67話 もう1人の鬼
私はそのラミアの姿のあまりの変化に驚いて、言葉を失っていた。
そんな私を見ていたラミアは、少し笑みを浮かべると、いつもの声とは比べものにならないほどの音量で、私へと話しかけてきたのである。
「ふふふっ そんなにこの姿に驚いていてわ、この先お前は死ぬぞ。まぁぶっ殺すんだけどね!」
すると、ラミアは今までのスピードよりも、さらに早いスピードで私へと攻め寄ってくると、左に持っている剣ではなく、右手の長く延びた黒く先端が赤い爪で私へと攻撃してきたのである。
当の私は、声のトーンだけで少し怯えてしまったからか、少し反応が遅れてしまい、金属音を出しながら、魔剣で受け止めたが、かなりの威力に斜め下へと吹き飛ばされてしまった。
私は吹き飛ばされながらも、上で笑みを浮かべながら、私を見下しているラミアをみながら、さっきの爪の先端がささり、少し傷をおったお腹部分を抑えながら、呟いていた。
「くっ なんて強さの変わりようよ···。火力がこの変わりようなら、多分通常や大技系はあんまり効果なさそうよね··。
やっぱりあれを出すしかないのかもね···」
私がそんなことを呟いていた時だった。
一瞬だけ目を離しただけで、だいぶ上にいたはずの、ラミアがいつの間にか私の真横へと飛んできた。
そして私はそのラミアに、動揺しながらも体を立て直そうと魔法をかけようとしたが、そんな隙さえも与えられることがなく、ラミアは私の腹の傷を負っている部分目掛けて、上から速度をのせ、剣を突き刺すとそのまま勢いをつけ、言葉を載せながら、私を自分ごと地面へと落下させたのである。
「シネエエぇぇええええ! エンジェラあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!」
「ぐはっ」
私は剣を突き刺された時点で口から吐血し、なおかつ刺された部分からも血は滲み、抵抗する暇さえも与えられず地面へと落下させられたため、そのまま私は意識を無くし、一時的に亡くなってしまったのである。
そして落下した同時に、砂煙で覆われた場所から、飛び出したラミアは私の気力を読み取り、笑いながら大きな声で周囲に、私が死んだことを伝えたのである。
「フフフ ガハハハハハ!! 殺った! エンジェラをついに殺ったぞぉぉぉぉ! ハハハハ!」
ラミアの声を聞いたすでに正気に戻ったラビスとチノンは私の方を見ながら、片方は泣き叫びその場で少し壊れ、片方はラミアへと憎しみを飛ばした。
「う···嘘···でしょ···? エンちゃんが殺られちゃったの···? い、い、いやああああああ!!!! 」
「嘘だよね? ねえ起きてよ!エンジェラ!!! くそっ 元に仲間だったとしても、私達の先生だったとしてもあなたを許さない! ラミア!!!」
そしてラミアはラビスとチノンの方を向くと、問いかけたのである。
「ラビス? あなたは弱かったようね? そんなたった1人が死んだだけで、壊れるぐらいの奴に負けて正気に戻されちゃうんだから! まぁ? あなたが来るのなら、私はあなたも殺すわよ? ふふっ」
「くっ」(たしかにラミアの言う通りだ。ここで私が攻撃にいったとしても、勝ち目などはない··。それにチノンに攻めいられたら確実に私は···くそっ! どうすればいいのよ!!!)
ラミアの言葉に、ラビスは焦りを隠せず、さらには困惑してその場から動けずにいた。
だがその時だった。
ラミアの方から金属音がし、ラミアの左手に少し傷が入ったのである。
(え···? あのラミアが怪我を負わせられた? 嘘でしょ? 一体誰なの? )
そう考えながら、ラミアの奥をみたラビスは、そこに1人の人物が剣を片手に立っていたのである。
(あ、あれは誰なの?)
ラビスがそう思っていると、ラミアがその人に話しかけたのである。
「へぇーあの多数の魔物と戦ってたとは思えない程の力ね? それにあなたが怒ってるとこは久々に見るわね? ねえリビー」
「エンジェラが死んだ今あなたを、倒せる可能性があるのは、私しかいませんからね。 」
リビーはラミアの方を向くと、笑みを浮かべながら、返したのである。
ただし内心は少し焦りながらも、エンジェラを思いながら、考えていた
(まさかあのエンジェラが殺られるとはね··。正直保ってられるのはそう時間もないわ。まさかここまでの力の変化っぷりだとは思わないしね。
だから早く戻りなさいよ。)
「リビーは相変わらずね。何かを企んでるみたいな顔してるけど、この状況でまさか勝ち目あるとでも思っているのかしら?」
ラミアはリビーへと真顔に戻しながら、問い掛けてきた。
それに対し、リビーは少し笑みになるとラミアへと対し、武器を構えながら答えたのである。
「あなたに勝ち目がなければ、企んだりなんかしませんよ。 だから覚悟してください!」
「ふ〜んまぁいいわ。私は殺すだけだしね。
さぁ来なさい!リビー!!」
リビーはラミアの言葉を聞いてから、体勢を低くすると、ラミアへ向け、地面をきり攻め入った。
だがラミアはすぐ、リビーの視界から消えるとリビーの後方へとうつり、リビー目掛けて剣を振ろうとしたが、リビーはそれを避け、ラミアの右手を切り落としたのである。
「へぇー 跳斬ねぇ! 少しは考えてるじゃない!でもまだ詰めがあまいわね」
リビーはラミアが少し距離、止まってから
ラミアの言葉を聞いたその時だった。
リビーの左腕が切り落とされ、そのあまりの痛さに、座り混んでしまったのである。
(な、なんで···? 跳斬は完璧だったはずなのに、いつの間に···。)
「多分なんでと思ってるんでしょうね? あなたが知りたい理由教えてあげてもいいのよ?」
「え···?」
リビーの考えを、すぐラミアは見通し、ラミアの提案を飲もうとしてしまったリビーは、ラミアへと顔を上げてしまったが、ラミアは笑みを浮かべリビーの右腕さえも切り落としたのである。
「ぎゃあああ‼あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!」
「フハハハハハハアハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!!! やっぱ単純ねあなた!!だから、あの分身の時みたいなよく考えたら思いつくような、作戦しか立てられないのよ!あははっ」
リビーの苦しみの悲鳴を、ラミアは大きな笑いをしながら、聞いていた。
だがその時だった。ラミアの左腕が切り落とされ、リビーはラミアから離れた岩の壁の所まで、連れてかれ、座らせられたのである。
リビーはその人(?)にむかって、息が荒いながらも、話しかけたのである。
「はぁ·····はぁ···ま··ったく··おそ···いわよ··エンジェラ」
「すみませんリビーさん。少しこいつとの喧嘩が長引いてしまいましてね。今戻ってきました。」
「ふふっ···まぁ···余談·してる···ひ··まじゃな···いわよ··? あとは···たのむ··わね? エンジェラ」
リビーの飛び飛びの問いかけに、私(?)は笑顔を見せつつも返した。
「ええ。任してください。それでは。」
すると、私はラミアの元へと近づくと、ラミアへと話しかけた。
「少しお待たせしましたねラミアさん。」
「あなたには随分と驚かせられるはねエンジェラ? いえ白鬼といえばよいかしら?」
そうラミアの元へと現れたのは、全身が白くなり、剣は元の色のままだが、頭から二本の白い角がはえ鬼となった私だったのである。




