あっ、待つのですにゃー。にゃーはブラック師匠ニャンダモですにゃー!」
ニャ□メンは崖から飛び下りましたにゃー。全員で崖の縁から見下ろすと、彼女はハンググライダーで空を飛んでいましたにゃー。
「石碑が盗まれてしまいましたにゃー」
「懸崖勒馬ですにゃー」
「こうしてはいられませんにゃー。あなたたちをやっつけるのは次回以降に持ち越しですにゃー」
ブラック師匠ニャンダモはニャ□メンを追い掛けていきましたにゃー。
「これで今回は終わりですかにゃー」
「締め切りですにゃー。時間切れですにゃー。竜頭蛇尾ですにゃー」
「にゃーは修行をしますにゃー」
「にゃーはごろごろしますにゃー。馬はいませんけどにゃー」
「さようならですにゃー」
「またお会いしましょうにゃー」
サタンニャンダモ「にゃー」
この作品は『5ちゃんねる』の『安価・お題で短編小説を書こう!』というスレッドへ投稿するために執筆されましたにゃー。
もしご興味がありましたら、スレの方もご覧頂けるとうれしいですにゃー。