16話 ラビス
今回はラビス視点です。
エンジェラ達との決勝の前の控え室でのことだった。その時はまだ決勝の準備のためか、休憩時間となっており、その時間に私が少し校舎の中へと行こうとしていたので、ハクラが私を呼び止めた。
「おーい! ラビス そろそろ決勝だが何かあるのか? てか大丈夫かあ?」
「え? えぇ大丈夫よハクラ だけど1人にさせてちょうだい」
「ああ分かった! あんまり体とか動かすなよおお(ふふっ後で壊
れる事になるからな)」
そう言ってから私は少し過去を思いだしながら学校中を歩くため校舎へと入った。ラビスが遠のいていく姿を、不敵な笑みで見ているハクラ?のことを、その時の私は知る由もなかった。
私は廊下を少し悲しめな顔で、歩きながら色々と感じていた。全員が休憩中のため学校の中には誰もいなかった。
(皆がいないとホントに静かね。。)
(そういえばあの時も最初はこう思ってたかしら。)
〜回想〜
これはまだエンジェラと私が学校に入学する前である。
私は学校の校門の前にいて、学校を見ながら呟いていた。
「これが学校かあ大きいなあ!」
「あれ? ねえ貴方はだれぇ?」
そう言って背後から迫ってきて声をかけてきたのが、後のエンジェラである。私はエンジェラに、少し驚きつつ焦りながら返事を返した。
「え、え? あぁ私? 私はラビスよ・・・!貴方は?」
「私はエンジェラって言うの! 今日は通うクラスを決めてきた
のぉ! ね? ママ」
するとエンジェラは真横にいる母親こと、セラフィに話を振った。セラフィはエンジェラの振りに笑顔になると、私の方にも笑顔を向けて、話しかけてきてくれた。
「ふふっそうねえ!そこのお嬢さんも決めに来たのかな?」
「あ、はい!!これから入ろうかなって思ってたんです!幼馴染も多分中にいると思うので!」
私はセラフィの言葉に、少し照れながらも元気よく返した。するとセラフィは優しい笑顔で私を見てきてくれた。その時に、エンジェラが割って入ってきたのである。
「へぇーそうなんだあ! ねえラビスちゃん!」
「ん?何?エンジェラさん(馴れ馴れしいなあ)」
その時の私はエンジェラのしつこさに、少し鬱陶しいと思ったが、それが次の瞬間変わるのであった。
「良かったら友達にならない?」
(え?何この可愛い生き物は)「私でいいの?まだ知り合って間も ないのに··」
エンジェラは私に対し、上目遣いで可愛い声で問いかけてきたので、私はそのエンジェラのあまりの可愛さに心を射抜かれてしまい、動揺しながら聞き返してしまった。
すると、エンジェラは私に迫りつつ、懇願してきたのである。
「うん! 私はラビスちゃんが友達になってくれたら嬉しい!いいよね!!? ね!!?」
「分かった! 分かったって! ならこれから私のことはラビスでいいわ! エンジェラ」
私はあまりの勢いに負けて、エンジェラを手で制止してから答えた。
するとエンジェラは笑顔で返事をしてきたのである。
「うん! 宜しくねえラビス!」
「あらあらふふふっ」
そんな私とエンジェラの様子を、セラフィは微笑しながらみていた。
そうして3人は学校の中へと入っていった。そして廊下の中央部分に、クラスを決めるための重要なことが書かれた貼り紙が壁に貼っていたため、そこに向かった3人だが、そこにはすでにたくさんの人だかりができていたが、その中に1人だけかなり騒がしい人がいた。
「ん〜ぐぬぬぬ···どっちにすればいいんじゃあぁぁ!」
「あ、あれはチノンだわ! 私の幼馴染みなのよ! 一緒に行きましょエンジェラ!」
「うん!」
私はその騒がしい声の主が、幼なじみのチノンであることがわかったため、私はエンジェラの手を取り、チノンの所まで向かった。そして人の人の間をかき分け、チノンの近くまで着いた私は、チノンへと話しかけた。
「チノン何をやってるのよ!」
「あ、ラビスちゃんだああ!ってそちらの子は
誰?」
チノンはエンジェラの方を指さしながら、問いかけてきた。私はそれに少し笑みを浮かべながら、チノンに答えた。
「ん?さっき友達になった! エンジェラよ」
「どうもエンジェラです! 貴方がチノンちゃ
んね! 宜しく!」
エンジェラはチノンへと笑顔で自己紹介をした。すると、チノンは私の方へと向かってきてから、エンジェラの方を向き答えた。
「んにゃ? 宜しくねえ〜私はチノンだよおお!!!友達になろおお? えいっ」
