105話 ヒロの遺した者
今回はイーフィ視点です。
エンジェラ達がすれ違っている頃、私は部屋に灯りを付けず、ただ白いベッドの上でヒロの死を悲しんでいた。
部屋の中は椅子や大事にしてた花壇やヒロと私が写ってる写真たてなども壊れ、床に散乱していた。
「なんで私だけ生き残ってしまったのよ····」
そんなことを私が小さな言葉で呟いた時、部屋を叩く音が聞こえた。
「誰よ。」
「イーフィさん。僕です。イセスです。少しヒロさんについて話しがしたいのですが···」
私は悩んだ末にイセスを入れることにした。
「······入って」
「し、失礼します····。」
ドアを開けてすぐイセスは、色々な物が散乱してる床に驚きながらも、まだ無事な椅子を見つけそれを私のベッドの近くまで持ってくると座った。
だが一向に話しかけてくる様子もないため、私から問いかけた。
「なんか話があってきたんじゃないの···?」
「は、はい···。僕実はヒロさんと約束したんですよ····。もしもヒロさんが亡くなった場合には、僕がイーフィさんを守るって···。だから···!」
イセスは手を震わせながらも、答えてくれた。だがその時の私はその言葉を理解できなかったのか、聞き返してしまった。
「私を守る? どうあなたが私を守るのよ? ねぇ?」
「ぼ、僕は····。ひ、ヒロさんにはなれませんけれど、ヒロさんみたくあなたを1番に考えて、ま、守りたいです···。」
イセスは緊張からか声が震えていた。こんな空気が重い部屋では、緊張するのが本来は普通である。ただその時の私は、緊張してるイセスのことを、今の私を見て守れるか不安がってると勘違いして、少し怒鳴り口調で返した。
「守れるか不安なら、簡単にヒロや守るって言葉を口にしないで!!!! あのヒロでさえ私をおいて、遠くへと言ってしまったのだから···」
「すみません···。でも僕は今のイーフィを守りたい! だから守らせてください! あなたの側で!!」
「だから守るって言葉を簡単に口にしないでって言ってるじゃない!!!!」
私は少しの怒りに任して、近くにあった割れた写真たてをそのままイセスへと、投げてしまった。割れたガラスの破片とかが、イセスの顔などを切りつけ、体のあちらこちらから血が滲んでいた。
私はその血を見てしまい、ヒロの死んだ時がフラッシュバックしてしまい、叫びながら頭を手で殴っていた。
「消えろ消えろキエロキエロキエロキエロキエロキエロキエロキエロおぉぉぉぉ!!!!」
「やめろイーフィ。」
「え······ヒロ····?」
その時イセスがいた方向から、ヒロの声が聞こえた。私はその言葉にそちらを向くと、そこには私の手を抑えながら、私へと話しかけるイセスがいた。
「辞めてください! イーフィさん!!」
「あ·····ごめん···(そうだよね。ヒロの声がきこえるわけないよね....)」
私はイセスに謝りながらも、頭の中で考えていた。その時イセスの手から、私の手へと暖かく流れる物を感じた。私はすぐに血だとわかったので、イセスへと問いかけた。
「イセス血が出てるじゃない···! 大丈夫なの? 痛く···ないの?」
「あーこんなもの。あなたを守れるぐらいなら、このくらい耐えられないとですからね。」
私はそんなイセスの言葉に、前にヒロから言われたことを思い出していた。
〜回想〜
これはまだエンジェラ達が、チノンのために訓練場でやってた頃の事である。
私は好きなヒロと共に、お互いを鍛え合っていた。
「これはどうかしら? ヒロ!!」
「フッ まだまだあぁ!!!」
私とヒロは笑顔になりながらも、お互いを鍛え合った。
そして少しの時間戦いあって、休憩してる頃だった。
ヒロが私へと話しかけたのである。
「イーフィ〜」
「何〜? ヒロ!」
「最近イセスと俺が修行してるのは、知ってるよな?」
「まぁたまに見かけてるけど、それがどうしたの? 」
私が問いかけると、少し間をおきヒロは空を見上げながら答えた。
「イセスはだいぶ良い男性へと育ち、だいぶ強くなった。だからもし俺に何かあれば、イセスがお前を守るだろう。だからその時は······」
「何かあればとか縁起でもないこと言わないでよぉ〜」
私がヒロの最後の言葉に被せてしまったせいで、その時は分からなかった。
〜回想終了〜
(でも今なら分かるかもしれない··。だからこそ私は···。 ヒロ····ごめんね。ありがとう。さようなら。)「イセス。」
「はい? なんですか? イーフィさん。」
「私はあなたを好きになれるようにする。だからこそあなたは永遠に私を守ってね? 」
「はい!!! 全力で守ります!!」
私はヒロの死後から始めて笑うことが出来た。そしてイセスも緊張が解けたのか、言葉の震えも無くなり、笑顔を見せていた。
そして私はそんなイセスに提案した。
「てかイセス! これからはさん付けはやめてね? 私のことはイーフィでいいわ。」
私の提案にイセスは、少し顔を赤面させながらも謝りながら答えた。
「す、すみません! これからもよろしく! イーフィ··!」
「フフッよろしく! イセス」
そして2人はこれから共に生きてことを決めたのだが、そんな2人をドアの僅かな隙間から、睨むような形で見ている1人の女性がいたのである。
そしてまた悲劇を齎す者が、目覚めようとしていたのであった。




