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捕縛、入隊、そして再開

 三日前のアンドロイド数体のシアトル強襲で、シアトル市内の軍関係者、一般人含めて1割の人間が殺された。

 敵戦艦の破壊後、敵アンドロイド達は勝利を断念し、半分以上のアンドロイドが自爆を選んだ。

 自爆を選んだアンドロイドのうち、レベル2、レベル3のアンドロイドは全員自爆した。

 残るレベル1の中でも恐怖心が強かったアンドロイドのみが自爆という選択を断念、捕虜になる道を選んだ。

 シアトル軍はこの三日間でアンドロイドに殺された一般市民の死者、行方不明者の捜索を行った。

 この戦闘後シアトル軍は避難シェルターがAIRに破壊されたとの報告を受けて、避難シェルターの数の増強、及び硬度の強化、1から30の各区に平常時配置のシアトル兵の数を今まで3人だった所を7人に変更する等の政策を取った。 

 そしてその後コータはーーーーーーー

「もうこれで三日目かぁ・・。」

 コータは他の独房よりは少し小奇麗な独房の中にいた。

「まあ実のところ宿代が浮くってのと案外思ったほど飯が不味くないから、以外と悪くないかもなあ。」

 コータは独房に閉じ込められたにも関わらずかなり前向きだった。

 ーーーーーーーーーーー三日前、戦艦の破壊30分後 シアトル軍司令室

「ええと、これは何の真似ですか?」

 コータは戦闘を終え、再度司令室に戻り、司令室の扉を開けると同時に2人のシアトル兵に両腕を掴まれ、手錠をかけられた。

「コータ君、先ほども言ったがまだ我々は君が人間だという決定的な証拠を持っていない。むしろここに侵入した数体のアンドロイドを君が撃退してしまったことにより疑いが濃厚になってしまった。申し訳ないが君の身柄はこちらの検査を受けてもらうまでしばらく拘束させてもらう。」

 ジョージ大将はシアトル兵に右左両側に立たれ、両腕が鎖で繋がれた手錠をかけられたコータの目の前まで来て、腕組みをしながらコータの目を見てそう言った。そうしてコータは両腕を掴まれた状態で地下室の独房まで連行された。

 ーーーーーーーーーーーーーーーーーシアトル軍 作戦会議室

 その部屋には重い表情で席に座る数人の兵士達と、その数人の目の前で彼ら以上に強張った顔で立っている中将、大将達の姿があった。

「先の少尉に変装したアンドロイドを何故軍内部への侵入を許してまったのだ!」

 ジョージ大将が部屋にいる兵士全員に聞こえるよう大きな声で言った。

「シアトル門の警備員の報告によるとアンドロイド識別装置に異常はなかったとのことです。おそらく一年前の敵アンドロイド軍との戦闘後、シドニー・ジョンソン本人とアンドロイドが入れ替わっていたのだと思われます。」

 女性中将がジョージ大将に言った。

「もしくは連中はすでにアンドロイド識別装置のチェックを誤魔化すことができる技術を開発してしまったのでは?」

 70代の男性中将が言った。

「もしヒラリー中将が言うように一年前の戦闘でシドニー少尉とアンドロイドが入れ替わっていたとしたなら、今回の戦闘でも敵アンドロイドと兵士が既に入れ替えられてしまった可能性もあるのでは?」

 40代の男性中将がジョージ大将に言った。

「既に兵士の中にアンドロイドが混ざっていると?なら早急に全兵にアンドロイド識別装置のチェックを受けさせなければならないの。もしかしたらこの会議室にいる30人の中にアンドロイドが混ざっている可能性もあるしのお。」

 セオドア中将が言った。

「いずれにせよ、このままでは兵士同士が互いに互いをアンドロイドではないかと疑心暗鬼になるのも時間の問題だ。必要な事は全兵に識別装置のチェックを受けさせる事と、識別装置の強化だ!それと各隊隊長は各隊員同士のメンタル面のケアを怠るな!」

 ジョージ大将は再度会議室にいる全隊員に聞こえるよう声を張り上げて言った。

 会議後終了後、続々と隊長達が会議室から出ていく中、セオドア中将がジョージ大将に他の隊員に知られないよう小声で話しかけた。

「例の彼のことはどうなさるおつもりですか?」

「まず私が彼と1対1で話をしよう。そこから彼の素性を彼から聞きだして、その上で判断する。」

 ーーーーーーーーーーーシアトル軍囚人収容所 102番独房

(あのおっさん、戦艦の爆発による基地の損壊で検査機が壊れたから三日後に調査するって言ってたな。それが今日か。俺の左脳のこと、ばれたくないなあ。)

 コータには自分の左脳が機械であることをなるべく人に知られたくない理由があった。

 自分の左脳が機械であることが軍の人間に知られたら、おそらく軍は同じ脳を機械にできる人間を作ろうとするだろう。その実験段階で人が死ぬ可能性だってあるし、万が一ルイコウ博士がしたように脳死の死体を使って、人間を生き返らせて脳が機械の人間を作ろうとしたとしても、自分のように生き返ることで生き返った人間が幸せになれるとは微塵も思わなかったからだ。