「え?え?え?」
「こら。チノン相変わらず抱きつくのをやめなさい! ごめんねエンジェラ。チノンは昔からこういう子なの! でも可愛いから良かったら仲良くなってあげてくれない?」
私はチノンの抱きつく行動に、エンジェラが戸惑っていたため、チノンを怒りエンジェラへと説明した。するとエンジェラは即理解し、チノンへと声をかけた。
「びっくりはしたけど、チノン良かったら宜しくね?」
「うん!宜しくねええぇ」
「ふふっあらあだいぶ友達が増えたわねエンジェラ」
チノンはエンジェラへと笑顔で返して、エンジェラとチノンはこれから友達となるのである。そしてエンジェラとチノンとの間に、セラフィが割って入ってきた。そんなセラフィに対し、エンジェラは即答した。
「あ、ママ!うん! こちらが今友達になったチノンだよお♪」
「へぇー可愛い子じゃない! これからもエンジェラと仲良くしてあげてねえ? ナデナデ」
エンジェラがセラフィへとチノンを紹介すると、セラフィはチノンの頭を撫でながら、チノンへと笑顔で話しかけた。するとチノンは喜びながら、セラフィの目を見ながら答えた。
「えへへー大丈夫だよおおエンちゃんは優しい香りがしたもん!」
「何よそれって・・・エンちゃん?」
エンジェラはエンちゃんという呼び名に驚き、首をかしげながら、チノンへと問いかけた。するとチノンはエンジェラへと、上目遣いで逆に問いかけてきた。
「あ、勝手にエンちゃんって呼んじゃったけどダメだった?。。。」
「ううん! 大丈夫だよおお! 宜しくねえ」
そしてエンジェラはチノンの頭を撫でながら、優しく答えた。チノンはエンジェラへと微笑み返した。
エンジェラとチノンを横で見ていた私は、咳き込んでから2人へと話しかけた。
「ゴホン そろそろクラス決めするわよ二人とも」
「はーい!」
そしてエンジェラとチノンは、私の言葉に返事した。すると安心したのかセラフィがエンジェラへと声をかけた。
「エンジェラ。皆のともに行ってらっしゃい!私は学校の入口で待ってるから!」
「は〜い!!行ってきます〜 行こ〜」
セラフィにエンジェラは返事すると、私とチノンを連れて近く
にいた先生の所へ先導し、向かった。
先生の所へ近づき、エンジェラが先生へと声をかけた。
「先生クラスを決めたいのですが。。。‼」
「ん?ああごめんね ラビスさんとチノンさんとエンジェラさん
だったわよね?」
「はい!」
私を含め3人とも返事をすると、先生は問いかけてきた。
「それで申告にする?それとも実技にする?」
「んー私は実技で!」
「エンちゃんが実技ならクラス迷ってたし、私も実技〜」
「なら3人とも実技お願いします!先生」
クラス決めは申告して決めるのと、先生との実技で決めるのと2つの方法がある。実技では先生との1対1で、先生に対して技を出したり、魔法を打ったりして、先生がどちらのクラスに行くかを決めるのである。そして私は2人の様子を見てから、流れにのって実技に決めたのである。
そして私達は先生とともに、訓練所へと向かった。着くなりにチノンが周囲を見ながら、声を発した。
「へぇーこれが訓練会場かあ〜広いなあ!」
「ええ、そうよ!入学していこうはいつでも使っても良いわよ!」
「いつでも使って良いのかあ!なら訓練にいっぱい使おうかなあ!」
訓練所の真ん中へと歩きながらの先生の言葉にエンジェラが答えた。その言葉に私は笑いながらエンジェラへと声をかけた。
「何よそれ笑 まぁ頑張りましょう!」
「それでは誰からでも打ってきていいわよ!私はシールドを張るから、容赦せず来ていいわよ!(さてどのくらいか知らねえ・子供だからそこまで強くはないと思えるけど。)」
私達の前を歩いていた先生が、突然私達の方を向くと、手を広げて攻撃するよう言ってきた。そしてそれに応えるかのように、すぐにエンジェラは後ろへと下がり、私とチノンは少し横へと移動しつつ、エンジェラへと声をかけた。
「容赦いらないなら私から行こうかなあ!」
「お、エンジェラ頑張れええ。」
「エンちゃん頑張ってねえ〜」
「じゃあエンジェラさんいつでもどうぞ!」
先生も攻撃受ける準備を直ぐにし、エンジェラへと声をかけた。するとエンジェラは手を下へと広げてニヤリと笑うと先生へと答えた。
「わかりました!では剣と魔法組み合わせていくので、受けてく
ださい!
