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ヒロインは逃げ出す




私は凄く幸運だと思った。

だって、死んだはずなのに、大好きだったゲームの、しかもヒロインに転生出来たんだから!!

私はこのゲームの婚約者のいる伯爵の男の子が好きだった。

だってとてもかっこよくて優しくて……。

婚約者じゃなくて、ヒロインを好きになった男の子。


よく転生系の小説を読んだりして、ヒロイン馬鹿だなぁなんて思ったけど、私はヘマなんてしない。

複数の攻略対象とも恋愛しない。

私は伯爵一筋でいく。

彼の攻略方法も分かっている。


そう、思っていたのに。


彼は私を好きになってくれなかった。


婚約者が好きなんだ。

婚約者が大切なんだ。

婚約者を愛しているんだ。と。


確かに彼の婚約者は完璧な人だった。

でも、私がある事ない事を呟けば、周りは私を信じてくれた。彼以外は。


でも、彼は私が会いたいと言えば会いに来てくれた。婚約者よりも私に会いに来てくれたのだ。

だから、浮かれていたのだ。

私の事を好きだとは言ってくれなくても、やっぱり私を選んでくれるじゃんと。


遠目から悪役令嬢である彼女を見たけど、凛とした綺麗な人だった。

でもそれだけ。

男は庇護欲そそる可愛い女の子の方が絶対に良いはずである。

でも、礼儀として、彼女には婚約者を奪ってごめんねと謝ろうと思った。

私ってなんていい子なんだろうなんて思っていた。


でも。


私は馬鹿だった。


私が彼女に会ったのは、最近彼女が唯生きている人形みたいだと噂されるようになってから。

私は人気のない中庭に彼女を呼び出した。

私はきっとそれまでは勝ち誇ったような顔をしていただろう。

でもそれは彼女の目を見て消えた。


遠目から見た時は、目に強い光を宿して、凛としていたのに。

今、私の目の前にいるのは本当に彼女?

こんな、死んだような目をするような人だった?

私が欲しい彼が愛していた彼女はこんな人だった?

……違かったはずである。

じゃあなんで?

………私?私がいけないの?


「……今更、何の用ですか?」

「っ!」


彼女の声にも力がなくて。

まるで生きる事を諦めたような……。


「貴方は良いですよね。ヒロインで。

みんなから愛されて。私は所詮悪役なんです。どんなに頑張っても、報われない悪役。

なんて、貴方に言ってもわかりませんよね。

……あら?なんで幸せな貴方がそんな顔をしているのです?貴方は幸せなんでしょ?

私から、彼を取り上げて。私は今、死ぬときを、断罪の時を待っているんです。

と言っても、私のやっていない罪で裁かれるんですけどね」


そう言って彼女は壊れたように笑った。


あぁ。私は馬鹿だ。大馬鹿だと思った。

彼女もまた、この世界に転生してきた子だったんだ。

彼女はきっと自分が悪役だって知って、そうならない為に頑張ったんだ。

でも私がそれを踏みにじったんだ。

そりゃ、彼も私を好きになってくれないわけだ。だって私は何一つ頑張ってないから。

何が奪ってごめんねだ。

私が奪ったのは彼女の誇りと生きる意味じゃないか。

私は1人の人生をぶち壊したんだ。

婚約者を奪おうだなんて正気じゃなかった。

ゲームだから、許される。ヒロインだから許されると思ってた。

でも、ゲームでもゲームじゃなくても奪っちゃいけないものだったんだ。

略奪愛なんてしちゃいけなかった。

……一方的な愛だったけど。


「ねぇ。早く私を断罪してくださいな。

もう、生きるのにも疲れたのです」

「………ごめん……なさい」


私はその場に居たくなくて、走り出していた。


私は、どうすればいい?

どうすればーーーー。





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