4.零と知り合いと切り札。
【種族1 人族】
アーシアに一番多くいる種族です。なにかこれといった特徴はありません。バランスタイプで、どんな職業にも大体います。犯罪者率が一番高いです。
とりあえず冒険者登録はできたが、宿代がないのでいったん幽閉の森というらしい我が故郷に帰り、一晩過ごした。
次の日。
「これ、売れる?」
ひとまず、宿代を確保するため拠点にあった付与魔法で作ったポーション類を冒険者ギルドの受付に出す。
「……こんなにたくさん、それもランクが高い」
「水がよかったんだ」
「なるほど、あそこの水は質がいいですからね」
アーシアの貨幣は八種類。下から青銅貨、銅貨、大銅貨、銀貨、大銀貨、金貨、大金貨、白金貨。それぞれ一円、十円、百円、五百円、千円、一万円、百万円、一億円。白金貨高すぎ?俺も思った。
ポーション類の合計は大銀貨五枚、大銅貨二枚。円で五千二百円。結構売れたな。
お金のめどは立ったので次は依頼……定番の薬草採取かな。初仕事だし。何々……同じ効果のポーションでもOK、そっちのほうが高く売れる、か。じゃそっちかな。
受付嬢に一応薬草が生えてる場所と薬草の形を教えてもらう。
───数時間後。
「こんなもんかな」
周りを見渡すと、ポーション、というより瓶が周りという周りにずらっと並んでいる。
……作りすぎたかも。
日も傾き始めた時間帯。そろそろ帰ろう、と思っていた頃。
「…あー…やりすぎた」
見知ったような声が聞こえた。
そちらに目をやると、確かに殺りすぎていた。
青年、いや少年というべきか。俺と同じような黒い髪。首には彼の身長の倍はありそうな青いマフラー。青系の服装。青年というには小さすぎる背丈。
あ、目が合った。端麗な顔、青い瞳。……、やっぱり。
俺は(・)こ(・)い(・)つ(・)を(・)知っ(・)て(・)い(・)る(・)。
カイト。
<世界樹>の会計。賭け事が大好物で、十八番はポーカー。ロイヤルストレートフラッシュすら出す真の化け物。水系の使い手で、右に出るどころか並ぶことすら怪しいとされる。二つ名は<水氷神>。
面倒なことになる前に行動する。
周りに散らばったポーションをまとめてアイテムボックスにしまい、カイトに近づく。
「よ、久しぶり」
「やっぱか。……で?アーシア(この世界)に何の用?」
「レイの手助け。…じゃんけんに勝った」
「手助け?…またそんな方法か。アルファは?」
「どーせお前のことだから、いろいろ知らないだろーと思ってな…後で全員くるぜ。王都にいるだけだ」
さすがカイト、俺の知りたいことをわかってるな。じゃんけんでいいのか……謎だな。
「これは最初の手助け」
これ?…付与魔法がかかってるな、もしかして…
「あたり。それは『天海神「カイティラクルの簒奪」』。対象から選択肢を奪うことができる、俺のとっておき。こういうのはよく考えて使えよ」
あの神様、次あったら絞める。
本当に<世界樹>のメンバー呼びやがった。
【種族2 亜人族】
アーシアに二番目に多くいる種族です。耳かしっぽが特徴です。いろいろな分類があります。大体何々族といわれることが多いです。正式には亜人何々族で、それぞれの分類でバランスが偏っています。特化した職業に就くことが多いです。