来たれり、汝の聖剣よ、我の剣を炎で包まれたし
よしできた!では行きます。」
(え?嘘。あれは私達がやるような事なのに、まさかこんな子供が、くそっ見くびりすぎた見たいね! しまっ)
エンジェラが詠唱すると、エンジェラの手の下に炎を纏った剣が出現した。それを見た先生は普段の子供ではできない事のため、焦っていた。だが次の瞬間、エンジェラが剣を前へと突き出すと、剣先から炎の細い斬撃がでて、それを先生はマトモに受けて、訓練所の端へと吹き飛ばされたのである。それを見た私とチノンはエンジェラへと駆け寄り讃えた。
「すごいよ!エンちゃん!!」
「うそおおあれは本でしか見たことない技よ!エンジェラいつ誰から学んだのよ!!?」
「えへへっパパから学んだんだあ!」
そして奥から吹き飛ばされた先生も、腹を抑えながら歩み寄り、エンジェラを讃えた。
「いたたたっ やりますねえエンジェラさん」
「すみません先生、少し力が出過ぎちゃいました!それで私はどちらですか?」
エンジェラは先生のことを心配しながらも、クラスについて問いかけた。
「んーそうねえ(この子なら多分どちらでもやってけるとは思うけれど、少し剣が僅かに乱れてるから ) 剣士クラスかしらね!」
「わかりました!じゃあ次はラビス〜頑張ってねえ〜」
エンジェラはクラスについて聞いて、納得してから私に順番をふってきた。この頃から憧れ始めたのかもしれない・・・。その時の私は本来は魔法が主流だったが、今回は剣で戦うことを自分で決めた。そしてエンジェラへと(順番をふってきたことに)礼をしてから、先生へと顔を向けた。すると先生は既に準備できていたため、剣を魔法で精製し、斬りかかったのである。
「うん!ありがとう。(エンジェラが剣士クラスなら私も剣士クラスに行きたい!だからこそ)せいやあああ」
しかしラビスの思いは届かず、最終的に私は剣では無理な事を諭され、魔法で先生を吹き飛ばし、それを見込まれてしまった。
「じゃあラビスさんは魔法士クラスね!」
「わ、わかりました・」
「ラビスお疲れ様〜一緒のクラスになれなかったけど、たまに会いにゆくし、これからもよろしくねえ!」
「ええ さて次はチノンね」
「うん・・そうねえ・・どちらになるのかなあぁ!」
私は魔法を見込まれた事は、本来は嬉しいことなのに、その時だけは、自分が悔しかった。ただこの場で悔しさを出す訳には行かないと思い、先生に対し言われたことを納得し、チノンへと順番をふった。チノンは少し心配なのか、不安なことを声で発しながらも、先生へと向かった。
だが不安は的中し、チノンは魔法を撃つも、剣をふるもどちらもダメだったが、剣のが少しだけ見込みがあると思われ、
「それじゃぁチノンさんは剣士クラスね!」
「わーい!エンちゃんと一緒だああ!これからも宜しくね!」
「ええ宜しくねえ!」
チノンはエンジェラと一緒となり、私はその時だけ2人を羨ましがったのであった。
〜回想終了〜
私は誰もいないことをいい事に、その場で1人で呟きながら喋っていた。
「そして私はその時、エンジェラにチノンを取られた思っちゃって、今までずっと引きづって来ちゃったんだよなあ! なんでだろう」
「エンジェラを友達だと思ってるのに、憎く感じたり、羨ましく感じたりするこの気持ち 嫉妬って言うのかなあ はぁーあ」
「まぁそれも今日で終わらすわ だから私もしっかりしなきゃね!よし!いこ!」
私は自分の顔を叩き、気持ちを入れ替え準備室へと向かった!
そしてそれを隠れてニヤニヤと見ている影が奥にいた。




