95話 帰還
今回もリオシー視点です。
私はセレンのことが気になりつつも、目の前の4人の回復に汗を垂らしながらも専念していた。
すると私の背後にリッフィが突然現れると、私の横に座りいきなり私の回復のサポートをしてきたのである。
私はそんなリッフィに対し、話しかけようとした瞬間、リッフィがいつもの少し悪めの話し方とは違う、真面目な話し方で問いかけてきた。
「さっきはリオシーに何があったの? 教えて」
「····実は」
私は回復しながらも、少し間をおきセレンに言われたことや見た物事をリッフィに伝えた。
するとリッフィは感謝を述べつつも、回復に力を入れだしたのである。
「ふむ。それは私でもああ言ってしまうかもね。ありがとうリオシー」
私はその感謝に少しながらも、心の中で感謝を伝えてから、リッフィの力が加わった回復柱にさらに力を込めたのである。
(こちらこそありがとうリッフィ。話を聞いてくれたおかげで、少し楽になったわ。)
私とリッフィの力によって、その場にいたイアやラックやイーフィやイセスの4人の傷はみるみるうちに治っていき、やがては完治した。
私とリッフィは完治したタイミングで、お互いの魔法を発動するために必要な魔力が、だいぶ少なくなったため、スッズに話しかけると、その場に腰を下ろした。
「スッズごめん。私は魔力だいぶ少なくなったから、休むわ」
「ごめん私も」
「いいですわよ! 私は魔力はだいぶまだありますから〜」
いつの間にかパスティの回復を終え、その近くで寝ているたくさんの幹部を同時に回復させていたスッズは余裕そうに、私達へと答えてきた。
そして私はまだ余裕そうなスッズに、少し嫉妬しつつも、その場で黙りながら座っていると、横で同じように座ってるリッフィが話しかけてきた。
「ねぇリオシー。」
「え···? は、はい?」
私はそのいきなりのリッフィの言葉に、つい畏まって返してしまったが、リッフィはそれに触れず、リッフィが少し感じていた疑問について問いかけてきたのである。
「戦闘で負傷しても、寝れてるとかまるであの人の能力みたいじゃない? ほらあなたの夫の神の力を盗んだ男」
「···確かにそうね。というかもしこの周りのスペースの幹部達が寝てるのが、あの男の能力だとしたら、まだここにいる可能性もなくはない···」
「そうね。あの男はセレン側についてる元人で今は神の力を持った、クロシーにとってはかなり厄介といういわば天敵となる男よね。」
「えぇ。クロシーに人生で初めて敗北という2文字を知らせた男よ。あれは驚いたけどね。」
私とリッフィが周りのスペースの幹部達の寝てる原因について話していると、目の前からある男が割って入ってきたのである。
「まさかその男の名はアネムか!?」
「なぜその名を知ってるのかな? パスティ君」
パスティの言葉にさらに、カノー様がパスティの背後から、パスティへと問いかけた。
そしてそのカノー様の背後には、少しイラついてるクロシーがいた。
私やリッフィはカノー様に頭を下げつつも、パスティへと顔を向けた。
パスティは私達を一瞬見渡すと、ため息を着き答えた。
「多分またそちらが神の世界を話すんだろ? ならその時に話すとしよう。」
パスティはそう言いながら、アピスの元へと去ろうとした。
だがそれをクロシーが止めたのである。
「あいつのことについて今すぐ知ってることなんでも教えろ! じゃなきゃ貴様を殺す!」
「怖いねぇ〜 でもそんなだからアネムに負けたんじゃないのかな?」
「き、キサマアアアアアァァ!!!」
クロシーはまだイラついてたのか、パスティの挑発にさえ、怒りパスティへと攻撃をしかけた。
だがそれをカノー様が武器を用い止めたのである。
「よせクロシー。ここで争っても意味もない。そしてパスティ。あまり挑発をしないでくれるかな? 」
「すまない。では俺はアピスとともに、そちらが完治してくれた寝てる幹部達を運ぶ準備をする。そこにいるラゼフも手伝え!」
「あ、はい!!」
どこかにいたラゼフがパスティに呼ばれ、私達の横から姿を現すと、一時的に私達に頭を下げて、パスティが向かってるアピスの元へと向かった。
カノー様に止められてたクロシーはすぐに剣をしまい、カノー様に謝るとそのまま黒い空間を、背後に作り出し、そこへと入るとその空間は消えてしまったのである。
「すみませんでした。カノー様」
私はそんなクロシーのことを思っていると、カノー様が私へと話しかけてきてくれたのである。
「貴方····」
「安心せよリオシー。クロシーは一時的な頭を冷やしにいっただけだ。」
「はい·」
私がカノー様に言われてもクロシーのことを心配していると、顔が少し腫れてるパスティのことを、引き摺りながらアピスがカノー様の所まで来たのである。
「カノー。申し訳ないうちの元夫?がそちらの幹部を傷つけた。申し訳ない。それでそちらのスッズのおかげでこちらはそろそろ帰還できそうだがこちらのギルドに来るか?」
「アピスか。いやそれは大丈夫だ。ふむ。私も少しやりたいことがあるだから、少しそちらのギルドに長くいさせて欲しいのだが可能か?」
「大丈夫だ。ただそのやりたいことは後ほど教えてもらいたい。」
「それなら大丈夫だ。」
「わかった。ではこちらはそちらを迎えるため、先に往く。では後ほど」
そして私達の目の前から、アピスとパスティは消え、奥にいたシャケやレナやラゼフがマメやエンジェラ達と幹部達やヒロの死体を乗せた台ごと消えたのである。
カノー様はスペース達が消えるのを確認すると、こちらを向きリッフィの横からスッズが、こちらに手を振りながら笑顔を向けたのを確認すると、カノー様が話そうとしたので、私とリッフィは立ち上がった。
「よし。では私は先程アピスとの会話のように。やることがあるため、スペースにゆく。だがリッフィとスッズはウチらのギルドの守備を兼ねるのと、休むために私達のギルドへと帰還せよ。
そしてリオシーは一緒にスペースへとゆくぞ。」
「はい! 我が主よ!!」
そしてリッフィとスッズは私に手を振りながらその場から消えた。私は2人を見送ると、カノー様の腕に捕まり、そのままスペースへと飛ぶのであった。




