50話 緊急
今回もシキ視点です。
俺が口を開けて驚いていると、その布製のフードを被っていた女性が話しかけてきた。
「あれ〜?驚いて口が出ないみたいね〜アハハハハハ!まぁそうよね〜な·ん·せ、ここまで一緒に来てたもんね〜アハハっ!」
「シキくんこの子が、貴方と言っていたセレンちゃんかな?最初に見た時よりまるで、別人なんだが··」
そのフードの女性の言葉を聞いたイーフィは、俺に背中を向けた状態で、聞いてきた。その二人の言葉に、俺はしゃがんで、頭を抱えてしまった。そしてあることを考えていた。
(本当にセレンなのか?いや違う。多分何者かに操られてるか、何者かが化けてるんだ。そうに違いない。でも顔は同じだし、声も同じだ。もう何がなんだが、わかんねえよ!ちくしょう。)
「ああ、もしかして私が操られてるとか、何者かが化けてるとか思っちゃってる〜?アハハハハハ本当にあなたも、チノンも、エンジェラでさえも馬鹿ね!アハハハハハ」
セレンは笑いながら、俺が考えていた事を全て、言い当てたしまったため、俺はビクッと体を震わせた。さすがの俺の状態に、イーフィも心配して、武器を構えたままこちら見ていてくれた。そんな俺は少ししてから立ち上がると、セレンにむけて叫ぶ感じで、言い放ち、問いかけた。
「ああ、そうだよ!お前がセレンだなんて、信じられないんだよ!本当にお前がセレンなら、数個質問させてほしい。いつもの話し方はカモフラージュか?ここまでの全ては嘘なのか?」
「フフフアハハハハハ!本当に貴方って馬鹿なのねアハハハハハ。まぁ私は優しいからにゃ〜教えてあげるにゃ〜まずいつもの話し方はカモフラージュって聞いてきたけどお〜その通りだよ〜。それにここまでの全ては〜嘘とヒントを交えていってたんだよ〜お馬鹿なシキくん!アハハっ」
セレンは笑いながら、馬鹿にする喋り方で答えてきた。それに俺は唇を噛み締め、手を強く握った。その時、イーフィがセレンに睨みながら問いかけた。
「貴方が敵なのは分かったわ。けれど1つ教えて、ここへ何しに来た?内部からの破滅?それともここで戦闘でもする?」
「こわいね〜まぁあなたは馬鹿じゃなさそうだけど、全て言うと面白くないから少しだけいうね〜ここへは戦闘しにはきてないよお〜内部からの破滅もやろうと思えばすぐできちゃうけどね〜まぁ強いて言うなら〜調査かな〜ふふっ」
セレンはクルクルとその場で周り、微笑しながら答えた。その状態に、イーフィは額に汗をかいていたのを、俺は横で感じていた。そしてそんな状態のイーフィが、俺に近づくよう手で合図してきた。俺はセレンを警戒しながら、耳を近づけた。そしたらイーフィが、俺の耳に息をふきかけてきた。それに俺は驚きながら、大声で答えた。
「な、何するんですか!こんな時に!」
俺がそう喋った瞬間、イーフィは俺の胸ぐらを掴み、真剣な声で答えた。
「落ち着いた?元友達だったとしても、あれはもう敵よ。何言われようが、敵の言いなりになるな!それにあなたにはまだ守りたい人がいるんでしょ?」
そのイーフィの言葉に、俺はすぐエンジェラを思い出した。そしたら、体から無駄な力が抜けた感じがした。
俺はそれを感じた瞬間、イーフィを少し手で押すと、深呼吸をしてから、グーで自分の頬を殴った。
(忘れるんだ。そうだもう俺は守る人がいるじゃないか!)「よし!」
そんな俺達を、セレンは呆れた顔で見ていた。俺はそんなセレンの方向を向くと、指を差し答えた。
「セレン!お前はもう敵だ!だからこそお前をいつか、必ず倒す!」
「へぇ〜それは100年後にでもなりそうね〜まぁいいわ!まぁでもそろそろ時間だから、お別れね〜そんじゃバイバーイふふっ」
「待て!」
「待ちなさい!」
セレンはそう笑いながら言うと、自分の背後へとゲートを現せた。そしてそのゲートを通ろうとしたので、俺とイーフィはそれを止めようとしたが、後一歩のところで手が届かず、セレンを取り逃してしまった。
「逃げられちゃったわね···」
「そうですね···」
二人は棒立ちしつつ、手を強く握りながら、イーフィは構えていた武器をしまった。そうしてイーフィは息を吐くと、こちらを向くと提案してきた。
「ふぅーさてシキくん。私はこのことを今から、アピス様へ言いに行くけど、あなたはエンジェラちゃん達に話に行くかい?」
「ええ。そうします。あ、イーフィさん!」
俺は賛成しつつも、イーフィの名前を呼んだ。それにイーフィは向かおうとしてた体を止め、顔を傾けながら聞いてきた。
「ん?何?まだなんかある?」
「いえ!そ、その色々とありがとうございました。」
そう俺は礼を言いたかったため、呼び止め、頭を下げながら、礼を言った。それに対し、イーフィは頭を下げたままの俺に近づくと、左肩を叩くと、答えた。
「ううん。私は少し助言した迄よ。あなたは強いわ。だから諦めないようにね?」
「は、はい!」
俺がイーフィの言葉に、頭を上げ、返事をしたその時だった。
「皆聞こえるか?緊急事態だ。至急呼ばれたものは各自場所へと飛べ。繰り返す緊急事態だ。レナとラミアとラビスとパスティ含む、魔人、魔物、悪龍の軍が、現在わが町へ進行していると、今ツクアとセウスから報告があった。なので、イーフィとヒロとリビーとエンジェラとチノンは私の所へ、シキとルヴィとキュウとラゼフは4人で町へと出て、避難誘導へ入れ、避難場所はここだ。以上とする。至急動け。」
「え?嘘でしょ···?」
そう、いきなりギルド全域に、アピスの声が、ある魔法により響き渡ったのである。その声と同時に、一気にギルドが騒がしくなった。
「イーフィさん多分···」
「ああ、セレンはラミア達のボスか、又は仲間だろう。じゃなきゃこんな偶然は起こらん。ただ、今は報告は無理そうだ。報告はこれが終わってからだろうな。」
二人は立ち止まりながら、焦る感じで話していた。だが、俺はイーフィの言葉に、聞き返した。
「でも、アピスさんたちが行く寸前に言えば、良いのでは?」
「シキくん聞こえてなかったのか?アピス様は至急と言っていたのだ、そんな暇はない!!それじゃあ私は行くぞ。またねシキくん」
そう言い残し、その場からイーフィは消えてしまった。俺もイーフィの言葉は分かっていたが、何故か胸に不安が残っていたのである。
「なんだよ。この不安というか、嫌な予感は···ちくしょう。町へと行くしかねえのかよ!ちくしょうがあ!」
俺は壁を手で1発殴ってから、態勢や、息を整え、町へと向かうのであった。その心配が的中するとも知らずに···
以上となります。
今回で長めの三章は終わります。次の章からは投稿は予定通り又は不定期とさせていただきます。ではまた次回〜




