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第一話 A

ドグラマグラ太郎




ドグラマグラ太郎先生が僕に語りはじめた。


◇     


鮎。


食べ頃は七月初旬まで。


とれたての新鮮なのをすぐ食べること。


活あゆの刺身は洗い作りの王。


塩焼きは頭から食え。


頭の中のエキスがうまい。


はらわたは無論美味。


あゆの雑炊はふぐの雑炊に次ぐ雑炊の王。



握り鮨。


まぐろのとろや鉄火巻きなどはしょうがを載せて食え。


まぐろは酢に好適のものなれども少しくさい点がある。


これをおぎなうのがしょうが。



小あじ。


皮付きの方がうまい。


しかし適当に塩や酢が回らないとなまぐさい。



貝。


俺の嗜好からいうと赤貝か赤貝のヒモが一等いい。



のり巻き。


しっとりしめったのはまずい。


のりが乾燥してカサカサしているうちに食べないとまずい。



高級品。


高いものを食え。


もともと原料の高価なもの。


安いものは場違いの味のまずいもの。


       

天麩羅。


大きいのは見かけだおし。


揚げたて。


てんぷらに新鮮なだいこんおろし。


これにしょうゆをかけて食べれば俗なだしに優る。


新しい掘りたてのだいこんのおろしを吟味する必要がある。  



刺身。


わさびを生かして食う方法。


刺身の上にのせてしょうゆをつけて食べるとわさびは利く。


しょうゆの中にわさびを入れてしまっては辛味はなくなる。


しかししょうゆの味がよくなる。


わさびは最も調子の高い味の素と心得てよい。



だいこんおろし。


新しくないと不味い。


畑から掘り上げて間のない新鮮なのにかぎる。


赤い身の刺身にはだいこんおろし。


だいこんにしょうゆをしませて刺身につけて食べる。


白の刺身はわさびだけでいい。


赤い刺身は飯の菜。


白い刺身は酒に適す。


刺身の茶漬けは美味。


たい茶とかぎらず刺身はなんでも茶漬けになる。


煎茶のやや濃いめのものをかける。       



すきやき。


ロースやヒレを食う時は肉の両面を焼くべからず。


必ず片面をだけを焼くこと。


半熟の表面が桃色の肉の色をしているまま食べること。


◇   


ふぐ。


美食はふぐにとどめを刺す。


その証拠にはふぐが出ると他のものは食えぬ。


ふぐの刺身に優る刺身はない。


ふぐの美味さはすっぽんなどの比でない。


いかなる美食も比べられない。


ふぐには酒のような一種の独特な指向性と嗜好性がある。


君の好きな中毒性の話だ。

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