 仮に自分のように生き返っても、周りの人間に化け物扱いされる人生が待っていると思ったからだ。

 そしてもう一つ、自分と同じような人間を生み出したくない理由があった。

 自分と同じような機械人間が大量に作られたら、おそらく人類はアンドロイド達を滅ぼすことができるだろう。

 しかしコータはアンドロイド達を滅ぼすことに迷いがあった。

 人間とアンドロイド、どちらかが滅びるまで争うか、もしくは人間とアンドロイドで共存の道を選ぶか。

 コータはその二つの選択肢を両方握っていた。

 いや、むしろルイコウ博士に選択権を与えられたというべきかもしれない。

 ここで自分の左脳のことを軍に知られて、自分と同じ人間を作ることになったら、この二択の選択権を軍の上層部に握らせてしまうことになる。

 コータはそれが嫌だった。

(どうしようかな?このまま脱獄しちゃおうかな?でもそれじゃここに来た意味がなくなる。)

 コータが思考を巡らせていた時、独房の門が開かれた。

「出ろ。」

 帽子を被った憲兵が門を開いてコータに言った。

 コータは憲兵の後ろについて歩いた。

 初めてここに来た時と同じように、ひたすら殺風景な通路を歩き、エレベーターに乗った。

 初めてここに来た時と違うのは自分のいた独房が地下の10階にあったため、登るのが長くなるということだった。

 しばらくエレベーターが上に上がり、地上三階の最上階に到着した。

 また一直線の通路を歩いている時、40代ぐらいの男性とその後ろを追いかける小学校低学年ぐらいの男の子とすれ違った。

「お兄ちゃん!」

 すれ違ってすぐ、後ろから声がした。

 さっきすれ違った男の子であった。

「ん?君は・・・あの時の?」

 コータはその男の子が自分が三日前AIRに襲われていた所を助けて、避難シェルターまで連れて行った少年だということに気づいた。

「ジョン、こちらの方は?」

 男の子の父親らしき男性が男の子に聞いた。

「僕が言った僕を助けてくれたお兄ちゃんだよ!」

 男の子は元気な声で父親に言った。

「ああ、あなたが!先日のことは息子から承っております!息子をアンドロイドから助けていただいたということで。」

 男の子の父親はコータに頭を下げながら言った。

「いえ、非常時だったので・・・。」

 コータは恥ずかしそうに男の子の父親にかしこまった。

「あなたは私の息子の命の恩人です。何かお礼がしたい。」

「失礼します、ジェームズ殿。この者は囚人でございます。これからジョージ・ワールド大将による取り調べが行われるところです。」

 自分を独房から連れだした憲兵が少年の父親に言った。

「何?!父が取り調べを?・・・ジョン、お前を助けてくれたのはこのお兄さんで間違いないんだね??」

「うん、間違えるわけないよ!」

 男の子は父親の質問に答えた。

「わかりました。ちょうど父への挨拶を済ませたところですがもう一度引き返しましょう。息子を助けてくれた方に疑いがかかっているとなれば恩を果たさないわけにはいかない。失礼しました。私の名前をまだ名乗っていませんでしたね。私の名前はジェームズ・ワールド。このシアトル市の消防士をしております。」

 男の子の父親は右手を胸の前に置き、首を下げてコータに自己紹介をした。

「あなたに何かしらの疑いがかかっているらしいですがどうか息子の恩人の手助けがしたい。私も父の元に同行させてください。」

 少年の父親、ジョージ大将の息子は礼儀正しい口調でそう言った。

「あー、ありがとうございます。」

 コータはたまたま助けた少年がジョージ大将の孫だったというだけだったのでその父親にそこまでしてもらうのに申し訳ないと感じていたが、自分の左脳の秘密を隠せるならと思い、父親の力を借りることにした。

 そして司令室の扉の所までやってきた。

「あの堅物の父を説得できれば良いんだけど。」

 ジェームズは言った。

「失礼します!」

 憲兵が司令室の扉を二回ノックして、扉に向かって叫んだ。

 憲兵は扉を開けて、先にコータとジョージ大将の息子と孫を部屋の中に入れた。

 中にはジョージ大将1人しかいなかった。

 窓から外を眺めている後姿のジョージ大将はゆっくりとコータ達の方を向いた。

「なぜお前達まで来たんだ?」

 ジョージ大将はジェームズとジョンを見て言った。

「お父さん、彼はあなたの孫をアンドロイドから助けてくれました。その事をお伝えするためにもう一度ご挨拶に伺いました。」

 ジェームズは父親の目を見て言った。

「何?ジョンを助けてくれたのか?!君は??」

 ジョージ大将は今度はコータの方を向いて言った。

「ええ、あなたのお孫さんと知ってて助けたわけではないですが・・・・。」

 コータは返事をした。

「・・・いかんな。アンドロイドがこの世界に出現してから人を疑い深くなっている。私は今、君が私に近づくためあえて私の孫を選んで助けたのでは等と考えてしまっている。」

