表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
英雄記  作者: ターコ
4章 悲しみの戦
64/170

64話 ありがとう

今回はチノン視点です。

私の問いかけに、ラビスは少し間を開けた後、答えてきた。


「私は魔人よ? 貴方を殺すために、ここへときたの。本心? 聞きたいなら答えてあげる!

貴方を殺す それだけよ ほら受け取りなさい! メテオ!!」


すると、ラビスは少し力を振り絞りつつも、またメテオを詠唱してきたのである。

私はそれを、また剣で切り続けたが、前放ってきたメテオより、少し重く、そして寂しさが剣をつたって、私へと伝わってきた。


「やっぱりホントはこちらにきたい···いやその体から助けて欲しいんでしょ? ラビスちゃん!!」


私がラビスへと切り続けながら、叫んだその時、メテオは一時的に詠唱されなくなり、その場でラビスちゃんは俯いたまま止まってしまった。

だが、少したってからラビスは、私の方へと少し目から涙をだした状態で、顔を向けると叫んできた。


「何よそれ、私の気持ちを全て分かった気にならないでよ!」


すると、ラビスは私へと魔武器の一種であろうか、槍を目の前に、青い魔法陣を展開させてから、精製すると投げてきたのである。


私はその槍を、避けながら掴み下へと叩きつけると答えた。


「ラビスちゃんの全てなんか、分かるはずないよ。でもねさっき伝わってきたんだ。 ラビスちゃんの寂しさと悲しさが··· だから···」


「うるさい! うるさいうるさいうるさい!!

あなたも何よ! 私の気持ちを分かったつもりでいて、もう何もかも消えちゃえ!!」


ラビスは私の言葉に被せながら、叫びつつたくさんの槍を精製すると、私へと全ての槍を放ってきたのである。

私はその槍を、少し刃こぼれしている剣で、金属音をたてながら、落としつつラビスへと叫ぶほどの、大声で話しかけた。


「自分から逃げないでラビスちゃん!! 弱い自分を認めてラビスちゃん!! こんな私だけど、今ならラビスちゃんの支えになるから!」


「うるさい! うるさいうるさい! うるさあああああぁい!! もうこれ以上、何も言うなああぁぁ!!」


私の声はまだ届かず、ラビスはさらに叫びながら槍を増やしていった。

そんな荒れ狂っているラビスを私は、槍を交わしたり、剣で落下させながらある事を考えていた。


(私じゃできないの···? 私じゃ無理なの···? イアさんや、ラックさんにも約束したのに、エンちゃんにお願いしてまで、ラビスちゃんと戦わせて貰ってるのに·· 私にできることが何かあれば··· ん? 私にできること? そうだ!)


