104話 すれ違いと答え
今回は誰の視点でもありません。
ずっと部屋の中で1人うずくまっているシキは、頭が冷えたのか今までの言動を振り返り、その場で1人で呟いていた。
「なんて事を言っちまったんだよ俺は····。ラビスの言ってることは正しかったのに···なんであんなことを····· 自分のクソ野郎がああぁぁ!!!」
シキはただ悔し泣きをしながら、その場でずっと懺悔をしていた。
そんなシキの言動を部屋の外にいたラミアは、聞きながらシキには聞こえない声で呟いた。
「人は1度はすれ違うわ。だからこそそこからどうするかが大事なのよシキくん。」
呟いたラミアは部屋をあとにして、どこかへといなくなってしまった。
一方のラビスはというと、泣きやみただシキの愚痴をもらしていた。
「何よあのバカシキ。私が背中を押そうと思って言ったのにあんな言い方はないじゃない···。まぁ私も言い方悪かったかもしれないけどさ···」
そして泣いていたラビスのことを見ていたリビーはというと、いつの間にかラビスの所からは離れており、色々考えながら歩いていた。
(ラビスちゃん。随分と泣いていたなぁ。やっぱりそれだけ悩んでたってことよね···。私はどうしようかなぁ···)
するとリビーがある角を曲がった時に、偶然にもラミアと出会ったのである。
「あ··!」
「あらリビーじゃない。どう? 答えはもう出たかしら?」
ラミアは会った途端に、リビーに話しかけた。リビーはラミアがくれた課題を思い出していた。
〜回想〜
これはリビーとラミアが白い部屋を出て、白い部屋から少し離れたところでの話である。
リビーは自分も少しは泣きつつも、大泣きしているラミアの背中をさすっていたが、ラミアがだいぶ落ち着いたのを確認してから、さするのを辞めた。
やめた瞬間、ラミアはリビーへと感謝を述べつつもといかけた。
「ありがとリビー。それでリビー。あなたはこれからどうするの?」
「え? これからですか?」
「そうよ。これから。多分エンジェラはいずれカノーさん達が復活させてくれるとは思うわ。でもそれで終わりじゃないはずよ?」
リビーはいきなりのラミアからの問いにすぐには、答えられなかった。そんなリビーの様子を見たラミアは、リビーから離れつつ、リビーへと告げた。
「答えが出ないようね。まぁ仕方ないわよね。あのエンジェラを見たら、誰でも迷うでしょうね。でもねリビー。私は今よりも強くなるわ。強くなって、魔人化してエンジェラやシキ達に付けてしまった罰の償いをするためにもね。リビーあなたの答えはいずれ聞くわ。それまで別れましょ。」
「はい。」
リビーとラミアはそこから少しのあいだ、別れてしまうのである。
〜回想終了〜
リビーはまだ迷っていた。ただ先程のラビスを見て、1つの大きな答えには辿り着いていた。
「ラミアさん。私はまだ迷ってはいます。ですが、今ここには私よりも弱い者もいます。だからこそ私は今よりも強くはなりたいです!!!」
「ふむ。まぁそれでいいんじゃないかと私は思うわよ。リビー。一緒に強くなりましょ?」
「はい!!!」
リビーは少し暗い顔から、笑顔になりラミアと共に歩き始めた。
その頃エンジェラはというと、まだチノンとともに白い部屋にいた。
そしてチノンはエンジェラへと問いかけた。
「エンちゃん。ラミアさんにも言ってたけど、なんでシキくんや、ラビスちゃんに会いたくないの?」
「チノン。ごめんね。私はあの二人をこの手で傷つけてしまったの。だからあの二人がまだ私を怖がってたり、私の事で悩んでたりしたら、邪魔したくないからさ。あは···あははは···」
「エンちゃん····」
エンジェラが暗い顔しながらも、チノンに対し、無理に笑いを浮かべ返していた。チノンはそんなエンジェラのことが、心配で仕方なかった。
すると突然クロシーの魔法により、空きっぱなしになっている、白い部屋のドアの所に、2人の男女が現れエンジェラやチノンへと話しかけたのである。
「復活したと聞いて来てみれば、こりゃあ随分と悩んでる様子だね。エンジェラ。あのリビーの時とはまるで別人みたいだよ。ふふふっ」
