6話 訓練 後編
その時その場所にいた全員が、目の前で起きた出来事に驚いた。それは体力も限界で、腕も上がりにくくなってしまったチノンが、ゴブリンの攻撃を回避し、攻撃を見事に食らわしたのだ。
「マジかよ!」
「すごい!!」
「やったじゃない!チノン!」
しかし周りが歓喜に湧く中チノンはただなんも感じてはいなかった。チノンはその時何も感じられず、ただ冷静で体が軽くなった状態となっていた。そういつもであれば、気にする程の冷たい風が、チノンの横を通っても何も気にしないほどに···。
そしてチノンの攻撃を受け、吹っ飛び結界の壁にぶつかったゴブリンが、起き上がりチノン目掛けまた走ってきた。
「ギャーーーーー」
「遅いわ。ゴブリンさん」
攻撃を仕掛けたゴブリンだったが、またそれをもチノンは冷たい声とともに交わした。まるで人が変わったかのように···
「さようなら、ゴブリンさん」
「ぎゃああああぁぁぁ...」
そしてチノンは剣で、ゴブリンの腹を刺し やっとゴブリンを倒したのだ。その時やっとチノンが元の人に戻ったことを感じた私は、すぐチノンに駆け寄り、抱きしめた。それにチノンは驚き、答えた。
「あれ?エンちゃんどうしたの?」
「あなたはよく頑張ったわチノン。あなたは勝
てたのよ!」
私の言葉を聞いたチノンは状況が分からなかったため、すぐに周りを見渡し、ゴブリンがどこにもいないことを確認した。そして私に問いかけた。
「あれ?私は勝てたの?全く手応えがなかったけど」
「そうよ!あなたは勝てたのよ!ホントにお疲れ様!」
私がそう言葉を発した時、チノンは肩を冷たい何かがつたって、下にぽたぽたと落ちてくのを感じた。それを感じたチノンは私に問いかけた。
「もしかしてエンちゃん泣いてるの?」
「泣いてなんかないわよ!これは水よ!水」
それを聞いたチノンは少し確認した。そしてやはりエンジェラは泣いていて、それを見たチノンは無言で強く抱きしめ返した。そして私は大泣きした。
(ありがとうね エンちゃん)
「うわぁぁぁん」
私達を見ていたシキはあることを呟いた。
「全くあやつは何泣いてるんだか」
「ふふっでもあれこそエンジェラでしょ?自分
以外を一番に思い、一番心配し、人のために無
茶するそれこそがエンジェラじゃん笑」
いつ間にかラビスはシキの所までいき、微笑しつつシキと話し始めた。
「まぁな だからこそチノンの守りたいって気
持ちも分かる!」
それにラビスはニヤケながら、シキの顔を下からのぞき込むような形で問いかけた。
「あなたは違う思いもあるでしょ?ニヤニヤ」
シキは少し顔を横へと向け、答えた。だが多少赤面はしていた。
「うっせ」
それを見たラビスは笑った。そして少ししてからラビスはあることを呟いた。
「ふふっさて私は先に戻るわ。」
「あれエンジェラとチノンのとこにはいかんの
か?」
そうシキが聞いた時、ラビスは少し唇を噛み締めながら答えた。
「まぁ私は違う校舎だし、今行ったら邪魔だと
思うからね だから二人に宜しくいっといて」
「へいへい ほなまたなラビス」
「うん またね (チッ)」
そう言い残し、ラビスは訓練会場の外へと向かった。その時、ラビスの中の何かが、亀裂が入った。ラビスがクラスへ向かったのを見たシキは二人の所へ駆け寄り、答えた。
「おいおい、二人ともそろそろクラスまで行く
ぞおっていつまで泣いてんだよエンジェラ
は!」
「だってえええ うわぁぁぁん」
私はまだ泣いていたため、シキは呆れた声で答えた。
「全く世話のやける」
それにチノンは私を介抱しながらニヤケた感じで、答えた。
「っていってえエンジェラの介抱したいだけじ
ゃないの?シキ!」
いきなりの言葉に、シキは動揺した。
「はあ!?違うし 誰が好きでこいつの介抱なんかするかよ!」
それにチノンはさらにニヤケ顔になり、答えた。
「え?私はするよおお!?しかしエンちゃんの
泣き顔初めて見たかも!」
それに、少しシキは焦り、すぐに話を流そうとした。
「くっ まぁほら行くぞ?」
それにチノンは笑った。そしてチノンは私を立たせ手を掴むと、引っ張る感じで答えた。
「エンちゃんほら行くよ?」
「うん··ぐすん」
その頃にはさすがに私は泣き止んでたという
そして3人はクラスへと向うのであった。
3人とも訓練会場での異変に気付かずに···