78話 これからは共に···
今回はシャケ視点です。
ずっと目の前でふせていて、息切れしながら叫んでいるレナのことを、私は色々と考えながらレナの頭のすぐ上から、ただ黙って見ていた。
(何があったのか分からないけど、多分レナにも昔何かあったのかもしれないですね。まぁこれがアピ·····。いえあの人のことは考えないで起きますか。さてどうしましょう)
「はぁ······はぁ·····何··見てんのよ··。私は···はぁ····敵よ··? 今··ならたお··せるんじゃ···ないかしら···? はぁ···」
レナは苦しみながらも、私へと話しかけてきた。私はそんなレナへと問いかけてみた。
「そんな状態のレナを倒しても、私は満足しませんよ。まぁさて1つお聞きしたいのだが、あなたは今過去のことを思い出してますか?」
「はぁ···そう···はぁはぁ··だったらあなたに何がある··のよ? 」
レナは私の質問に、体を一瞬震わせてから数秒の間を置いて、逆に聞き返してきたのである。そんな私は察しつつも少し笑みを浮かべながら答えた。
(やっぱり思い出してたかあ)「そうですね〜。少しあなたに興味が湧いたからでしょうかね!」
「何よそれ··はぁはぁ あんた馬鹿ね!···はぁ まぁ先程の質問に答えるとなると···はぁ··あなたの予測通りよ」
「ふむ。そうですかあ」
レナは何故か少しずつ、息も少し整ってきたのか、軽く息切れするぐらいでだが、笑みを浮かべつつ返してきた。だが戦い始まる前の殺気の笑みではなく、柔らかい笑みに変わっていたことはその時の私は、まだ気づいていなかった。
そして私の相槌を聞いたレナは、少し柔らかい感じで笑みを浮かべながらまた問いかけてきたのである。
「それで? はぁ··はぁ··私が過去を思い出してるとして···はぁ··シャケに何か利益でもあるのかしら?」
「利益はありませんよ。ただ私は今まであなたのことをただの、復讐相手とだけ思ってきましたが、あなたがこんなに苦しんでる姿を見て、あなたにも苦しんだ過去があるのかな? と思ったので、聞きました限りですよ。いわゆるただの興味本意ですよ!」
私が長々と答えると、レナは少し嬉しそうな感じで答えてきた。
「ハハハッ はぁ···。興味か···。まさかこんな私に興味持つとかシャケ、あなた意外とおかしい人だな!」
「フッ まぁそうですね。自分でもおかしいです。」(アピスさんにしか興味持たなかった私が、他の人に持つとは思いませんでしたからね。)
私は少し心の中でも、言葉を発しつつレナへと答えた。そしてだいぶ大丈夫になったのか、レナは突然立ち上がると、私に背中を向けたまま話しかけてきた。
「ねぇシャケ。最後にあなたともう1度だけ、斬り合いたいのだけど、どうかしら?」
「えぇ。いいですよ。」
私はレナの様子が、だいぶ変わったように感じた。まるで針のような先端が鋭かったのが、丸くなったように···。
私の言葉を聞いた、レナは少し私から遠ざかると、体は黒くなることはなく、ただ右手に黒色だったのがいつの間にか白く、真ん中の線も赤から青へと変わっていた長刀を持ちながら、低い姿勢になると、私へと大声で話しかけてきた。
「シャケ! 多分あなたは本気をまだ出せるかもしれない。でも私は過去のことで、もう本気は出せない。それでも今出せる本気を出すわ。だからこそあなたも構えなさい!」
「レナ! 私はあなたとの対決をこの一瞬で、終わらします。だからこそあなたと対等でいかせていただきます。」
俺も大声で答えながら、草花の状態にはならず、ただ生身のまま左手にいつの間にか戻っていた白い刀をもつと、低い姿勢に構えた。
そんな俺を見たレナは、笑いながら言葉を投げかけてきた。
「そう! だったらお互いにこの一撃で終わりよ! 行くわよシャケ!!」(ありがとうシャケあなたの言葉で、過去と決別出来そうなんだ。だからさシャケ。私今昔のロリュースのように見えるのよ。あなたの事が···。だからさここで殺して)
「俺も行くぞレナ!」(初めてですね。この気持ちは。復讐や怒りの対象だったあなたを今は、少し守りたいと思っているのですから、だからこそあなたをここで救わせていただきます!)
