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グラビティ コントローラー  作者: ぴっぴ
第1章 王立学園編
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第7話 中間試験 第1試合

 今日は中間試験の日だ、試合の対戦相手を見に校庭に行く。生徒全員が掲示板を見てるので掲示板の前は混雑していた。以前の俺なら掲示板に興味を持たなかっただろう、誰と戦っても負けるから相手に興味が無かったのだ。しかし今は違う、戦い方を研究すれば勝てるかも知れないから相手の事が知りたいのだ。掲示板を見てる連中の後ろで並んでいたら暴力姫に声をかけられた。


「ちょっとあんた、相手は誰よ?」


「知らん、掲示板までたどり着けないんだ」


「・・・え~と、あんたの相手はDクラスの魔道士だわ」


「なんだそれ?」


 クリスは対戦表を持っていた、Aクラスの人間には対戦表が配られるのだそうだ。この学園はどこまでもAクラスの人間を贔屓するのだ。めぼしい人間をピックアップする為にAクラス全員に対戦表が配られているのだそうだ。自分の興味のある相手の試合を見るために使うらしい。


「興味の有る奴いたか?」


「全然!皆弱いもの」


「そりゃあお前に比べたら皆雑魚だろ、今勇者のレベル30オーバーだろ?」


「まあね」


 コイツのレベルは多分30代の中頃位か?だがこいつは勇者、普通のレベル30とは桁が違うのだ。勇者って奴は初期値が馬鹿みたいに高くて、そして成長率が凄いのだ。実力的には剣士のレベル50~60位で魔道士のレベル50、僧侶のレベル50位の実力全てを持ってる化物なのだ。


「そろそろ始まるわよ、あんた1番最初だわね」


「ああ、俺達Eクラスは前座だからな、一番最初なんだ」


 相手も分かった事だし、俺は何時もの弓と矢を持って会場へと向かう。弓は結構いい奴なのでボロ布を巻いて安っぽく見える様にしている。一応俺も魔道士だが魔道士でも色々な武器を使うのが普通だった。勿論俺は魔法による直接攻撃が無いので今のところはこの弓だけが頼りだ。

 会場はかなり立派な作りをしている、観客席も付いた円形コロシアムだ。今はまだ前座の試合なので観客もまばらだが試合が進んでBクラス辺りが出てき出すと教師や上級生、場合によっては国の偉い人まで見に来る場合がある。優秀な人間は早めに自分のグループに引き込みたいからだ。


 今回の相手は魔道士だがDクラスなので多分勝てる、魔道士はレアな職種なので通常ならCクラス以上に居るはずなのだ。俺のように魔法が発動しなかったり、物凄く詰まらない能力だったのでDクラスに居るはずだ。


「早く来い!Eクラス!」


「へ~い」


 試合の審判は学園の戦闘教官だ、これもAクラスには一流の教官が付き俺達Eクラスには3流の冒険者崩れが付く。この学園は徹底した差別主義なのだ。能力が有れば優遇され無ければ虫けら扱いなのだ、それも当然。何せ授業料無料、すべて税金でまかなっているからだ。


「試合を始める、戦闘不能か降参したら負けだ。良いな」

「わかりました」

「へい」


 競技場中央で対戦相手と向かい合う。小柄でヒョロイ奴だった。魔道士らしく安物のローブと杖を持っている。戦い慣れしてないので少し怯えているいる様だ。俺はと言えば、最近は森の中でオーク狩りばかりしていたので魔道士というよりはハンターに見えるはずだ体格も普通の15歳程度には筋肉もついて格好もハンターにしか見えなくなってきた。


「試合開始!」


 試合開始の合図と共に相手は魔法の詠唱を始める。まあ予想どうりだな、肉弾戦をする魔道士は滅多に居ない。俺はおもむろに弓を構えて魔法発動前に撃つだけだ。普段オーク狩りにつかってる矢だと相手が即死するので試合用の先が丸まってる矢を使う。


「な・・!」

ーバシュ!ー


 俺の矢は信じられない速度で相手の腹に命中しそのまま相手は腹を抑えて転げまわっている。魔道士同士なので魔法の詠唱の速度勝負と思い込んでいた相手は俺の矢を避けられずにまともに受けてしまったのだ。そして地面の上で転げまわっている魔道士に追撃の矢を送る。審判が試合を止めるまで続けるのが作法なのだ。


ーバシュ!ー

「ぎゃあ~!」

ーバシュ!ー

「痛い!痛い!」


 実際の戦闘なら死んでいるのにまだ降参しない相手に更に追撃する。嫌なら降参すれば良いのだ。


ーバシュ!ー

「うう・・・」


「そこまで!」


 見るに見かねた審判が試合を止めた。勿論勝者は俺だ。これで1勝したので目標はクリアだ。Eくらすから脱出してDクラスに上がるのは間違いない。もしかしたらCクラスになって普通の食事とやらが食えるかも知れない、俺はウキウキして試合会場を出た。目立つと面倒なので次の試合は棄権する予定だった。


「やるじゃない」


「なんだ、クリスか。見てたのか」


「魔法使ったわね。見たこと無い魔法」


「・・・・」


「あの矢の速度は異常だわ、威力もね。何したの?」


「企業秘密だ」


 魔道士の魔法は基本的に秘密だ、勿論スキルも秘密。この学園では生徒同士がライバル関係に有るので同じチームを組む場合以外は自分の能力を相手に教える事は無い。そして全ての能力を教える奴は馬鹿だ。


「魔法の気配もないし・・魔道具にも見えないわね・・」


 俺の弓を見てクリスはブツブツ言っていたが、俺は自分の能力を教えるつもりは無かった。俺だけの能力なので調べても無駄だし、他で見ることも無いはずだ。


「まあ良いわ、次も頑張りなさい。次はBクラスの大剣使いよ」


「棄権するから関係ね~よ」


「あら怖いの?」


「いや、腹が減るから動きたくね~んだ」


 さて棄権の手続きに行こう。わざわざこれ以上自分の能力を見せる必要も無いからな。それに腹が減ってるのも本当の事だ、Eクラスの朝飯は量が少なくて不味いのだ。


「すいません。次の試合なんですが・・・」

「おう来たか、Eクラスの癖に勝つとは珍しいな。次はBクラスのハワードが相手だ、頑張れよ」

「ハワード?・・ああ。あいつか・・」 


「ありがとうございます。頑張ります」


 棄権しようと思ったが相手の名前を聞いて気が変わった。大剣使いのハワードと言えばこの間俺を馬鹿にした奴だ、勝てるかどうかはわからないが、俺が簡単に負けなければあいつは恥をかくはずだ、Eクラスを瞬殺出来ないBクラスはみっともないのだ。



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