 ジョージ大将は自分が考え付いてしまった事に自分で自分自身に呆れたといった顔で言った。

「そんなことはありません!」

 コータはすぐさま返した。

「分かっている。そのためにも君の体を我々軍で調べさせて欲しいのだ。君が君自身の無実を証明するために。」

 コータはジョージ大将の「無実」という言葉が、まるでアンドロイドに産まれたことが罪みたいじゃないか、と違和感を感じていたがジョージ大将のお願いに返事をした。

「申し訳ないですが、それはできないです。僕の体を調べたければ、僕の四肢を破壊して無力化した上で聞いたらどうですか??」

 コータはあえて挑発的な言い方をした。

 それはコータはいざとなったらシュラとともにこのシアトルを脱出できるという自信があったからだ。

「なぜ人間であるのに調べることはできないのかね?何か理由があるのかな?ここには監視カメラもないから、言っても知るのは私と私の家族とそこの憲兵だけだ。」

 コータは少し考えた。ここで仮にこのシアトル軍の大将に自分の体のことをばらしても、この人は自分をアメリカ軍の主要研究室に送ったりはしないだろうかと。

「ジョージ大将、少し2人きりになれますか?」

 コータは聞いた。

「分かった。すまんがジェームズ、ジョン、それとそこの君、部屋を出て行ってもらっても良いかな?」

 ジョージ大将は自分の息子、孫、憲兵に向かってそう言った。

 三人が部屋から退出していった。

 広々とした司令室でジョージ大将とコータの二人きりになった。

「ジョージ大将、あなたはもし自分の息子や孫が何らかの方法でアンドロイドになっても、彼らを愛せますか??」

 コータはジョージ大将に質問した。

 ジョージ大将はおかしな質問だと思いながらも「もちろんだ。」と即答した。

 コータはそう言ったジョージ大将の顔を真剣に見た。

「もう一つ、これから話すことは軍の人間も知り合いも含めて誰にも言わないと約束していただけませんか?」

 このコータの質問にジョージ大将は思考するために少し間を置いたが、すぐに「了解だ。」と返した。

「僕の左脳は機械になっています。それ以外の体の器官と右脳は普通の人間と変わりません。アンドロイドと対等に戦えたのは僕の左脳のおかげです。左脳が機械になったことで僕の論理的思考能力や処理能力は優れたAI並みに向上して、アンドロイドとの戦闘で対等に戦えるようになったんです。」

 コータは自分の体の仕組み、この体になった経緯、ルイコウ博士との関係等も含めてジョージ大将に説明した。

 そして、説明を始めて20分が経過した。

「中々、軍人には図りしれない話だったな。つまり君はこの世で唯一の脳が機械になった人間という訳だ。」

 ジョージ大将はため息混じりにコータに言った。

「よく軍人は一般人に暴力的な職業だという印象をもたれやすいが、今この世界になって、アンドロイドや君のような人間を作った科学者という職業の方がよっぽど暴力的な職業だと私は思うがね。」

 コータは少し反応に困った。

「それにしても、脳を半分機械にするなんて、随分人体に危険がありそうじゃないか?

 君の体にデメリットは全くないのかな?」

 ジョージ大将は科学がそう人間に都合の良い事ばかりをもたらすのだろうかと思い、コータに質問した。

「いいえ、デメリットはあります。僕は後一年で死ぬでしょう。」

 コータは先ほどまでと同じ冷静な口ぶりで、しかし先ほど以上に真剣な表情でジョージ大将にこの事を伝えた。

「なんだって?!!」

 ジョージ大将はいきなり自分が予想もしなかった返答に驚きを隠せなかった。

「僕は本来一度死んでいる人間です。それを機械を無理矢理脳にくっつけて延命した人間です。

 体は成長する。

 脳も成長する。

 ルイコウ博士によると半分になった本来の脳の成長とともに僕の機械の方の脳とずれを起こして、そこから脳機能がどんどん低下して死ぬらしいです。

 僕が機械の脳になったのが三年前。

 ルイコウ博士は僕が目覚めた時に僕は四年後に死ぬと言ってました。

 つまり後一年で僕は死ぬと思います。

 今は全く死ぬ感覚はありませんが。」

 コータは静かに自分が博士に告げられた死期を他人に告げた。

 ジョージ大将はしばらく黙っていた。

 コータに対して返す言葉を考えていた。

 しばらく考え込んで、口を開いた。

「つまり君に残されたわずかな時間を、アンドロイド達との戦いに使いたいという訳だね。」

「いいえ、そんなはっきりとした目的じゃありません。ただ、たまたま生き返ったのが親や妹や友達ではなくて、選ばれたのがたまたま自分で、生き返る前じゃ考えられない、考えもしなかったような人間離れした力を手に入れたんだから、短い寿命で何ができるかを考えた時、自然にここに脚を運んでいただけです。」