お互い違う想いや、気持ちが交錯する中、2人の間に風が通り過ぎたその時、お互いに地面を足で蹴り、剣を自らの背後に向けたまま、お互いにかなりの勢いで近づいていった。
そしてレナが、私に残り5メートルまで迫ってきた時、私は剣を捨てたのである。だがレナもこの時剣を捨てた。そしてお互いに剣を少し置き去りにしたまま、私はレナの勢いを殺し、抱き寄せたのである。
そんな私の行動にレナは驚き、動揺しつつ問いかけてきた。
「え··? なんで? なんであんたも剣を置いたの!!? 私をここで殺せたチャンスなんだよ?」
「それはあなたも一緒ですよレナ。てかあなたは自分を殺して欲しかったんじゃないですか··?」
私の問にレナは最初は焦る素振りをみせたが、すぐ落ち着いて私の肩に顔をのせつつ、泣きながら答えてきたのである。
「そうよ。その通りよ! ならなんで殺してくれなかったのよ!」
「それはだって、私はあなたのことを守りたかったですし、それに泣いてる女性を殺すのは男としては最悪ですからね!」
私がそう答えると、レナは私の背中に手を回すと、抱き返してきつつ、小声で答えてきたのである。
「馬鹿! シャケのおおバカああ!! 全く何よ! この私にかっこよく見せてるつもりかしら!? 」
「まぁ少しカッコつけてみったのはありますけれど、でもバカはレナもですよ!? あなたの過去のことは知りませんが、あなたを守りたいと思った男性はここにいるんですから」
私の言葉に、レナは抱きしめる力をほんの少し強くしてから、さらに私には見えなかったけれど、笑みを浮かべつつ話しかけてきたのである。
「全くカッコつけたとかは言っちゃ行けないわよ!馬鹿! でもシャケ····その···ありがとう!」(ロリュースごめんなさい。私あなた意外に好きになれる人が出来たかもしれないわ。だからあなたのことは忘れないけれど、空から見ててよね。)
「フフッ 私もまだまだみたいですね。どういたしまして!レナ!」
「ホントにまだまだよ! フフフッ」
そして私の言葉に、レナは嬉しそうな笑顔になりながら、私に話しかけてきた。それを聞いた私は、抱きしめるのをやめ、レナの方を掴むと、一旦私の体から離してから、レナの目と見つめ会える状態に急にしたため、レナが驚きつつ私に、下から顔をのぞき込むような感じで、話しかけてきた。
「な、なによ···。」
私はそのレナの目をしっかりと見つつ、レナへと話しかけたのである。
「これからは私と共に一緒に歩き、レナを守らせてほしい。ダメか?」
「え····」
私の一言に、レナは言葉を失って俯いてしまった。私はそのレナの状況に少し慌てた。そして私がそんな慌ててる中、レナは軽く体を震わつつ、顔をあげるとその顔は、泣きながら笑顔になってたのである。私はその状態に、不安になってしまい、間違ったことを聞いてしまった。
「レナ大丈夫か!? もしかしてまた戻っちまったのか?」
私の言葉に、レナは少し笑顔から、顔を引き攣らせると怒ってきた。
「あんたね! せっかく良い状態の中、それ聞いちゃう? ホントに馬鹿なの!? それとも私に元の状態に、戻ってほしいわけ!!?」
「い、いやそんなことは思ってないよ…ごめん···」
私が謝ったのを見た、レナは笑いながら私の頭に、デコピンをすると話しかけてきた。
「馬鹿ね! 冗談よ! フフフッ まぁさっきの問いかけに答えるわね! こちらこそお願いするわ。私は一応シャケのおかげで、決別出来たけれど、まだわからないからね… まぁただし、"私は"じゃなく、これからは"俺は"の一人称でお願いしたいわ! あなたイケメンなんだから、堂々としてないと、私とは釣り合わないわよ? フフフッ」
「わかったよ! ならこれからはよろしくなレナ! 俺は全力でお前を守るよ!」
「えぇ! こちらこそだよ! シャケ」
そして俺とレナはここから二人三脚してゆくのであった。
そして一方空では、謎の1人がため息をつきながら、嫌そうに呟いたのであった。
「はぁ〜ああいう感情には反吐が出るわね。まぁコマだったからどちらでも良いのだけどね! フフフッハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ」




