54話 覚悟と戦い
あまりの衝撃音に、私は目をずっと瞑ったまま、耳を塞ぎながら、少し俯いてしまった。
私の後ろにいたチノンでさえ、耳塞ぐほどの衝撃音だった。そして、その音は空へと広がりながら、徐々に消えていった。そして、私が耳を塞いでから、少し経った時私の後ろへと、耳からいつの間にか手を離していたチノンが、駆け寄り私の肩に手をかけながら、寄り添ってくれた。
チノンのおかげか、私の体の怯えは、少し軽くなり、私はチノンへと声をかけた。
「ち、チノン!?ありがとうね、駆け寄って来てくれて。」
「んーん、逆にごめんねエンちゃん···すぐ来れなくて···」
そしたら、チノンは少し申し訳なさそうな声で、話しかけてきたのを私は感じた。私は肩にかかっていた手に、自分の手を添えると、目をゆっくり空けてから、チノンの方をむくと、笑顔になり答えた。
「ううん。チノンは私の所へと少し遅くとも、きてくれた。それだけで私は嬉しいよ?だからありがとうね!」
「エンちゃん···ぐすん··」
チノンは私の言葉に、涙を浮かべながら、私の背中に寄りかかると、そこで少し泣いてしまった。そんな私は背中で、感じながら、少し俯いた。そしてそれから少し経つと、チノンは私の背中から、離れると上を向いて、私の前にいる人へとお礼をした。
「ヒロさん、本当に助けてくれてありがとうございました。」
「え!?ヒロさん!!?」
そのチノンの言葉に、私は驚いた顔をして、上を向いた。そしたら、そこには背中に片手で剣を構え、その剣でマメの剣を余裕で、抑えているヒロがいた。
私達が気づいたのを確認したヒロは、私とチノンの額へと手を伸ばすと、デコピンをしてきた。
それに私達は痛がってしまった。
「いたい···」
「いたいよおお···」
「お前達なあ··ここは戦場だぞ?甘ったれてんじゃねえよ!戦場はな!死ぬことが普通にありえんだぞ?それにお前らが戦おうとしてるのだって、このマメとかいうやつと同じ知り合いなんだろ?だから怯えてんじゃねえよ!何のためにここへ来たんだ?弱い覚悟できてんなら、帰れ!弱い覚悟のやつが、1人でもいると邪魔なんだよ!」
私達が痛がっていた時、ヒロは私達へと怒鳴ってきた。私達はそのヒロの言葉と同時に、私達が向いてる方向から、吹いてきた風が私達の中にあった、弱い所を取り去ったのを感じた。
私はそれを感じた後、鼻で笑うと、チノンの方を向き、ヒロとチノンへと答えた。
「ヒロさんすみません!少し皆さんの手助けが欲しくて、わざと怯えてました!ふふっ
そしてチノン、今からやる事分かってるよね?」
「うん!ヒロさん私からもごめんなさい!エンちゃん行くよ?」
「うん」
そしたら、ヒロの目の前で私達は、お互いに殴りあったのである。
その状況を見ていたヒロは、一瞬驚いたが、鼻で笑うと、後ろに構えて剣に、力を入れマメを、後方へと押したと同時に、ヒロは私達へと背中を向け、大声で私達に向け、声を発した。
「チノン!エンジェラ!行ってこい!お前らの覚悟が強いこと見せつけてやれ!」
「はい!」
私達もヒロさんに背中を向け返事をし、耳を手で抑えた時に、落としてしまった武器を拾い、前へと歩いた。
そんな私達とヒロの状況を戦いながら、見ていたアピスは軽く鼻で笑い、脳裏である事を思っていた。
(ごめんなさいねヒロ··あなたにひどい役目任して·!でもさすがね!ヒロに任しておいて良かったわ。)
「ふふっヒロさんでしたっけ?ふふっアハハハハハハ。なんですか?あの茶番!もうあのジェラとチノンは負けたも同然ですよ?あなたは何も分かってませんねえ?ふふっ」
アピスがそう思っていた時、マメはヒロへと笑いながら、話しかけてきた。
それにヒロは笑いながら、返した
「フッお前こそ、あいつらのことなんも分かってねえな!?負けたも同然ですよ?っかアハハっ勝負も始まってねえのに、勝手に決めてんじゃねえよ!」
「あなたも馬鹿だったとは!本当にすみません!ここであなたを速攻消して、あの二人の所へ行く前に、俺が彼女らを消すとしましょうか!」
「やってみろ!」
そんな言葉を、怒った顔で言い合いながら、2人はぶつかりあった。そしてマメとヒロがぶつかりあったと同時時刻、私とチノンは目の前の、魔物の奥に見える、ラミアとラビスへ向かって大きな声で、言い放ったのである。
「ラミア!いや、ラミア先生!あなたは私が元に戻してやるから、そこで待ってやがれぇぇえええ!」
「ラビスぅうう!あなたは私が相手するから、覚悟してそこで待ってろぉぉぉぉ」
私達が、そう叫んだその時、奥の方で笑い声が聞こえた。そして少ししたら、大きな笑い声と怒鳴り声とともに、ラビスが空へと飛ぶと同時に、チノンへ向け、炎系の魔法を放ってきたのである。
「アハ、ハハハハハハハハハハハっバカじゃないの?何よそれ!ハハハハハッ!私の相手はエンジェラだと思ってたのに、まさかあなたが私の相手だとは思わなかったわ。でもまぁあなたみたいなバカは、私が消し炭にしてあげるわよ!チノン!」
それに対し、チノンは何も答えず、その炎を剣で、振り払いラビスを驚かせるのであった。
以上となります。
次は来週になります、ではまた次回〜