 コータは上手く自分の目的をジョージ大将に説明できなかった。

 コータはこのシアトルに来る前も既に沢山のアンドロイドと戦ってきた。

 初めは親の、妹の敵を討つためという気持ちでアンドロイド達と戦っていたが、戦いの中でアンドロイド達の人格や感情を持ち合わせているが故の、人間の悲鳴と聞こえ間違えるような、人間にそっくりな悲鳴や叫びを聞いていくうちに、自分の四肢を割いて、自分を含めた自分の家族を殺したアンドロイド達と自分のやっていることは同じことなのではないか?と考えるようになっていた。

 そんなアンドロイド達への同情心から、ジョージ大将の「アンドロイド達と戦いたいのか?」という質問に対してイエスと答えることができなかった。

 ジョージ大将「・・・君はあれほどまでの戦闘能力を持ちながら、今まで随分曖昧な気持ちで戦ってきたのだね。」

 コータが「アンドロイド達と戦いたい」と言えなかったことから、ジョージ大将はコータのアンドロイドに対する同情心をなんとなく見破っていた。


「それで、僕の処遇はどうされるんですか??」

 コータは全てを話した上でジョージ大将が自分をどうするつもりか興味があった。

「まず君の体の秘密を教えてくれたことに感謝する。確かにこのことがワシントン本部にでも知られたら君は捕縛されて実験材料になっていたかもしれない。このことは上にはもちろん、このシアトル基地全兵にも一般市民にも知られないように取り計らおう。私の孫の件もあるしな。」

 ジョージ大将はコータの秘密を守ってくれると約束してくれた。

 コータはその事に意外さを感じていた。

 軍の大将というのは堅物なイメージがあったからだ。

「しかし、君は何が目的でこのシアトルに来たのだ?ただ兵士になるために来たとも思えないのだが。」

 ジョージ大将がコータに聞いた。

「いいえ、兵士になるつもりで来たというのは本当です。後一カ月でレベルS兵士に上り詰めて、一カ月後の日本出兵に選ばれるために。」

 コータが答えた。

「日本出兵のことを知っていたのか。まだ表向きには公表していないはずだが。」

「知り合いにアメリカ軍の関係者がいまして、その人に教えてもらいました。」

「そうか。しかし今や君を普通の一般兵として入隊試験を受けさせるわけにもいかない。三日前の戦闘で君の活躍は軍内部の大勢の兵に見られてしまったからね。君は私の推薦による入隊として公表するとしよう。私が秘密裏に開発局に作るよう依頼していた強力なヒューマロイドとしてね。」

「ヒューマロイド?」

 ジョージ大将の言った聞きなれない単語にコータは疑問を発した。

「君のように、体の一部を機械で神経接続した兵士のことを我々は人間とアンドロイドの中間に位置する存在としてヒューマロイドと呼称しているんだよ。」

 ジョージ大将がコータの疑問に答えた。

「後、一時間後にここで少将以上の階級での軍事集会がとり行われる。その場で君の事をそう紹介するとしよう。私の専属の秘密開発局にも口裏を合わせるよう伝えておこう。アンドロイド識別調査の結果表も左脳の件を偽造したものを作らせるよ。ただし、君の脳については隠し通すが四肢については隠し通しようがないよ。君が肌色にカモフラージュした機械義手の拳でアンドロイドを破壊する所を上層部も含めて大勢の兵が既に目撃してしまっているからね。」

「わかりました。」


 ーーーーーーーーーーーーーーーー日本 千代田区旧皇居内

「ふーんなるほど。君達5人の力をもってしても彼を連れてくることはできなかったか。」

 赤いカーペットで覆われた、シャンデリアが下がっている大広間で紫色の西洋貴族のドレスを着た青年のアンドロイドはワイングラスを片手に椅子に座りながら部下の報告を聞いていた。

「申し訳ありません。言い訳するつもりはありませんが奴の戦闘力はおそらくレベル5以上は確実だったと思います。」

 青年のアンドロイドに、頭を低くしながらアンドロイド・アツシは先の戦闘結果を説明していた。

「うん。君達が戦闘で見た記録は全部こっちのデータベースに残っているから説明してくれなくてもわかっているよ。」

 青年のアンドロイドは余裕のある表情でアツシに言った。

「国ノ宮様、奴は一体何者なのですか?あれで人間とは信じられない。」

 アツシはコータとの戦闘を思い出して額から汗を流した。

「彼は、まあ私の友達というか、兄弟というか。私の父の弟子と言うべきか息子と言うべきか。」

 国ノ宮はアツシに対して説明するのが面倒くさそうな態度だった。

「と言いますと、かの黒岩ルイコウ博士の??」

 アツシは腰を低くしながらも国ノ宮の方を向いた。

「そう、私と同じあの父の私利私欲で作られた、被害者さ。」


 ーーーーーーーーーーーーーシアトル軍司令室

「コータ君、先ほどの会議の結果、君の入隊が決まったよ。」

 ジョージ大将がコータに会議の結果を伝えた。

「本当ですか?!」

 コータは入隊の決定に内心喜んだ。

「しかし階級は二等兵から。兵力ランクも最下位のE級からということになったが構わないね?」

「あの、階級とその兵力ランクというのはどう違うんですか?」

 コータがジョージ大将に質問した。

「簡単に説明すると階級は軍に所属した期間の長さと戦闘以外も含めた軍に対する貢献度で決まる。兵力ランクは全て戦闘能力の高さを基準に決まる。だから階級が高くても兵力ランクが低いということもある。何を隠そう私の兵力ランクはBランクだからね。」

