79話 絶望の予兆
今回誰の視点でもありません。
シャケとレナが抱きしめを解除して、手を繋いだまま、レナは少し照れながらシャケは真顔のまま、エンジェラ達の所へと歩いていった。
そしてシャケはエンジェラ達の所へと近づくと、すぐにレナから離れヒロの近くへと座るとヒロへと呼びかけた。
「ヒロ····。よく頑張ったな。お疲れ様!」
そしていつの間にかシャケの横に座ったレナに対し、周囲は少し警戒をした。レナ自身もそれに気づいたのか、周囲の人達に対して声をかけた。
「私はたしかに今まで操られ、皆に被害を被ってしまったわ。許されるはずも、信頼されないかもしれないけれど、今はみんなの事襲おうとも、攻撃しようとも思わないわ。」
「皆レナは大丈夫だ。俺が保証する。」
レナに続いてシャケが周囲の人達に言ったため、周囲のエンジェラ達は警戒を解いた。
だがシャケの反対側でずっとヒロの近くに座っているイーフィは警戒を解かず、シャケへと話しかけた。
「シャケさん。あなたの保証があろうともすみませんが、私はヒロを死なせた元敵達のことは信用も信頼もしません。」
「イーフィよ。そうだとしてもな····」
「無駄よシャケ。」
イーフィに対し、シャケが話しかけようとした時、シャケの背後からイアが割って入ってきた。
そんなイアへとシャケは、首を傾げつつ問いかけた。イーフィはイアの割って入ってきた時、またヒロの顔を撫でながら、悲しい顔をしていた。
「なんで無理なんだ?イア」
「まぁこれは乙女心の問題だから、女の子しか分からないわよ。だからあなたは後ろね?」
そうするとイアはシャケの服にふれると、シャケごとエンジェラやラックの背後へと飛ばされた。シャケはそんなイアへと怒ろうとしたが、すぐにシャケの右肩が叩かれた。シャケはすぐに背後を見ると、そこにはイセスがいた。そしてさらにイセスの背後には、マメがまだ倒れていて、近くにはラビスが付き添っていた。
現在の状況を把握したシャケはため息をつくと呟いた。
「はぁ〜まぁ仕方ないか。俺は男だから、あんまし女の人の気持ち分からんし、それにこの状態で怒ったら迷惑か」
「言葉に出てますよ。シャケさん。」
「出していったんだよイセス。まぁあとはアピス達ので終わりだし、休憩するかな。」
シャケの呟きに、イセスは反応したが、それに対してシャケは呆れた感じで答えた。そんなシャケに対して、ラックがシャケの元へと近づくと答えた。
「まぁ乙女心のことは仕方ないとして、少しおかしいとは思わないか?シャケ」
「ラックか。おかしい所かあ。俺はとにかく思いつかんがなあ。例えばどこだ?」
シャケの答えに、ラックは少しため息をつくと、話しかけてきた。
「一人称も変わって、少し冷静さが足りんぞシャケ。まぁさっきまで戦いをしていたから、仕方ないか。 私が思うおかしいな所はな。ラミアやラビスやレナといった、そこら辺のやつらより強いヤツらの精神を操られたのに、何故か隙が必ずあった。1人だけなら分かるが、こんだけの人を操られるなら、1人だけでも隙を無くすことも出来たんじゃないかとどうかな?」
「確かにそれも考えられるな。でも1人1人の自我が強すぎて、時間的に出来なかった可能性も考えられるな。まぁもしラックの仮説が正しいとして、それがわざとなら何の意味があるんだ?」
「やっと冷静になったわね! 確かにそうねえ···。まぁホントのとこはいつか戦い会ってみないと分からないかもね··!」
そしてシャケとラックはラックの言葉を最後に、 黙ってしまった。イセスはシャケの背後で、黙りながらイーフィのことを心配に思いながら、見ていて、エンジェラやイアやチノンやラミアやリビーや他の幹部達はただヒロの周りを囲み、周囲を警戒しつつも、休憩していた。
ただレナはラックとシャケの近くへと行くと、2人へと問いかけた。
「答えにならないかもだけど、ヒントになるかもしれないけれど、知ってること話した方がいいかな?」
「え?」
「お願いしたいわねレナ。あなたが多分あの方と1番一緒にいた人でしょ?」
「え·? あ、イアさんでしたっけ? 」
レナの言葉に、ラックとシャケは驚きの反応を見せたが、レナの背後からイアが迫り、レナへと話しかけた。そんなイアにレナは驚きイアへと話しかけた。するとイアはレナへと応えた。
「私のことはイアでいいわ。まぁとにかく話してくれないかしら?」
「わかったわイア! まぁとにかくあの方と呼ばれてる人の名前とか性別とかは正直私でも分からないわ。ただあの方に1番一緒にいたのは、私ではないわ。誰かは分からないけど、いつも私達以外の反応がもうひとつあったのよ。周囲にいる中では1番かもだけれどね。まぁあいつが何しようとしてるのかは分からないけど、あいつはかなり感情にこだわっていたかな。ほかは何も見せなかった。」
レナの言葉に、イアとラックとシャケは考え込み出した。そしてシャケが呟いた。
「つまりもしかしたら、敵側にはもう1人いるってことはわかったなこれで。そして俺の予測でと、わざとレナ達の隙を作り、どこかで見ていて、もしかしたらこの戦いは実験とかではないよな···?」