ある事に閃いた私は、槍を未だ投げまくっていたラビスへと、槍を交わしたり、槍を地面へと落下させながら、ラビスへと近づいていった。


「くるな! くるな! 来るなああぁぁ!!」


ラビスの槍で、顔や腕などに傷をつけつつも、私が少し近づいて来ることに、ラビスは叫びつつ、少しずり下がっていた。

だが、私の近づく速度のが早かったのか、ラビスと私との間は、少しずつ縮まり、やがてほとんど距離がないほどまで近づいた。

すると、流石にラビスは槍を放つのをやめ、少し挙動不審になっていた。


「い···いやこないで····、こないで···!」


ラビスは私を拒否するように、目の前に手を広げた。

そして次の瞬間、私はラビスの背後へと周り込み、抱きついたのである。


「え·····」


ラビスは私のいきなりのことに、少し唖然としながら、その場に立ちすくしていた。

私はそんなラビスへと、少し暖かい言葉をかけながら、強く抱きしめた。


「もう大丈夫だよ···! だからもう何も心配することなんて無い! だからさ、もうやめよ?」


私が言葉を発したその直後だった。

ラビスを抱きしめていた、ラビスの腹近くの腕に、急に水滴が落ちて来たのを感じた。

そして私がラビスの顔を除くと、ラビスは唖然としながらも、目から大量の涙を出したのである。

私はその機会を見逃さなかった。

私は1度、腰に戻した剣を、手に持つと、言葉を発してから、ラビスの腹部を刺したのである。


「少し痛むだろうけど···ごめんね···」


だが、ラビスは痛むことなく、服に少し血を滲ませながら、多分足が限界だったのだろうが、その場にただ倒れてしまったのである。

私はそれに少し唖然をしたが、少し笑みをうがべた後、私はそのラビスの横へと倒れたのである。

そんな私達のことを観察していたのだろうか、私が倒れた直後に、イアが私の頭上へと現れたのである。そしてイアがしゃがんで、私の顔を覗き込むような感じでみると、話しかけてきたのである。


「全くボロボロになりすぎよ。チノン! でもよくやったわ。さっきのはチャラにしてあげるわ。 まぁお疲れ様!」


「あはは···。少し無理しすぎちゃいました! ラビスちゃんのことお願いします!」


イアの言葉に、私は少し苦笑いを浮かべながら、返したのである。

そして私の言葉に、イアは横のラビスの方向をむくと、少し真剣な顔になると、詠唱を始めたのである。


「悪よ 滅びろ、精霊よ お願い頼もう、 この汝 少しの力を分けようぞ そしてこの者を 戻させてくれ 発動! プリネム!」


プリネムが発動される時、私はラビスの方向を見た。 そしたら、ラビスは全身を白い光に包まれたと思いきや、私がさきほど刺したであろう、腹部から黒く丸い球体が、現れたと思いきや、それは白い光へと少しずつ消えていったのである。

私はその光を凝視しながら、ある事を呟いた。


「き、キレイ···」


「ふふっプリネムを初めて見た人は、皆そういうは! まぁ私はそろそろいくわね。 まだ向こうは終わってないから! まぁあとそのラビスには精神回復と、傷回復も合わせて掛けといたから、その光が終わった頃には、元のラビスよ。 それじゃぁ!」


イアはそう私へと、発言すると元いた所へと転移し、魔物の残りの残党の駆除へと戻った。

そんなイアを私は、倒れたまま軽く、手を振り見送ると、ラビスの方へと目を戻した。

すると、ラビスを囲っていた光は、完全に無くなっており、そこには少し髪がのびたのか、長髪のラビスちゃんがいた。

ラビスは一時周囲を見渡す素振りを見せたが、すぐに倒れている私を見るなり、右手を両手で持つと、少し泣きながら話しかけてきたのである。


「ごめん···チノン本当にごめん··!! 私チノンに、なんて事を···」


「ふふっ いいんだよラビスちゃん! てか髪延びちゃったね 案外そちらのが良いかも ハハハッ」


ラビスの言葉に、私は少し笑いながら返した。すると、ラビスは少し真剣な顔で、話しかけてきた。


「なんで、なんでそんなに笑ってられるの? 私は結構チノンを傷つけたのよ? 」


「だって、ラビスが帰ってきたんだもん! こんな傷も、ラビスちゃんが戻ってくるんだったら、いくらでも付けるよ! だからさラビスちゃん 笑って?」


私はそのラビスの言葉に、笑顔になって返した。

すると、ラビスはある事を思いながら、私の手から手を離すと、涙を手で拭くと、軽く無理しながら、笑いを浮かべると話しかけてきた。


(やっぱり、チノンは私よりもこんなに、強い人だったのね···)「こ、こうでいい···?」


「アハハっなにそれ〜! 変な笑い方だよお笑」


「くっ」


私は少し変な笑い方に、笑いながら返した。

そしてそのまま、少し二人とも微笑した。

そして少ししてから、ラビスが少し真剣な顔をして、ある言葉をいってきた。


「チノン。まぁ今回は本当にお世話になったわね! ありがとう」


「ふふっ どういたしまして」


そしてラビスとチノンとの戦いは、終わりを迎えのである。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