 ジョージ大将は自分の兵力ランクを自嘲気味に語った。

「詳しくは入隊の書類がここにあるからそれに目を通してくれ。後サインも忘れずにな。」

 ジョージ大将の横には何十枚もの紙の書類が置いてあった。

(げえ!)

「後、君の乗っていたAIRは君専用の機体として軍の倉庫に収納させてもらうが構わないね?」

 ジョージ大将の口ぶりからまだシュラが感情を持った喋るAIRだということはばれていないのだとコータは悟った。

「問題ないです。ただ、あの機体の整備は僕自身でやらせてもらって良いですか?愛機なもので他人になるべく触ってほしくないんです。」

 コータはジョージ大将に言った。

「・・・構わないがここにきてまた隠し事かな??」

 ジョージ大将はコータを勘繰った。

「まあ良い。私は君が人類の味方であることを信じることにしたよ。整備班の方には機体を弄らないよう伝えておこう。」

「ありがとうございます。」

「ああ、後もう一つ、君の住居のことだがね、君は日本人だから難民手当として一般の住居を貸すこともできるし、軍の寮を貸すこともできるがどちらにするかね?」

 ジョージ大将がコータに質問した。

「一般の住居でお願いします。」

 コータは寮生活のような他人との共同生活は面倒臭そうだと感じて、前者を選んだ。

「わかった。後これはまあ余計なおせっかいかもしれないが、君はまだ15歳らしいね。15歳なら高校に行くことができるがどうするかね。軍の中には高校と軍人生活両方をこなす若い兵士もいる。軍からの推薦で編入が可能な学校がいくつかあるが・・・どうするかね?」

 コータは今のジョージ大将の話にきょとんとした。

 思えばコータは脳が半分機械になってから日本ではルイコウ博士との研究の日々、アメリカに来てからはアンドロイドと戦うための準備の日々で学校のような教育機関に三年間通っていなかった。

「・・・・行けるなら行ってみたいです。」

 コータはそう答えた。

「わかった。この資料の中に編入先の資料も入れておくよ。できれば3日以内に決めておいてくれ。」

 そう言ってジョージ大将は高校の資料を袋の中に入れた。

「後、今日の君の寝床だが、先ほど君を引き取りたいという人物が来てね、彼の所に厄介になってはどうかな?」

「彼??」

 コータはまたきょとんとした表情になった。

 そして「もしかして?」と心の中で思った。

 このシアトルに来て会話した事のある一般人を一人しか知らなかったからだ。

「彼は東門庭園で待っている。」

 ジョージ大将が言った。

 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーシアトル軍東門内部 庭園区画

 コータは資料一式の詰まった袋とシアトル市内の門から入ってきた時に持ってきた小型のリュックを背負って、ヘリコプターでシアトル軍内部に来た時に最初に脚を踏み入れた庭園に司令室から走ってきた。

「コータ君!!」

 そこにいたのはハヤトだった。

「やっぱりハヤトだったか!!」

 ハヤトはコータとの再会が嬉しくてコータの手を握って縦に激しく振った。

「コータ君、良かった生きてて。凄い心配したんだよ!」

「ハヤトこそ、あの後どうしたんだよ!」

 コータはハヤトに別れた後の事情を聞いた。

「あの後軍の取調室に連れてかれたんだけど翻訳機がなかったから軍の人が何言ってるのか全く聴きとれなくて。それで取り調べを受けてたら、何かが落下してくる音が外から聞こえて、外を見たらアンドロイドとシアトル軍が戦ってて・・・・。」

