10話 実践 後編
「いてっ!おい、エンジェラ何すんだよ!!」
シキは怒り、その場にいた全員は驚くしかな
かった。
「ちょっ!エンちゃん!!!?」
「おい、ジェラ 何してんだよ!!?」
「····」
チノンやマメを含む、周りが驚き騒いでいる中、私は黙っていた。その場にいた全員の間を、風が吹いたその時、シキは私の胸ぐらを、掴み聞いてきた。
「おい、黙ってないでなんかいったらどうなん
だ?エンジェラ」
「あんたが·····」
私はやっと口を開いた。だが、少し小声だったため、シキは再度聞いてきた。
「ん?聞こえんぞ?」
「あんたが死ぬかと思ったんだよ?こっちは!
何を悩んだまま戦ってんのよ!戦うのなら悩み
なんか晴らしてからにしなさいよ!」
その時私は泣きながら、シキの顔を見て叫んだ。そのあんまりの顔に、シキはその時、胸ぐらを、掴んでいた手を離した。
学校での実践とはいえどゴブリンの攻撃は食らったら死ぬケースも有り得るほど危険視はされている。ただ今回シキが苦戦し、死ぬかと思ったから、叫んで泣いたのである。そんな私を見ていたチノンは、少し悲しい顔で見ていた。
「エンちゃん···」
「エ、エンジェラ すまねえ。。。確かにそう
だよな、ハハっ悩んだまま戦っちゃいかんよ
な。今度からは気をつけるよ。すまなかった」
そう言いながら、シキは私を避け、みんなの元へ戻ろうとした。私は皆の所へ歩いている、シキの背中を見ながら、叫んだ。
「待ちなさいよ!何逃げてんのよシキ。私はい
いからぶつかってきなさいよ!」
「逃げてる?誰が?俺が?そんなわけないじゃ
ん、俺は逃げちゃいねええよ。ほら次の番が始
まるぞ?うちらも外側に出ようぜ?な?」
私の言葉に、シキはこちらを向かず、その場で足を止め、空を見上げてから、少し冷たい声で発した。
「逃げてるわよ!今もそうやって話を逸らそう
としてるし、私の方も向かないじゃない··。あ
なたはそれでいいの?シキ」
「うっせぇーな。逃げてねえっていってんだ
ろ!?なぁ!?」
シキは私の言葉を聞いた瞬間、こちらを向き、歩いてきたと思いきや、私の胸ぐらを、再度掴むと、冷たい声で怒ってきた。しかし私はそのシキの言葉に、怯えることなく逆に怒った。
「逃げてるわよ!あなたは!」
場内の中央で、私とシキが睨み合いをを始めたため、マメがそれをやめるよう私とシキに促しつつ、ラミアにも促した。
「おい、ジェラとシキそんくらいにしておけ、
先生も止めてください。」
「マメくんそうね。」
そして二人は数人に抑えられ、ラミアに後ほど、自分のとこに来るようにといわれ、その場は一時的に冷めたが、また実践が開始された。
そしてそれから実践が終わるまでは、私とシキは目を合わせなかった。その時、私とシキの間を冷たい風が吹いていたが、私はそれに気づいていなかった。
実践はというとシキ以降も無事にクリアし、先生とほかの人も心配にしていたセレンの番がやってきた。その時、私の後ろにいたセレンが、私の目の前にやってくると、私へと声をかけた。
「エンちゃん···私大丈夫かにゃあ?あのゴブリンに勝てるかにゃ··?」
「セレンちゃん大丈夫よ!敵をよく見て、攻撃
を避けてから、相手の足を狙えば腹付近に隙が
生まれるからそこに攻撃をすれば勝てるわ。」
私はそんなセレンの頭を撫でながら、笑顔で答えた。そんな私の言葉に、セレンは笑顔になると答えた。
「難しそうだけど、やってみるにゃ!エンちゃ
んありがとうにゃん!!」
「よし行っておいで!!」
私はそんなセレンの背中を掛け声とともに、押してあげた。セレンは力強い言葉で、私へ向け声を発した。
「行ってくるにゃ!」
そしてセレンは実践の武器選びのため、先生の所までいった。その頃、観客側ではセレンのことを心配する声が上がった。チノンや、マメも心配していた。
