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そんな時代の地球で、ある珍事が起こりました。
その舞台となったのは、ある一軒のお家です。三角屋根のその小さなお家には、一人の人間型ロボットが暮らしていました。
その家には昔、人間が住んでいたといいます。家の中には、人間が使っていたとみられる家具や生活雑貨が多く残されていました。
しかし現在、その家に住んでいたロボットは、それらをあまり使うことはありませんでした。ロボットにとってそれらは、生活に必要ないものばかりだったのです。
それでも、そんなロボットにも頻繁に利用していたものがあります。それは、『キッチン』と『ダイニングテーブル』でした。
なぜこの人間型ロボットが、キッチンとダイニングテーブルを利用していたのかについては、家の中を観察していればすぐにわかりました。
そのロボットは毎朝、目が覚めると当たり前のように朝食をつくりはじめます。そして午後になると、昼食も食べます。夕日が沈み夜がはじまる頃にはまた、料理をつくりはじめ、完成したものを自分の口の中へと運んでいました。
つまり、このロボットは、毎日欠かさず食事をとっていたのです。その行動はまるで人間のようでした。自宅のキッチンで料理をつくり、それが完成するとリビングにあるダイニングテーブルへと運びます。そして、そのテーブルの上に置かれたお皿が空になるまで、ロボットはひたすら食べ物を自らの身体の中にとり入れていたのです。