「わかった。とりあえずここじゃ落ち着かないから門の外に出よう。」

 コータとハヤトは門に向かって歩いた。

 門はコータとハヤトが近づくと自動で開いた。

 どうやら門そのものに監視カメラが付いているらしい。

 コータとハヤトが門を出る門はまた勝手にしまっていった。


 コータとハヤトは初めてであったレストラン スプライトに入った。

 コータは初めて来た時と同じハンバーグを、ハヤトはチキンステーキとスパゲッティをウェイトレスに頼んだ。

「わざわざ引き取り人として来てくれたのか?」

 コータはハンバーグを口にほうばりながらハヤトに言った。

「だってコータ君、あの時アンドロイドから僕を助けてくれたじゃん。命の恩人を助けないわけにはいかないよ。」

 ハヤトはコータの食事をする姿を見ながら、ジュースの入ったグラスを片手に持ちながら言った。

「ありがとうな。正直、軍隊の寮ってメチャクチャ規則にうるさそうだし、男の汗臭そうだし、嫌だったわ。」

 コータは喋りながらグラスのお茶を飲み干した。

「それに、また会ってくれるとも思わなかった。」

 コータはハヤトの目は見ずにハンバーグを切る自分の手に視線を合わせながらそう言った。

「え!なんで?!」

 ハヤトはカットしたチキンをフォークで口に入れようとしたが途中でやめてコータの顔を見ながら聞いた。

「たいていの人は俺がアンドロイドを倒す所を見た上で俺の機械義手の体を見ると俺のこともアンドロイドと勘違いしてどっか行っちゃうから。」

 そう言ったコータの姿がハヤトの目には少し寂しそうに映った。

 その言葉にハヤトは少し切り返しに困ったが、しばらくの間を置いて言葉が思いついた。

「そんなこと言ったら僕だって左腕見られるとよくアンドロイドに間違われて怖がられたり避けられたり暴力振るわられたりするよ。」

 ハヤトは苦笑しながらコータに切り返した。

 コータは少し自分の言った事に後悔した。

 だけど、自分と似たような境遇で、似たような気持ちになったことがある人間に初めて出会えたので、気まずい雰囲気を作ってしまった後悔と同時に仲間を見つけた喜びも感じていた。

「ところで、俺今高校の編入先を探しているんだ。」

 コータは気まずい雰囲気を変えるために話題を変えた。

「え、高校入るの?だったらウチ来なよ!」

 ハヤトは嬉しそうに言った。

「なんて高校??」

「ブライト ウィング ハイスクール。日本語で明るい翼の高校って意味だね!」

「待って。軍でもらった資料見てみるから。ブ、ブの行・・・・・あった。これか。」

 コータはハヤトの通う高校の資料を袋の中から見つけ出した。

「へぇ、この高校は色々な国の生徒が集まっている高校なんだ。」

「そうだね。だから学校には毎日翻訳補聴器持っていかなきゃいけないんだ。

 自分の壊れてからは学校共用の使わせてもらってたけど、共用のが使えない日とかもあってそういう日は普段仲の良い友達が何言っているのか全然わからなくて大変だったよ。」

「へえ、ハヤト友達いるんじゃん。初めて会った時友達いないとか言ってた割には。本気で友達いない俺の身にもなれよ。」

 コータは笑いながら冗談口調で言った。

「ははは、僕が友達と思っているだけで相手がそう思ってくれてるかわからないし。それに同じ日本人な上に機械の体っていう友達は1人もいないからさ。」

 ハヤトも笑いながら言った。

「この辺の学校は学校によって結構特徴の差が激しいんだ。ある学校は機械義体の生徒は絶対に入れないって募集要項に書いてあったり、日本人は絶対ダメって学校だったり。逆に日本人だけの学校もあったりするんだ。」

「どこも随分機械義体と日本人ってところにスポットライトが当たるんだな。」

「仕方ないよ。日本の本土が今じゃ日本人よりアンドロイドの数の方が多いって話だし。どこに学生の姿をしたアンドロイドが潜んでいるかわからないって、皆怖がっているんだよ。」

 ハヤトは悲しそうな顔で言った。

「ハヤトはなんでこの学校を選んだんだ?日本人だけの学校の方が過ごしやすそうなイメージがあるけど。」

 コータがハヤトに質問した。

「僕も初めはそうしようかって思ったんだけど、日本人だけの学校が機械義体の人間を受け付けてなかったんだ・・・。」

 ハヤトは先ほどより一層悲しそうな顔で言った。

「そうか。外国人より日本人の方が機械の体へのトラウマは大きいだろうからな。」

「でも、今の学校は楽しいよ。機械の体とか日本人とかあんまり気にしない人多いし。楽しいから来なよ!」

 ハヤトの顔に笑顔が戻った。

「そうだな。とりあえず、俺は今夜の寝床探さないとなあ。学校選びはそれからだな。」

「今日はうちに泊まりなよ!何もない家だけどさ。」

「いいのか?」

 コータは申し訳なさそうに聞いた。

「いいよ!そのために引き取り人になったようなもんだよ!」

 ハヤトが嬉しそうな口調で言った。

「ありがとう、助かるよ。」

 ーーーーーーーーーーーーーーシアトル軍基地 大将専用室

(そのような者のデータはデータベースに残っておりません!)

(だから私の専用研究チームが極秘に作り上げたヒューマロイドだと言っている!)

(既に世界各国で人間に偽装したアンドロイドがテロを起こしています。二週間前もニューヨークで人間に偽装したアンドロイドが市街地で自爆テロを起こした事件があったではありませんか?)

(彼は人間だ!ここに調査結果があるではないか!)

(なぜ日本人の少年を選ばれたのですか??これは国際連合の人権理事会に問題として取り上げられてもおかしくないレベルの犯罪行為ですよ!)

(だが彼は我々をアンドロイドの危機から救ってくれた。彼を軍に入れなければ、人種関係なく、人類は終わりだ。彼はそれほどの戦力になる!)

