とうとう俺も異世界転移
異世界転移もの始めました。
皆さんよろしくお願いいたします。
注)
鬱展開あっても短め。
ストレスフリーでいきたいと思います。
気が付くと、そこは異世界だった。
目の前にいる緑の体色をした醜い顔面の小人。
ファンタジーでお馴染みのゴブリンが、その現実を俺に突きつける。
彼の手には俺の太ももぐらいはありそうな太い棍棒。
あれで殴られれば、骨くらい簡単に折れてしまうだろう。
俺をじっとにらみつけ、獲物を狩るのを楽しむ様に嗜虐的に笑っている。
あぁ、もっと考えて行動していれば……。
俺の背中につーと汗が流れていくのを感じながら、俺は少し前の自分を呪った。
▽
ずっと家に籠りきりだった俺は、ふと久しぶりに外に出ようと思い立った。
理由は色々あったけれど、今はとりあえず置いておく。
玄関に下り、ドアのノブを回して外に出てみると、その景色がガラリと変わっていた。
不思議に思い振り返ると、そこにはさっきまで居たはずの家は無し。
辺りには鬱蒼と茂る森が広がっていたんだ。。
これには俺もかなり焦った。
頑張って家を飛び出したのに、気づけばそこは知らない森だ。
とりあえずここはどこなんだろうとうろうろしていると、茂みからガサガサと音が聞こえる。
人かな? と思い迂闊にも足を踏み入れると、そこでアイツと出会ったという訳だ。
二度見しましたよ。えぇそれはもう盛大に。
知らない場所に飛ばされて、そうじゃないかなと薄々は期待してたけど、まさか本当にファンタジーと出会うことになろうとは。
俺だけではなく、アイツも俺のことを二度見したのはおかしかったけどね。
いやそんなことを言っている場合じゃない。
このままでは俺は殺されてしまう。
どうにか打開策を考えなければ。
こういう時、どうするべきなんだろうか。
1、穏便に解決
2、戦う
3、逃げる
うーむ。
俺としては是非1を選びたい所だけれど……論外だな。
奴は俺の方をじっと睨みつけて、じりじりとにじり寄ってきている。
こりゃ3の逃げる一択かなぁ。
2は無いな。
こちとら5年間家に引きこもっていたただのおっさんだ。
いのちだいじにで行かせてもらいます。
それにさっきからなんだか気分も悪いしね。
と言う訳で早速逃げよう。
しかしどこに逃げたらいいんだろう。
というか俺は彼から逃げれるんだろうか?
まぁ何事もやってみなきゃ分からんよね。
5年間何もしてこなかった俺の言えたセリフじゃないけれど。
よし、じゃぁ早速逃げるとしよう。
右だ。
俺から向かって右に逃げよう。
心に念じながら俺は左足を右に出そうとする。
だけれど長年の引きこもり生活の影響か、出した足が右足にひっかかって盛大に転んでしまった。
倒れる俺。
見つめる奴。
奴の目にも心なしか憐みの様な感情が見えるような気がした。
くそ! そんな目で俺を見るんじゃねぇ!!
俺の心意気が伝わったのか、奴が再び敵対モードに切り替わってにじり寄ってくる。
「ひ、ひ~~」
あぁ、俺の人生これで終わりかぁ。
なんて頭抱えて最後の時を待ってたんだけれど、一向に俺の終わりは来なかった。
……あれ?
俺が恐る恐る頭を上げると、そこには首をちょん切られて倒れている彼の姿。
OH……
こういったことに耐性の無い俺は、思わず込み上げてきたものを辺りにぶちまけてしまう。
異世界に来て早速これとはなかなかハードなスタートだ。
しかし俺が一人で嗚咽を漏らしていると、一人の女性が声をかけてきた。
「0e80riepf kfppi pfifg@ @pigofa-39r?」
懸命に何かを伝えようとするその女性。
しかし何を言っているのかさっぱり分からない。
だが、彼女が一生懸命話しかけてくる姿に、俺は思わず見惚れてしまった。
燃えるような赤髪に、使い込まれた赤茶色の革鎧。
背中には体の大きさと変わらない程の巨大な大剣。
そしてなにより、彼女のこちらを射抜くような強い意志をもった瞳と、その整った顔立ちに、俺は惹きこまれてしまったのだ。
こんな女性と付き合ってみたいなぁ。
俺はさっきまで命の危機に瀕していたことも忘れ、呑気にもそんな事を考えていた。