04話 接近者
学校のチャイムが鳴り、今日、一日の授業が終わったという知らせが学校に響いた。
俺はカバンを持ち席を立つ。急いで帰らないと…シエラも待っているだろうし。
そう思いながら教室を去ろうと思った瞬間、後ろから声をかけられた。よく聞きなれた男と女の声だ。
「よう!今日はもう帰るのか?いつもは本屋で立ち読みしていこうって誘ってくるのに、珍しいじゃないか」
「今日も遅刻してきたしなにかあったの?」
「まぁな…ちょっと用事があってな」
俺はそういいながら教室をでる。二人には悪いがシエラ関連には巻き込みたくはないからな。
放課後は生徒が廊下に押し寄せていて歩きにくく人込みを少し強引に進みながら学校を出た。放課後は学校から脱出するのも大変なんだよな…
俺は学校から出ていつもの通学路を歩く、今日は少し気温も低く風もあるため涼しくて歩きやすかった。
しばらく歩いていると大きな道に出る。人通りも多く、店もたくさんあって。学校帰りの溜まり場の一つで有名だ。
ちなみに、さっき言っていた本屋もここにある、どうせならここまで一緒に来ればよかったな…
店をちらちらと見ながら大通りを歩く。
その途中本屋を見つけると、店の外に張り出してある広告を見る。今は安売りをしているらしい。今度、大量に買い込みに行こうかな…
その後店を帰りながら軽く見ていると後ろから声をかけられる。
後ろを振り返って声の主の正体を確かめる。
黒いいとんがり帽子が特徴的な少女…シエラだった。
「お前、なんでこんなところに居るんだ?」
「えへへ…家でじっとしてられなくて…つい」
シエラはそういいながら頭の後ろを撫でる。お前追われてるのを絶対に忘れているだろ。
そこにツッコミを入れるとシエラは「うっ…そうだった…」と声を漏らす。おいおい…しっかりしろよ…
「ごめん…この世界のお店が珍しくて…どうしても」
「どうしてもって…まぁ、無事でよかった」
「ありがと…心配してくれて、それより学校は?」
「学校は終わった、そして、帰ろうとしたらお前にあったわけだが」
「そうだったの?私も神谷の学校を探していたのよ」
シエラは学校を探していたらしい。家でじっとしていてくれればよかったのに。
その後、俺たちは夕食を買って家に帰ることにした。ちょうどここにスーパーがあるしな。
俺たちはスーパーに向かって歩き出した。途中にシエラの格好がかなり目立っていたので、せめて帽子を脱いでもらうことにした。
「そういえば、その帽子って何なんだ?」
「これ?これはね魔力を増大させる力があるの…魔法使いには欠かせないアイテムの一つだよ」
「よくわからないが、魔法使いの大事なアイテムだとわかった」
このような会話をしていたらスーパーにたどり着いた。
スーパーに入ると野菜売り場に向かう。
シエラはこの世界の野菜がかなり珍しかったのか興奮しながら野菜を見つめていた。
俺はそんな彼女を尻目に今日の献立を考える。今日は無難にカレーとかはどうかな?作るのあんまり手間がかからないし。
俺はそう思い材料を集める。まずはニンジンだな…
「ねぇ…何を作るの?」
「カレーだな…知ってる…わけないか」
「うん、知らないおいしいの?」
「この世界では人気な物だと思うぞ」
その言葉を聞くと彼女は目を輝かせる。シエラは結構な料理好きなのか…
適当に会話をしながら材料を集めていく。ジャガイモにカレー粉、肉。必要な物を最低限に買い集めていく。無駄な物はあんまり買うことはできないからな。
途中シエラはお菓子屋やお惣菜に興味を示したが残念ながらそんなに買うお金はあんまりない。
俺はシエラのそう伝えると、シエラはしぶしぶそれを諦め手放した。
一通り買い物を済ませてレジに向かう。
会計を済ませると買ったものを袋に詰める。シエラも手伝ってくれたおかげで早く済ませることができた。
シエラはおいしいものが食べられることが楽しみなのか機嫌がよさそうに鼻歌を歌いながら喜んでいる。
スーパーを出たあと、急に異変が起きた。
急に起きる爆発。人々はそれに気いて逃げ惑う。
「なんだこれ!?」
「魔力!魔力の反応!まさかあいつらここまでッ!」
シエラがそう叫ぶ、あいつらって追って側の魔法使いか!?
俺がそう推測していると爆風の中から一人の男が現れる。
男はボロボロのコートを羽織り、にたりと笑っている。
「やっと見つけましたよシエラ…ここで始末する」
「なんで!?なんでここにいるの?ドーガス!?」
ドーガスと呼ばれる男はゆっくりと歩きながらこちらに向かってくる。
その表情は狂気に満ちていて、恐怖を感じる。なんだこいつ気色悪いな…
「なぁ…こいつってまさか」
「うん…神谷の思っている通りだよ…私を追ってここまで来た魔法使いドーガス!」
シエラの声がここ等一帯に響いた。