(我々は彼が我が軍の極秘に作られたヒューマロイドだという所を疑っているんです!わざわざ日本人の少年である必要がない。)

(日本人だからこそのアンドロイドへの対抗意識を買って、彼をヒューマロイドに選んだのだ!)

(大将、これが上に知られたら我々シアトル軍はただでは済みませんよ・・・。)

「・・・・・会議荒れおったな・・・。」

 ジョージ大将は自分の個室で一人軍事集会でのやりとりを思い出していた。

 その時、個室の扉を2回ノックする音が聞こえた。

「入りたまえ。」

「失礼します!」

 シアトル兵が扉を開けて入ってきた。

「ジョージ大将殿!一週間後、ここシアトルで開かれる世界首脳国会議に関する作戦書類が整いました!」

「そうか。ご苦労だった。」

 ジョージ大将に報告をしてシアトル兵は部屋から退出した。

(世界首脳国会議・・・ここで国際アンドロイド対策チームのメンバーが正式に決定する。彼にも作戦に参加してもらわねばな。)

------------夜 ハヤトのマンション

「狭い部屋だけどごめんね!」 

 ハヤトの部屋はとても綺麗に整理整頓された部屋だった。

「いや、良い部屋だと思うよ。」

 コータは自分じゃこうは綺麗に片付かないと思い、正直に良い部屋だと思った。

 部屋の壁にはロボットのポスターが何枚か貼られていた。

「お、このロボットのアニメ、知ってる。」

「えー、駆動戦士ゴンダル知ってる?!面白いよね!」

 コータとハヤトは一時間近くお互いの好きなロボットアニメの話で盛り上がっていた。

「それにしても、僕達が子供の頃アニメの世界だけだと思っていたロボットが今実際に存在していて、それを使って戦争しているって信じられないよね。」

「ああ。それに視聴者側なら楽しめる者でも、それに登場する人物に実際なったら、シャレにならないよな。」

 コータとハヤトはアニメの話から現実の話に帰って行った。

「ねえ、ロボットと人間が一緒に上手くやっていける日って、来るかな??」

 ハヤトは悲しげな顔でコータに聞いた。

「そんな難しい質問するなよ。来るよ。というか、俺がそうして見せる。」

 コータは本気な表情でそう言った。

「コータ君は本当に凄いね。アニメの中のロボットに乗る主人公に本当になっている。僕はロボットアニメを楽しく見ていたけど、アニメの登場人物達みたいに覚悟ができないや。」

「良いんだよ。そんな覚悟しなくて。俺だって覚悟とか使命感とかでアンドロイドと戦おうって訳じゃないんだ。ただ、俺がしたいと思ってるからしているだけなんだ。戦わないことは責任を感じるような事じゃない。」 

「そうかな・・?」

「俺はたまたま体と脳を機械にされて、たまたま戦える力があるから、戦うんだ。俺は俺のできる範囲でやりたい事をやっているだけなんだ。だからお前も、できる範囲でやりたい事をやれば良いんだと思うよ。逃げたって何もしなくたって、それがやりたい事でも自分の力じゃできない範囲の事なら、逃げたって誰かが責めるような事じゃない。もちろん褒められる事でもないけど、責められるべき事でもない・・・と俺は思うよ。」

 コータはハヤトを諭すように言った。

 きっと自分とハヤトの立場が逆だったら、自分も誰かに同じような質問をしていたと思うからだ。

「ありがとう。コータ君のおかげで少し気持ちが楽になったよ。」

「どういたしまして。」

 コータとハヤトはお互いの顔を見合わせて笑った。

 その時、コータの携帯から着信音が鳴った。

「お!軍からメールが来た。なになに?・・・明日から訓練か。早いな。後編入手続きも今日通ったらしい。明後日からだ!」

「おー、思ったより早かったね編入!」

「まあ、難民の編入枠で応募したってのと軍からの推薦もあったからってのがでかいと思うけど。」

 コータは3年ぶりに通うことになる学校というものがそこそこ楽しみだった。

「凄い、話してたらもうこんな時間になってる。僕も明日は学校だからそろそろ寝ようか。」

「そうだな。明後日は学校の案内よろしくな!」

「うん、任せて!じゃあおやすみ!」

「おやすみ!」

 ーーーーーーーーー翌日 シアトル軍東口

「本日シアトル軍23番隊に入隊しました機野コータです!よろしくお願いします!(面倒臭い・・・。)」

 朝礼台に立ち、灰色の軍服を身に纏った100人近くの兵達の前でコータは自己紹介した。

「あれが噂の全身機械義体のヒューマロイドか。」「レベル3のアンドロイドを二体も破壊したらしいぜ・・・。」「あんな若い奴がヒューマロイド手術に志願するモンか?実は軍が秘密裏に作ったアンドロイドだったりしてな!」

