89話 ディアグラディオ
今回はラゼフ視点です。
俺は鳥居の前に着くと、1度エンジェラ達の方角である後ろの方を向きながら、エンジェラのことを頭の中で考えていた。
(エンジェラ····赤い霧からは逃げていてくれ····)
「おや久々だなラゼフ!」
「お、ほんまや久しいじゃんか兄貴!」
そしたら突然俺の背後から突然聞き覚えのある、低めの懐かしい声が聞こえてきたため、俺が振り向くと、そこにはガタイが良く肌の色は薄い肌色で、髪は左側の男は白色の短髪で、右側の男は水色の短髪である2人の人が、鳥居を入った所で、棒立ちしながら驚きの顔をしていたのである。
俺はその2人の顔に見覚えがあったため、俺は問いかけた。
「も、もしかしてカリウス兄さんとトーヤなのか?」
「そうだぞ! いやぁホントに久しぶりだなぁ〜」
「ほんまほんま! 今回は何しにきたん? あ、まさかなんかあったとか?」
俺の目の前にいる2人は俺の兄弟で、生まれは同じなのだが、2人だけ違うギルドに行ってしまったため、俺は別れて以来顔を見るのはこれで2回目であった。
ただ俺は久々の再開よりも赤い霧のことを、ホック町にあるひとつのギルドである “デアグラディオ“ の長に会いに来たため、俺は2人に頼んで見た。
「カリウス兄さんとトーヤ。すまないが急いでここのギルドの長に伝えたいことがあるんだ。だから俺をギルドまで連れてってくれないか?」
「ん〜どうする? カリウス兄貴」
「急いで向かうぞ。二人ともついて来い!」
「ありがとうカリウス兄さん」
カリウス兄は俺の言葉を聞くと、トーヤの言葉を流し、ギルドへと歩きながら告げた。俺はそれに感謝を述べながら、カリウス兄の後ろを歩き、トーヤは一瞬ムスッとしたが、俺の後ろを着いてきた。
それから俺達はかなり歩き、ようやく赤く大きな屋敷の目の前にある、また黒と白の鳥居を潜り、屋敷の赤い門の前へと着いたのである。
そしてそこに着くとカリウスは、門の前である人の名を呼んだ。
「スッズさんいますか!? 出来れば門を上げてほしいのです。私の弟でありギルドスペースの幹部のラゼフが、カノー様に急ぎ伝えたいことがあるとの事です。」
カリウスが門に話してる間に、トーヤは唾を飲んでいた。もちろん俺もだった。
なんせ俺は前来た時は、ギルドには来ることはなかったため、入るのも初だからである。
カリウスが話し終えた時、門がいきなりまるで空気のように消えると、そこには赤い衣装を身にまとった、水色の瞳と青色の腰あたりまでの長い髪で、背中からは白く小さい翼が生えている女性がいたのである。
女性は現れたと思いきや、突然俺の横に現れると、俺を見上げながら透き通った声で話しかけてきた。
「ほほぅそなたがあのシャケがおるギルドに仕えとる者か、緊急案件なのじゃったな。
カリウスとトーヤそしてラゼフ私の肩に触るが良い。」
するとカリウスとトーヤが無言でスッズと呼ばれている女性の肩を触ったため、俺も疑心暗鬼のまま肩に触ると、一瞬で場所が変わり、スペースの幹部達が集まる部屋のような場所の中央にうちらはスッズの能力か何かで飛ばされたのである。
俺はそのスッズという女性に、色々問いかけようとしたが、既にいなかったため、俺はカリウス兄に近寄り尋ねた。
「カリウス兄さん、さっきの女性といい、この転移みたいな何かの魔法といい、一体どうなってるんだ?」
「ラゼフ。説明が遅れたな。さっきの女性はスッズさんといってな。体に触れたものの時間を止める能力を持っていてな、この場にはスッズさんに運ばれたんだ。そしてその他にもここにはいる···ぞ···」
するとカリウス兄は話しながら周囲を見渡してると、突然絶句したのである。
突然のことに俺も周囲を見ると、そこには既に背中に翼が大きさはバラバラだが、生えた人が4人の女性が立っており、1人だけ体や目や髪が黒と白に半分ずつ分かれている男性が、その4人の奥に座っていたのである。
俺がいきなりのことに驚いていると、その4人のうちの1番翼がでかく、橙色の短髪で白く和服のような服を身に纏っている1人の女性が俺へと話しかけてきたのである。
「待たせてすまないのぉスペースの者よ。それで急用とはなにかな?」
俺はその女性から神々しさを感じたのか、体がいきなり膝を着いてしまった。
俺も自分のいきなりの行動に驚いていると、その女性の横にいる、髪や瞳や服といったものが全て白に包まれている女性が、俺へと話しかけてきた。
「流石に神を見たのは初めてみたいねぇ〜。まぁ誰でもそうなるから安心しなさいスペースの者!」
「誰でもねぇ····」
「クロシー何かいったぁ〜?」
「な〜にも。これだから怖いなぁ〜!」
俺はその2人のイラつきが、感じたことの無いレベルの殺気に感じてしまった。
俺がその殺気に耐えていると、1番翼の大きい女性の1番近くにいる、1人の女性がそのクロシーと女性に注意をしたのである。
「やめなさいクロシーとリッフィ。」
「はーい。」
「リオシ〜でもあいつが〜!!」
「カノー様の妹だとしても次やったら懲らしめますよ? リッフィ」
「む〜。分かったよぉぉだ!」
リオシーという女性により、何とかクロシーとリッフィの喧嘩は収まった。
そしてそれを見た俺は、赤い霧のすぐさま伝えるべく、かすかにリッフィからクロシーに対する殺気に耐えながら、その場にいる全員に伝えるのである。
「先程までアピス様率いるスペースの軍団と魔物を率いる闇落ちした人達との、戦闘が行われていて、多分その戦いは集結したかと思いますが、私が先程その場に向かった所、その所で空へと登る赤い霧を見ました···。」
するとその場にいた全員が体を乗り上げ驚きの顔をしたのであった。




