75話 受け継ぐ約束
今回はイセス視点です。
俺は数少なくなった魔物達と、火のように揺れている角を持つ炎鬼の状態で戦いながら、横目でみんなに囲まれなが、天へと昇っていったヒロさんをみながら、俺は悲しめな表情になり驚きを隠せずにいた。
(あのヒロさんが死んだ···? 嘘だろ··? 俺はまだあと人に色々教えてもらいたかったのに··· くそが!)
俺は炎鬼状態になると、性格が少し変わるのだが、さすがの悲しみに、炎鬼になっていたとはいえ涙が出てきた。
そしてそれからも俺はそんなヒロを見ていたその時だった。
涙が目の前を落ちてゆくのだが、その涙の中にヒロとの思い出が現れたのである。
そうこれは少し昔のことになる。
〜回想〜
これはまだ俺がギルドに入って1日経ったぐらいのことだ。
俺は右往左往分からず、ギルドの幹部であるイアさん達が目の前を、歩き去ってゆくのをただ棒立ちしながら、見ていることしかできなかった。
その時だった。俺の横から急に俺へと話しかけてくれた人が現れたのだ。
「ん? イセスだったか? どうした?こんな所で棒立ちなんかして」
「あ、すみません··! えっとヒロさんでしたよね? えっとですね。実は何をしたらいいのか分からずここにいたんです···。」
俺はそんなヒロさんへと焦りながら、答えてしまった。俺は怒られるかと勘違いしてしまい、顔を隠すような形でヒロさんから、距離を取った。
すると、ヒロさんは笑いながら答えてきた。
「アハハっなるほどな! まぁ最初は誰だってそう悩むさ。よし俺今暇だから、付き合ってやるよ!」
「え? そんな悪いですよ···。僕そこまでヒロさんとも仲良くありませんし···。」
俺は小さい声でヒロさんへとそう返した時だった。ヒロさんが俺に詰め寄り問いかけてきたのである。
「じゃあイセスはどうするんだ? このままずっと棒立ちしたいのか? 何のためにここへと来たんだ?」
「それは···。俺は強くなって民を守りたいからここへと来たのです!」
「いい目標あるんじゃねえか! なら最初だけはほかの人に頼っても罰が当たらないと思うが?」
俺はヒロさんの目をしっかりと見ながら、答えるとヒロさんは、笑顔になってからさらに問いかけてきたのである。俺はその問いかけに、肩の力が抜けた感じがしたので、笑みを浮かべながら答えた。
「そうですね! では少しの間お願いします!」
それから俺はヒロさんから、戦い方や他の幹部のことなどを教えて貰った。
それから少し時間が経ったある時、ギルドの裏手にある、高原で2人で休憩していた時のことだ。
俺は横で夜空を見上げている、ヒロさんへと話しかけた。
「ヒロさんのおかげでここまで強くなれました。本当にありがとうございます!」
「おう。」
だがその時のヒロさんは、いつもと様子が違かったため、俺は問いかけた。
「ヒロさん何かありました?」
「ん? あぁいやな。今って平和だろ? だけどそれがもしかしたら崩れるかもしれない。そしてもしかしたら戦争になったりするかもしれない。その時俺はしっかり戦えるかと心配でな。」
ヒロさんは俺へと悩んでいたことを、教えてくれた。俺はそんなヒロさんへとすぐには返さず、考えてから自分の意見を伝えた。
「そうですねえ···。俺はまだヒロさんみたく、精神面は弱いですからね。もし戦争にでもなって、相手に精神面付かれたらやばいですけど、例え戦争や戦闘になったとしても、俺は全力で戦うだけです。」
「フフハハハっ本当に変わったなイセスは。全力で戦うか。たしかにそうだな。じゃあイセスよ。」
ヒロさんは笑いながら俺へと返事を返してきた。そして俺の名を呼びながら、俺へと顔を近づけてきた。俺はそれに驚いていたが、ヒロさんが真剣な表情だったので、俺も真剣な表情になった瞬間、ヒロさんが話しかけてきた。
「今から話すのはもしもの話だ。俺がもし戦いで死んだ場合は、イーフィを守ってくれないか? そしてしっかりと生きて俺を超える幹部になってくれないか?」
「え····? それはどういう····いえ、分かりました! でも俺からも1つお願いがあります。」
「ほう。何でも言ってみ」
「追い込まれても自ら死ぬことは考えないで下さい。そして戦いを生き残れたら、また色々教えて下さい。」
俺がそう言うと、ヒロさんは顔を俺から引いた。そして少し間を空けてから、笑いながら返してきた。
「ハハハっそんなのもちろんだ。イセスはまだ成長すればまだ延びるしな。まぁこれからもよろしく頼むな!イセス」
するとヒロさんは手を握った状態のままで、俺へと腕を伸ばしてきた。
俺はその言葉を聞いた時、笑みになってから、俺も手を握った状態にしてから、そのヒロさんの手に軽くタッチするぐらいに、ぶつけてから返事をした。
「はい! ヒロさん!」
〜回想終了〜
(そうだ。俺にはやるべき事があるじゃないか。ヒロさん俺は)「しっかりとこなして見せますよ。」(なんで見ててください。この俺とあなたが好きなイーフィを)
俺はそう考えてから、涙を払いのけながら、残り数体となっていた魔物達を蹴散らしに向かった。
「喰らえ 業火の光」
それから俺はマメゴブリンや、ラウルフなどの残り魔物を炎鬼特有の魔法で全て蹴散らせてから、炎鬼の角を自分できって、元の状態に戻るとイーフィの元へと向かうのであった。