「いやありえるわそれ。あいつなら多分やりかねないわ。」
「私もレナに同意見だな。まぁそして怒りも増してきた。」
「ええそうね。でてきたら苦しめてから殺してやるわ。」
そしてシャケの推測に、イアやラックやレナの怒りは少し増し、その増した怒りにシャケは少し引いていた。
そしてイアやラックやシャケは話してくれたレナへと感謝を告げた。
「まぁありがとうな話してくれて。」
「うんうん。ありがとうねレナ。そしてこれからもよろしくね!」
「イーフィはああ言ってたが、私は信頼してるよ。ありがとうね!」
「みなさん私に感謝しないでください。私は自分の罪の償いのためにも、これからは皆さんの役に立つために頑張っていくので、なんかあったらイアとラックは私に申し付けてくれていいですよ。」
レナは少し嬉しそうになりながらも、感謝を受け取ることはなかった。そしてイアとラックへと応えた。したらシャケがレナへと問いかけた。
「レナ! 俺は? 俺は?」
「あなたはだって言わなくても私を守るじゃない! 私もそれに応えていくからわざと言わなかったよお! 全く乙女心が分かってないわね! フフフッ」
「シャケが怒られてるプップップッ」
そしてレナの言葉に拗ねたシャケは、イアやラックに笑われて、その場は少しの間温まった。
レナ達が話してる時間、シキはたまに遠くの方を見ながらも、ラゼフやキュウやリヴィとともに、ギルドへの避難誘導を終わらせ、ギルドの門の前で、座りながら休憩していた。
そしてキュウがラゼフへと話しかけた。
「ラゼフさん。さっきよりは金属音だいぶ収まってきましたけれど、勝ったんでしょうか?」
「どうだがなあ。まぁ向こうにはシャケさんや、ヒロや、アピスさんもいるんだし、勝てるとは思うけど一概にはいえないからなあ。」
「まぁそうですよねぇ〜まぁ私達は待つだけですものね。」
そしてキュウは話すのをやめ、ラゼフも黙ったが、シキが心配のため、ただずっと見ていた。
そんなラゼフの心配を察したのか、リヴィがシキへと話しかけた。
「シキやっぱり何か隠してみる? 何かあるなら話してみ?」
「え?」
「隠してるのか? シキ」
リヴィの言葉に、キュウもシキの方を向き、ラゼフも驚きつつ、シキへと話しかけた。
するとシキは少し間を置いてから答えた。
「皆さんおぼえてますか? セレンのことを。」
「覚えてるも何も一緒にいた人だろ?」
「私も話したことはないけれど、覚えてる。」
「リヴィと同じく。私も覚えてる。」
3人の言葉を聞いたシキはまた少し間を置いてから、3人へと話した。
「実はですね。あのアピスさんのギルド全体への緊急放送前に、イーフィさんと私でセレンを見つけたんですけど、セレンはもうその時には完全に敵だったんです···。それにイーフィを圧倒出来そうなぐらいに··」
「うそ···だろ···?」
「え···?」
「じゃああのセレンちゃんは敵···?」
「そう···なり··ます····」
シキはそう話してから、3人の言葉を聞いてから、シキが3人へと応えようとした時だった。
シキはいきなり頭痛に襲われ、そこに倒れてしまったのである。
「シキ!!?」
「シキくん!!!?」
だがシキは普通の頭痛では無いことをすぐ、わかった。確かに頭は痛かったけれど、目の前にエンジェラがいるのだから··。だが目の前に映っていたエンジェラは何か様子が、おかしかった。体は赤く光、左手には禍々しい剣を持っていながら、上を向いてたからである。そしてエンジェラのすぐ下の方に見ると、そこには倒れてるみんながいた。そして上を向こうとした途端、頭痛が治り、映っていたのがきえたのである。
(なんだあれ···。なんでみんな倒れてたんだ··? なんかやばい感じがする。)
「大丈夫か? シキ!!?」
シキの頭痛が治った時、左からシキの名を呼ぶ、ラゼフの声が聞こえたのである。シキはすぐそちらの方向を見ると、そこにはキュウとリヴィとラゼフがいた。
そしてシキが起き上がると、すぐにリヴィから声がかかった。
「大丈夫か? 」
「はい ありがとうございます。ですが、もしかしたらアピスさん達が危ないかもです。」
「え·? それはどういうこと!?」
「教えてくれシキ!」
そしてシキは見た事の全てを、3人に話した。
そしたらラゼフはすぐに立ち上がると、シキへと手を伸ばした。
「なら行かんとなラゼフ。キュウとリヴィは一応ここに残れ、何かあれば念で呼ぶ。」
「はい! 気をつけてください。」
「あぁ··。ほら行くぞシキ!」
キュウとリヴィはラゼフの指示にすぐに返事をすると、一応武器をもつために、ギルド内にきえたのである。
そしてシキはラゼフの手を掴むと、元気よく返事をした。
「はい! 行きます!」
「よし行くぞ!」
そしてシキとラゼフはエンジェラ達のところへと走り出した。
(チノンとエンジェラ無事でいてくれ···)
そしてシキやラゼフが、エンジェラ達の向かうのを空で見ていた人物は、呟いた。
「キャハハハ。相変わらず人間ってチョロオオオイ! まぁあの人に呼ばれたことはやったし、あの人の所に戻ろおっと! フフフッ」