「エンジェラそしてチノン。復活したって聞いたが、ホントか!!!? 」
「イアさん。そしてパパ!!」
「イアさんとエンちゃんのお父さんだあ!!!」
白い部屋に現れたのは、イアとラゼフだった。
ラゼフはエンジェラの元へと近寄り、すぐにエンジェラのことを抱きしめ、話しかけた。
「エンジェラ···。ホントに···ホントに生きて帰ってきてくれてありがとう···! エンジェラまで失ったら俺はもう···」
「パパ痛いからやめてってええ···!」
「全くこれだから親バカは!! そりゃ!」
イアはラゼフの頭を叩き眠らせた。そんなラゼフをエンジェラはものすごく心配した。
「パパ大丈夫!!!?」
「エンジェラ。ラゼフは大丈夫だ。少し気絶させただけだ。でもまぁしかしまさかチノンが妖精として復活するとはなぁ。まぁさすがの神の力ってとこか。それでエンジェラ。君は何を悩んでるのかな?」
イアは一時的に、エンジェラの真横にいるチノンを方向を向きチノンに対し、話しかけたと思いきや、またもエンジェラの方向にむくと、問いかけたのである。
まずチノンはイアに対し笑顔で答えた。
「いや〜私も流石の神様だと思いました。私でさえさすがに生きることを、諦めようかと思いましたですもん。でもそこをカノーさんに助けて頂いて、今こうしてエンちゃんといられるわけです。ねぇ〜エンちゃん。」
「うん。それにもしチノンが復活しなかったら、私は復活出来てないと思いますよ。ホントにありがとうチノン。」
「えへへ〜」
「ふ〜ん。そうなのか。まぁチノンのことはいずれ、説明があるかと思うから、それを聞くわ。それでエンジェラ。何をなやんでるのかしら? 話を逸らさないで答えてくれてもいいんじゃない?」
「うぅ···」
エンジェラはイアの問いかけに、少し俯いた。チノンはそんなエンジェラのことを心配そうな目で見ていたが、エンジェラはシキやラビスが怖がってるかもしれないこと、シキやラビスが私のことで悩んでるかもしれないから、邪魔したくないから、会いたくないことを話した。
するとイアは1度笑ったと思ったら、真剣な顔になり、エンジェラへと話しかけた。
「ふふふっ エンジェラ。あなたは2人のことを、信頼してないのかしら? まぁあの血鬼の姿を見たら、怖がるのは当然だわ。でもならなんであの二人はあなたを助けたのかな? それに邪魔になると言ってたけど、逆にどちらかが会いに行かないと、悩む一方なんじゃないかしら? まぁあとの判断は任せるわ。それじゃあ私はいくわよ。」
それを告げた途端、イアはラゼフを掴むと、その場から一瞬で居なくなった。
エンジェラはイアの言葉を聞いた途端、考え出した。
(信頼してない? いや信頼してるとは思う。なぜ助けた? それは···友達だから··? 悩む一方···? そうなのかな···?)「やっぱり私は···逃げてるのかな?」
「逃げてると私も思うよ。エンちゃん。」
エンジェラの言葉がつい漏れてしまったのか、チノンがエンジェラへと答えた。それを聞いたエンジェラはチノンへと問いかけた。
「なら私はどうすればいいのかな? チノン」
「分からないよ。それは自分で決めることなんじゃないかな? でももう1人じゃないんだから、立ち向かお? エンちゃん!」
「·····うん。···そうだよね。1人じゃないんだもんね··。ありがとうチノン。そしてごめんね! 会いにいこ。2人に!」
「うん!!!」
チノンに勇気づけられ、エンジェラは白い部屋からチノンと共に、抜け出しシキの元へと向かうのである。
その頃シキは悔し泣きも止まり、答えを出していた。
「よし。ラビスを探し、ちゃんと謝ってから、エンジェラの所へ行かないと!!!」
そしてシキは部屋を飛び出し、ラビスの元へと向かうのである。
その頃ラビスはというと、愚痴は止まり立ち上がって、考えるのをやめ呟いてから、行動に移したのである。
「色々考えても始まらないわよ。シキの事は知らないけれど、ひとまず1人でエンジェラに会いに行こうかな。」
そしてシキとラビスとエンジェラとチノンは、すれ違うのであった。