「大丈夫かなあセレンちゃん」
「俺もそれは思う 今日来たんだろ?戦い方も
知ってるか怪しいし」
「大丈夫よ!チノンの訓練してる時に、奥の方
でラミア先生が直々に教えてるの見えたか
ら!」
私は、心配な言葉を出しているチノンやマメへ向け、声を出した。そう私はチノンの訓練の時、奥の方で先生と訓練していたセレンが見えていたのである。そんな私の言葉に、チノンは驚き、マメはニヤけた顔で答えてきた。
「え?そうだったの?気づかなかった!」
「へぇーつまりはチノンとシキとジェラは
あってたわけかあ」
「ま、まぁそうなるわね!(私何してるのよ…本当に私の馬鹿···)」
私はそのマメの言葉に、あることを思いつつ、少し俯きながら、答えた。そんな私の気持ちもいざ知らず、チノンは楽しそうな声で答えた。
「そだよおお!可愛かった!」
「あぁそうだな」
シキの言葉に、チノンとマメは反応しようと
したが、私が反応しなかったため、そのままス
ルーした。その時、シキは少し悲しく、シキ自身に対してのイラつきなのか、ただ俯き、くらい顔になっていた事はその時の私は、知らずにいた。その様子をチノンは無言でずっと見ていた。
そして私はセレンの方を向き、私の後ろにいたいたチノン達を含む数名へ向け、声をかけた。
「さて始まるわよ。」
そしてセレン装備選びに悩んでそうだったが、
双剣を選んだ。それにラミアは少し心配する感じで、セレンへと聞いた。
「セレンちゃんホントに双剣でいいのね?」
「はいにゃ!」
セレンの元気な返事に、ラミアは笑顔になるとセレンに向け、答えた。
「なら始めるわよ。頑張ってね!!」
「頑張るにゃ!」
そしていよいよセレンの初実践がスタートとした。周りは不安と心配で見守っていたが、次の瞬間全員が目を疑ったのである。あのマメでさえも、驚いた顔をしながら、声をあげるほどに···
「うそだろ!!!?」
「嘘!?セレンちゃんすごい!!」
マメやチノンが驚き、歓喜してる中、シキは小声でセレンの方を向きながら呟いていた。
{ほおお これはすごいとしかいいようがない
な}
「嘘でしょ?セレンちゃんすごいじゃない!」
そんなシキの事を、その時の私はいざ知らず、セレンに向け声を出した。
「エエエエエエエエエ(全員)」
ではなぜ、皆が驚くのか?それはセレンが、実践開始の直後、ゴブリンに攻撃させる前に、風が生まれるぐらいの速さで、双剣で腹を刺してから裂くと、倒したのである。
これは先生達でさえも難しいことで、クラスで唯一出来るのは私しかいなかった。
そして一方のセレンは双剣についてた血をはらうった。まるで人が違うかのように···そして元に戻ったセレンは、キョロキョロした周囲を見渡してから、首をかしげつつその場で、観客の人達に聞いた。
「あれ?モンスターはどこにゃ?もう終わった
にゃ?」
「そうよお。終わったのよセレンちゃん!すご
いわ!!」
「(へぇーこれはあの人の材料に相応しかもね)
セレンちゃん凄いじゃない!」
私はセレンの言葉が聞こえたため、大声で元気よく返した。ラミアはある事を思いつつも答えた。そんな私達に、セレンは首をかしげた状態から変えずに、またも聞いてきた。
「先生とエンちゃん、私がやったことってそん
なにすごい事にゃ?」
その問いかけに、私と先生はまた元気よく答えた。
「すごいわ。大抵出来ることじゃないわ!」
「そうねえ!エンジェラちゃんの言う通りよ!(いい素材になるかどうかもうちょい観察した方が良さそうね。)さて次の人と行きましょう!」
そんな私達の言葉に、セレンはその場で喜んだ。
「そうなのかにゃあ!やったにゃ!」
そしてセレンは私の所まで走ってきて、私に抱きついた。私はそれに軽めに、叱った。
「こらあチノンみたいに抱き着かないのお!」