 既に23番隊でも四日前のコータとアンドロイド達との戦闘は広まっているらしくひそひそ声がそこらじゅうから聞こえてきた。

「声が小さいぞ!!!」

 23番隊隊長が声を荒げてコータに言った。

「はい!本日シアトル軍23番隊に入隊しました機野コータです!よろしくお願いします!(うぜえ・・・・。)」

「お前は大将直々の推薦で我が軍に入隊したと聞いたが、大将の推薦だからといって私は甘やかしたりしないぞ!他の兵と同じように徹底的にしごいてやるから覚悟しておけ!!」

「はい!よろしくお願いします!!(昨日ハヤトに覚悟なんて要らないって言ったばかりなんだけどな。隊変えてもらいたい・・・。)」

 コータは隊長の雰囲気に内心着いていけなかった。

「さて、早速だが他の兵と同じ練習メニューを受けてもらう!新人だからこそ、我が軍の厳しさを知ってもらう!」

 そう言って隊長は右に見える、匍匐前進をしている隊員達を指差した。

「事は身体で覚えるのが早い・・・彼らに混ざってもらう!」

 コータは隊長に指示された通り、他の兵達の匍匐前進に混ざった。

「違う!前進が速過ぎる!隊列を乱すな!!」

(うぜえ・・・。)

 コータはやはり隊の雰囲気に着いていけなかった。


 そして一日の訓練が1通り終わった。

(正直、肉体的には機械義体のおかげで楽勝だけどあのうざい隊長のせいでどっちかってと精神的に疲れるな・・・。)

 コータは23番隊の更衣室で思った。

 コータが上着を脱いでいると突然アナウンスが鳴った。

「23番隊二等兵、機野コータ隊員!大将殿がお呼びです!至急大将室まで来てください!」

(何だか学校の先生の呼び出しに似ているな。)

 コータは着替えを急ぎながら思った。

 ーーーーーーーーーーーーー大将専用室

「コータ君、初日のお勤め、御苦労様。辛かったかね?」

「ああ、はい。(精神的に)」

「今日の給料は今日中に渡しておいた方が良いかな?ここに来てまだ間もないから金に苦労しているんじゃないか?」

「いえ、大丈夫です。ボストンから来る時にある程度蓄えを持って来ましたから。」

 コータは二等兵がこうして大将とラフな会話をしていることに少し違和感を感じていた。

「さて、君をここに呼んだのはお金の話もあったが本題はそちらではない。後6日後に迫った世界首脳国会議、通称サミットの件についてだ。」

「私もその件に関しての事だと思いました。」

 コータは今日から自分が軍人になった事を意識して一人称を僕から私に変えた。

「というと、君はもしかしてこのサミットがここシアトルで行われることを見越してここにやってきたのかな?」

 ジョージ大将はまた勘繰るように言った。

「はい。」

「・・・君の言っていた軍の知り合いというのは随分お喋りな人物だな。本来機密情報の口外は処罰対象だが、私の孫の命を君が救ってくれた事に免じて今は深堀りする事は止めておいてあげよう。しかしこれ以上秘密を増やさないでくれよ。」

「わかりました。」

 コータは一瞬シュラの事が頭によぎったがすぐ頭を切り替えた。

「なら話が早い。ここで国際アンドロイド対策連合チームの公式編成が話し合わられる。しかしこの時に再びアンドロイドがこの場を襲撃しないとも限らない。なので、君にもこのサミットの護衛に着いてもらいたい。」

「はい。ところでお聞きしたいのですがその国際アンドロイド対策連合チームというのはどういった基準でメンバーが選ばれるのですか?」

 コータはシアトル兵になってから一番聞きたかった事をジョージ大将に聞いた。

「基準は階級と兵士の戦闘能力が基準となる。いや、どちらかというと階級より戦闘能力が基準になっているな。今では世界の各国が階級と兵士の戦闘能力基準を別に設けている。そして各国の選りすぐりの戦闘力を持つ者がこのメンバーに抜擢される。我がシアトル軍でも、このメンバーに選ばれる人材枠が5つ用意されている。我が軍ではS級ランクの兵士から選ばれる事になっている。極論を言えば、階級が二等兵でも兵士ランクがS級であれば、抜擢される可能性があるという訳だ。」

「そのS級ランクに上がるにはどうすれば良いのでしょうか?」

「ここの窓からランク場と書いてある看板が見えるだろう?あのランク場に選手として登録して、勝ち上がればランクを上げる事ができる。まあ実はあそこは武器使用ありのルールだからS級に君臨しているのはほとんどヒューマロイドか、AIR操縦に優れたパイロットか、オートマ・ウェポンを武器にしている者だけだけどね。ちなみにS級にランクされている者は現在15名だ。つまりそのS級の上位3分の1に食い込まなければ、連合チームに選ばれないという訳だ。」

 ジョージ大将はどことなく嬉しそうな口調でコータに言った。

「この残りわずか6日間でどこまで行けるか試してみると良い。戦闘面で私は君に一番期待しているよ。」

「ありがとうございます。」

 コータはジョージ大将に深々とお辞儀をして、大将室から出た。

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