表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
17/33

銀狼族の巫女

 俺たちのピンチに現れ、敵を一網打尽にし、ドクの事を旦那様と呼ぶ銀狼族の幼女。

 お腹いっぱいである。


「えっと、この子はドクの奥さんってことでいいのかにゃ? そしてドクはこんなちっちゃな女の子に手を出していたってことでいいのかにゃ?」


 急な展開にも関わらず、ここぞとばかりにドクを責め立てるナーシャ。

 そんな彼女に慌ててドクが言い返す。


「ばっ、ち、ちげーよ! おい、ジョイ! 何変なこと言い出してんだお前!!」


 ドクは懸命にジョイという幼女を問い詰める。

 しかし幼女は無い胸を張って答える。


「変なこととはなんでしか! ドクは私の旦那様なるのでし! これは自然の摂理くらいに当然のことなんでし!」


 あ、まだ予定の話なんだ。ちょっと安心。

 まだこんな幼い子とどうこうなってしまう世界だったら、流石に俺のキャパを超えてしまう。色々と。

 ちょっと語尾が気になるが、こっちの世界では普通なのだろうか。


「でしでしでしでし。なんなんだその喋り方は一体よ! 鼻について仕方がねぇ!!」


 あ、違うらしい。


 ドクに指摘され、唖然とする幼女。


「な、なんてことでし。じぃやに、これが今の街の流行はやりだって聞いて頑張ってものにしたのに……これじゃ完全に無駄骨でしよ」


 うな垂れ落ち込む幼女。

 こういう所はどことなくドクに似ている気がする。

 そんな彼女を見て、アンナが呆れてドクを諭す。


「ドクあんた、いくら何でもこんな小さな子にそんな言い方は酷いんじゃないかい?」


 アンナの言葉に、「そーだそーだ」と乗っかるナーシャ。

 しかしそんな二人に、ドクは毅然とした態度で言い返す。


「あ? 何言ってんだおめぇら。こいつはこんな成りだが、おめぇらよりも年上だよ」


 なんと。

 ドクの口から出た、合法ロリという衝撃の真実。

 アンナとナーシャも、流石に開いた口が塞がらない様子。


 しかし、なんでまたこんな容姿なのか。

 俺がドクに尋ねると、ドクは気まずそうに答えてくれた。


「あー、それはこいつが言ってた巫女って職が関係しているんだが……まぁ理由は追々話してやるよ。兎に角、こいつは見た目通りの年齢じゃねぇ。こいつの本当の年齢は――」

「【雪花氷シュエファービン】」


 ドクが言い終わる前に放たれる先ほどの大魔法。

 ドクの頭にどんどんと雪が降りかかる。


「ジョイ! おいてめぇ、何しやがる!!」


 先ほどはモンスターを一瞬で氷雪のオブジェと化した彼女の魔法だが、ドクにはあまり聞いてない様子。

 いや、寒そうではあるのだが。


「レディの歳をペラペラ話す様な悪い子にはお仕置きでし! これもドクを想っての愛の鞭でしよ!」


「うるせぇ! さっさとやめろ! うわっ、やめ! や、やめて下さい」


 そう言って雪に埋もれていくドク。

 そんな二人の夫婦漫才を見せられつつも、俺たちは危機がとりあえず去ってくれたことに安堵していた。







「では改めて。私はドクの婚約者つまのジョイと申しますでし。この先のカルフィス村で巫女をしていますでし。婚約者おっとのドク共々よろしくお願いしますでし」


 そう言って俺たちにぺこりと頭を下げるジョイ。

 可愛い子ではあるのだが、語尾が非常に気になって仕方が無い。

 同じことを思ったのか、ナーシャもジョイに尋ねる。


「もう流行はやりじゃにゃいって分かったんにゃら、無理に語尾を変えにゃくてもいいんじゃにゃいのかにゃ?」


 そんな言葉に落ち込みながら話すジョイ。


「それが出来たら苦労しないでし。この喋り方は、長い年月を掛けてもうすでに私の骨の髄にまで染み付いてしまったでし。これが本当ほんとの無駄骨でし」


 案外落ち込んでいないのかもしれない。

 そんなジョイに呆れていると、ドクが彼女に現状を確認し始めた。


「おいジョイ。なんでモンスターがこんなことになってんだ? 大体おめぇが村を離れて大丈夫なのか? 結解はどうした」

 

 まくし立てるように問い詰めるドク。

 結解という新しい単語が出てきた。

 ドクの村と何か関係があるのだろうか。


 そんな彼に、鬱陶しそうに言い返すジョイ。


「そんな一気に聞かないで欲しいでし! まぁ結論から言うと、結解の寿命が尽きかけていて、その影響でモンスターが活性化してしまっているでし。でもドクがその解決策を持って来てくれたから、村の最優先事項としてこうして私が派遣されたでし」


 うーむ、訳がわからん。

 しかしドクの顔には、かなりの焦りと混乱が見える気がする。

 かなりヤバイ状況なのだろうか。

 

 俺が状況についていけずに呆けていると、アンナがジョイに尋ねた。


「よく分からないけれど、やばい状況ってことだね。でもドクが解決策をもっているなら、もう大丈夫なんじゃないのかい?」


 おぉ確かに。

 なーんだ。

 これからまた大変なことになるのかと思ったけれど、ちょっと拍子抜けである。


 とか思いつつ、安心する俺。

 しかし、ジョイの言葉によって俺の安心感はどこかに飛んでいく。


「そうでし! ドクがそこの異世界人を連れて来てくれたおかげで、なんとか希望が見えてきたでし。あとはそこの異世界人が、精霊の試練を乗り越えて結解を修復してくれたら万事解決でし。頼んだでしよ、異世界人」


 ジョイの言葉に目を見開き顔を見合わせる俺たち。

 えらく異世界人推しである。

 


 ……あれ。



「えっと……おれ?」




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ツギクルバナー
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