周りがセレンの成功にざわついたあと、セレンが私に抱きついたことで笑いが起きた。そしてそのセレンが作ってくれた流れで、それからはなんとか実践は着々と進み、ついに私の番がやってきた。そしてラミアは名前が書かれた名簿を一瞬みてから、私の方を向き答えた。
「次は最後ね エンジェラちゃんの番よ!」
「やっと来たのね!待ちくたびれたよ!」
私はそのラミアの言葉に、少し呆れつつも、ラミアの所へと向かって、歩き出した。そんな私の姿を見たチノンやマメは応援してくれた。
「エンちゃん頑張ってええ!」
「ジェラガンバあ。まぁ余裕だろうけど」
「余裕って何よマメ笑」
私はマメの言葉に、笑いながらマメの方へふり向き、答えた。
「なーんでも!」
マメの返しに、私は呆れつつも、歩きラミアの所へと着いた。そしてそれを確認したラミアは私へ声をかけた。
「さてエンちゃん武器はどれにするの?」
「んーそうだなあ。今回は斧にしようかな。」
私に歓声が起きる中、私はラミアへと返事をした。そして斧を選んだ瞬間に、斧を選んで実践成功した人達が集団の後ろから前の方に出てきた。それを見た、私は武器をしっかりと持つと、ゴブリンのいる所へと歩きながら、ある事を思った。
(あ、この人達私の戦い方を見に来たわね いいわ。見てなさい!)
「さてそれじゃあ始めるわよ!」
私が、準備よしと見たのか、ラミアは声をかけ、いよいよ私の実践もスタートした。私は背後に集まる、視線を無視し、ゴブリンへと声をかけながら、武器を構えた。
「きなさい。ゴブリン」
「ギャオォォオオオオオ」
私の言葉に、ゴブリンは真っ直ぐ私の所へと向かってきた。そのゴブリンを私は、見下しながら、ある事を思いつつも、手に持っていた斧を横から振り払った。
(全く相変わらず真っ直ぐにしか来ないわね。
だから弱いのよ!)
「てぇい!!!!」
「ギャオオオオ ぉぉぉ。。。」
一瞬で私はゴブリンを吹き飛ばし、実践を全員成功で幕を閉じさせたのである。私は終えたと同時に、振り向き、さっきまでいた場所へと歩いた。そうしたら、マメが話しかけてきた。
「豪快な最後だなジェラ!」
「まぁね!!斧は重い分フルスイングが一番だ
わ!ぶいっ」
私は人差し指と、中指を皆がいる方向に立て、笑顔でマメに話しかけてた。マメはそんな私に、微笑しながら、返事をした。
「まぁな笑」
「やっぱりエンちゃんは強いねえ!」
そんな、私とマメが話していると、チノンが割って入った。そしてチノンに礼を言おうとしたその時、セレンが割って入ってきた。
「そうだにゃかっこよかったにゃ」
「ふふっありがとうね!」
私はセレンに少し、驚いたが、すぐセレンとチノンに向け、お礼をした。そして全員成功で実践を終了したので、ラミアが号令をかけ、皆を集合させると、みんなへ向け少し大きめな声で、話し出した。
「全員お疲れ様!無事全員成功で終えれたこと
に先生は嬉しいです!では後片付けはさっきの罰として私のとこへ来なくて良いから、シキとジェラでやってください!」
「へい」
「はい」
ラミアから指示を受けた、私は少し俯きながら答え、シキは少し寂しめな声で答えた。そんなシキをチノンは少し心配そうな顔で見ていた。そしてラミアはそれから全員にまた、話しかけてきた。
「それでは全員解散とし、教室でお昼ご飯としましょう!お疲れ様でした!」
「エンちゃん。。。」
ラミアが話し終えたと同時に、チノンは後ろから私の服をつまむと、チノンは少し寂しめな声で私の名を呼んだ。それに気づいた私は少し、笑顔になると、後ろを向き、笑顔になるとチノンの頭を撫でながら答えた。
「ん?チノン大丈夫よ!先に言っててすぐ終わらせるから!あとマメ統率は頼んだわよ?」
「うん!」
「うい。後片付け頑張ってなあ」
私の答えに、チノンは元気よく返し、私の指示に、マメは呆れながら答えた。そしてシキと私で後片付けを始めるのであった。




