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英雄記  作者: ターコ
5章 絶望と書いて悲劇
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84話 悲戦

今回はエンジェラ視点です。

私とチノンはそのフードが外れたあの方の正体を見て、驚愕しすぎて言葉も思いつかない所か、口が空きっぱになってしまっていた。

私達がそんな状態の時、あの方は私達を見てから、私達の背後にいるイウに目線で合図したのか、イウがあの方のすぐ横へと移動した。

そしてそれを確認したあの方は、ついに私達へと声をかけてきたのである。


「フフフッ久々に私に見せる顔が驚きの顔とは、流石に少し残念だ···にゃ〜? フフフッ」


「キャハハハ! 仕方ないよおお! 前まで仲間だと勘違いしてたあまちゃん達よおお? 」


「それもそうね。フフフッ」


その2人の言葉で少しイラついたおかげか、言葉も出るようになったので、私が先に話そうと思ったら、チノンが先に話したので、それにかすかに驚きつつも、チノンの後に私は続いた。


「ほ、本当に·セレンちゃんなの···? 」


「セレン。いつから私達···いやああなたに関わった全員騙してたの?」


私達の言葉にあの方ことセレンは何も語ることなく、笑みを浮かべたまま、立ち尽くしていた。

イウはその横で、ただ笑いを堪えていた。それに流石にキレたのか、初めてチノンが私の目の前で、怒り口調でセレン達に話したのである。


「ねぇ何も言わないわけ!!? 私達の反応でも楽しんでるのなら、本当に悪趣味だよ貴方達は! もうそんな人達は、私が倒す!! エンちゃんここで待っててね。」


チノンはそう私に背中を向けたまま告げると、武器を持ち、もう普通の状態で発動できるようになっていたのだろうか、無心の刃の状態になったのである。私はそんなチノンの腕を掴むと、を止めようとした。


「チノンだめよ! あなたまでやられてしまうわ! だからここは抑えて! ね?」


「じゃあどうするの? エンちゃん。逃げることも無理、私達しか動けないこの状態。一体どうしろと?」


「それは···」


私はチノンの真っ直ぐな言葉に、私は圧されてしまい、黙ってしまった。そんな私の状態に気づいているのかは分からないが、チノンは私の手を取り払うと、私にある言葉を告げてから、武器を構えてセレンへと走り出した。


「ごめんね。そしてエンちゃんは私が守るから。」


「チノン···· いやだ···行かないでよ!チノオオォォン!!!」


私は少し泣きながら、チノンへと叫んだ。多分チノンにも届いていたのかもしれない。チノンは涙を零しつつ叫びながら、セレンへと盾を捨て、剣を振りかざし斬撃を飛ばしたのである。


「こんちくしょおおぉぉぉ!!!!!」(ごめんねエンちゃん。本当は止めてくれたことは嬉しかった。でも今の私はなんでか自分でも、止めれそうになかったんだ。だからごめんね)


(チノン····。なんだかもう遠くに行ってしまったみたい····。なんだか寂しい···)


私とチノンがお互いを心の中で、思いあっている時、すでに斬撃はセレンの間近まで届いていた。だが、セレンは何もすることなく、それを受けたのである。

私とチノンは受けたことにはそこまで驚きがしなかったが、斬撃によって出来た煙から、セレンらしき手が出てきたと思いきや、その手がチノンの首を掴むと、そのままチノンは煙の中へと入れられたのである。チノンは叫びながら、煙の中へと入れられたため、私はそんなチノンの名前を叫んだ。


「いやああああああああぁぁぁ!!! 離せぇぇぇぇ!」


「チノオオオォォォオン!!!」


だが煙の中へとチノンが入った瞬間、チノンの叫び声はすぐ止んだ。私はその煙を警戒しながら睨んでいると、その煙の中から見覚えのある剣が飛んできたのである。

私はその剣を剣で火花をだしながら、防御しつつ避けた。そして避けてから、私はその勢いがなくなり、落ちている剣の方向を見た。


(あれはチノンの剣···? なんで飛んできたんだ。)


私はそう考えつつも、私は前の方に振り向いた時、私は驚きと悲壮感に襲われた。

私が振り向いて、目の前を見ると、そこには笑みを浮かべ立っているセレンとイウの前に、私の方に剣を構えているチノンがいたからである。私はそのチノンから、ラビス達と同じ闇堕ちの感じを感じたため、笑みを浮かべているセレンへと問いかけた。


「セレン!! 貴様チノンに何をした!!」


「エンジェラちゃん。さっきの質問に答えてなかったわね。今答えてあげるわ。騙してたのは最初からよ。そしてもう1ついいことを教えてあげるわ。これは私の能力のほんの1部でしかないけれど、私はね目を赤く光らせ、そこに赤い月を実体化させ、その月には闇堕ちに必要な魔法の魔法陣が埋め込まれてるのよ。だからね私はそれでレナを闇堕ちさせたのよ。あとの人は連鎖で闇堕ちしてたけどにゃ! フフフッ つまり今ここにいるチノンは私の駒よ。さぁ貴方は戦えるかしら? 1番思いを寄せていた友人に! ハハハハハハハハハハハハハハハッ」


