90話 血鬼と赤い霧
今回は視点なしです。
ラゼフがいった途端、その場にいたカノーやリオシーやリッフィやスッズはラゼフの驚きの発言に言葉を出せなくなり、クロシーは真顔になり、トーヤとカリウスは座り込んだまま怯えていた。
その周りの状態予測してたのか、ラゼフは少し落ち込んでいると、クロシーがその場にいた全員に聞こえる声で呟いた。
「血鬼が開放されたか···」
「そうね。あなたが封印したんですものね。あの鬼を。」
クロシーの言葉に、カノーが反応した。そんなカノーに対し、クロシーは答えた。
「あぁ。ラゼフお前にも前までは、封印してあったのだぞ?」
「·····え?」
その言葉にラゼフは固まった。
ラゼフは自分にいつの間にかあった白鬼の力は知っていたが、その中に血鬼もいたとは知らなかったからである。そんなラゼフは慌てた声で、クロシーへと問いかけた。
「そ、それは···ほ、ホントですか?」
「ホントも何も。カリウスとトーヤはそれを知っていて、なおかつ血鬼は白鬼だからな。」
「····ええええええええええええええええええええええええええぇぇぇ!!!?」
クロシーの発言に、トーヤとカリウスは一旦身震いをした。そしてラゼフは驚きの連続だった。
そんなクロシーに対し、スッズがクロシーへと問いかけた。
「つまり白鬼が暴走すると、血鬼に変化するってことかしらん? そして白い霧も赤い霧へと変わると?」
「まぁ暴走というのが、1番近い言い方かもしれぬが、本質は違う。白鬼が血鬼に変化するには、1番親しい人を殺し、その血を浴びることだ。」
「そうじゃったのかあ。」
その2人の言葉を聞いていたラゼフは、何かを悟ったため、クロシーへともう1度問いかけた。
「つ、つまりその親しい人ってのは、どんな人でも?」
「まぁ1番好きな人や、1番仲良かった人だいたいそこら辺だなぁ···!」
(そうなるとまさかあのチノンちゃんが···? いやそんなことはあって欲しくない。)
ラゼフが頭の中で考えていると、クロシーはラゼフへと話しかけてきた。
「ラゼフもあの赤い霧に見覚えがあったからここに来たのだろう? てっきり血鬼を知ってるとは思ってたんだがのぉ。それともそこの2人に怒り、一瞬だけ家族の前で見せた時かな?」
「え···? カリウス兄さんとトーヤホント···なのか?」
するとカリウスは怯えながらも答えた。
「ホントだ····。ラゼフは一瞬だけ赤い霧を出したが、すぐに気を失った。だがその時のラゼフは強烈な殺気だった。だからその時みた赤い霧は今でも怖い····。」
「·······」
トーヤはただ黙っていた。その2人の顔にラゼフは落ち込み、2人へと謝った。
「俺はスペースにある古めの本で、赤い霧のことを知った。だからこそカリウス兄さんやトーヤにそんなことをしてたとは思っても見なかった。申し訳なかった···」
「ラゼフは謝ることは無い···。俺達も悪かったからな? トーヤ」
「あ、兄貴の言う通りだよ。大丈夫だよラゼフ兄」
ラゼフはその時明らかに2人が、自分から距離を置いてるのがわかった。
そしてラゼフ達がそうなってる時、カノーはラゼフに話しかけた。
「ラゼフよ。その場所までのここからの道は分かるか?」
「はい···。分かりますけど···?」
ラゼフが少し落ち込みながら、カノーに話すと、カノーは突然立ち上がり、そこにいた全員へと伝えた。
「よし。カリウスとトーヤはここに残れ。とうぶんここを空けるであろうからな。
そしてクロシーとスッズとリオシーとリッフィは戦闘準備に取り掛かれ。そしてクロシーにはリオシーをサポートで取り付ける。だからクロシー血鬼の能力を抑えろ。そしてエンジェラという子を救い、その場にいる敵を殲滅せよ。」
「おおせのままに。我が主よ。」
カノーの言葉にカリウスとトーヤ以外が、答えると、その場から一瞬で消え、なんと数秒で姿をリオシーは黒い鎧を装着し、スッズとリッフィは真っ白な大きな扇のような物を持ち、クロシーは右手に黒と白で2分割されてる剣を持ち、戻ってきたのである。それにラゼフは驚きを見せていた。だがすぐにカノーがラゼフへと話しかけたのである。
「何をしているラゼフ。ゆくぞ。カリウスとトーヤ任せたぞ?」
「承知しました。我が主よ」
「は、はい。」
そしてカリウスとトーヤはカノーに答えると、その場に立ち上がり、カノー達を見送った。
ラゼフはそんな2人に告げると、その場を後にした。
「それじゃあね。あえて良かった。カリウス兄さんとトーヤ。」
「うむ。またなラゼフ!」
「またねラゼフ兄!!」
そしてラゼフが建物の外へと出ると、そこにはカノー達が待っていて、ラゼフはすぐにカノー達の前へとゆくと、カノー達に声をかけてから、地面を蹴り、空中へと飛ぶと、エンジェラ達の所へと飛んだ。
「遅くなりました。それでは行きます!」
カノー達もラゼフに続き、空へと飛ぶと、エンジェラ達の所へと高速で飛んで向かうのであった。
そしてその頃一方の血鬼はというと、赤くどす黒い霧を出しながら、甲高い笑い声を出しながらイウに攻撃を仕掛けてるのであった。
「ガハハハハハハハ!! ソノテイドカ? ソノテイドナノカ!!?」
イウは血鬼の攻撃におされながらも、血鬼へと笑いながら話しかけた。
「キャハハハハハハハハハハハハハ!! これからだよおお血鬼ちゃあああん!!」
そしてそんな2人の姿をセレンは笑顔で見ていた。
そしてなんとそのセレンの足の間から、意識を取り戻したアピスやパスティが呟きながら見ていたのである。
「ありゃまさか血鬼か···?」
「こんな所にまさか血鬼···?」
そしてシャケやほかの人達も意識を取り戻し始めてたのであった。