「クッ」


セレンは私の問いかけに長々と話した。そして私はチノンが敵の罠にハマってしまったことがわかったため、戦おうと武器を持とうとしたが、武器を落としてしまった。多分体では分かっていても、心は言うことは聞かなかったんだと思う。仕方ない。なんせ"チノン"だったから。

私が戦えない状態と見込んでか、セレンはチノンへと命令した。


「チノン。エンジェラは殺してはダメよ。ただ今の気持ちをぶつけつつ、いたぶってあげない。フフフッ」


「は〜い! エンちゃん! エンちゃんってさいつも失礼だよね。」


「え···?」


チノンはセレンの命令を聞くと、私に話しかけながら、私の方へと歩いてきた。

私はそのチノンの言葉が信じられなかったため、驚きの声をあげた。それに対し、チノンはまた話し続けた。


「だってさ。いつも私よりも先を行ってるんじゃん!? 強さでも周りからの信頼度でも··。私ね。本当は羨ましくてエンちゃんのその強さ惜しかったんだ! でもねもうセレンさんからこんなに強い力頂いてさ! 今ならエンちゃん殺せちゃいそうなんだ。 だからさエンちゃん···しんで?」


そう言い告げると、チノンは今までにないスピードで、地面を蹴ると私へと剣を振りかざしながら、向かってきたのである。

私はチノンの言葉と、チノンの行動にアタフタしてしまい、ただチノンの剣を受け止めるしかできなかった。そして私は剣を受け止めながらも、チノンへと話しかけた。


「やめてチノン! わかったからもう戻ってお願い!」


「何甘いこと言ってるのお? エンちゃん。今は楽しい楽しい戦いの最中じゃん! ほらあのなんだっけ? あ、思い出した。白鬼を早く出してよ! じゃないとつまらないからさぁ!!」


チノンに私の言葉は届かず、ただ私はチノンの攻撃に押されつつ少しずつ後退していっていた。

そしてそれからも攻撃は止むことはなかった。私は攻撃を受け止めずつ、チノンの顔を見るとそこには笑みを浮かべている訳ではなく、ただ悲しい表情をしているチノンがいた。

そんなチノン顔を見た私は悩んでいた。


(チノンは本当は私とは戦いたくはないのか···? でも止めるにしても策もないし···攻撃したくもないし··一体どうしたらいいのよ···)


だがその時だった。私の心に突然誰かがかすれた声で話しかけてきたのである。


〔エンちゃん···。ごめ····んね。私抵抗して···るんだけど···さ。この···体言うこと····聞かないんだ····。やっ···ぱエン···ちゃんの···言う通りに····しとけば良かった···な〜 アハハッ··〕


私はすぐその声が誰だが、わかったたが、返し方が分からなかったため、取り敢えず自分の心でチノンの事を思いながら話した。


〔これで通じてる··? てかチノンなのよね···? ねぇチノン···ごめんなさい。チノンが本当はあんなこと思っていたとは思わなくて····本当にごめんなさい···〕


私が話しながら泣いて謝ると、闇堕ちしていたチノンは私へと笑いながら話しかけてきた。

そして本当のチノンは今度はちゃんとした声で謙遜しながら、お願い事を頼んできた。


「アハハッ何泣いてるのエンちゃん! もしかしてビビってるの!? 本当はこんなに弱かったなんてなんかガッカリ アハハ!!!」


〔聞こえてるよエンちゃん。いやいや謝らなくていいよ···! 確かに私も多少は思ってたこともあったけど、闇堕ちしてわかったんだけど、少しでも相手などを負のイメージで思ったり、相手の力を奪おうと思っている心を肥大化させるのが、闇堕ちかな。だから本当に私はエンちゃんを守りたいために、力を付けてきたのだから、今守れてない上に、敵の罠に落ちて、エンちゃんを攻撃してる私こそ、本当は謝るべきなの··。だからごめんね。そしてお願いがあるの···! エンちゃん。 私を····〕


〔え·····? 〕


私はそのチノンのお願いに、驚くしかなかった。そして闇堕ちしてるチノンを無視して、私はホントのチノンに話しかけた。


〔チノン正気なの!!? 私には荷が重すぎて出来ないよ····。〕


〔正気だよエンちゃん。それにね頼めるのエンちゃんにしか出来ないの···。だからさお願い! 〕


私はそのチノンからの心の言葉を聞いて、現実に戻りふと闇堕ちしたチノンの顔を見ると錯覚なのか、チノンの笑みを浮かべている顔が見えてしまったため、私は目をつぶり、剣を強く握り言葉に出せない程の大声で叫びながら、チノンの剣を押し返し、そして腹付近に自らの剣を無我夢中で突き刺した。


「ちくしょおおおおおおおおおおおぉぉぉぉ!!!!!!」


そして私の手に、剣を伝わり水のような赤いものが流れるのであった。

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