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これは、地球に住む人間たちが絶滅した後のお話です。
人間たちがいなくなった広大な大地の地球には、様々な種類のロボットたちが生息していました。例えば、遠くの空まで移動できる飛行型ロボット、地面に開いた小さな穴の奥まで潜り込める小型ロボット、そして、この世界から消えた人々にそっくりな形の人間型ロボットが存在していました。
地球に生息する全てのロボットは、それぞれ形が違いますが、あることには共通点がありました。それは、『感情』というものが備わっていなかったことです。
ロボットたちは、自らの身体の中に仕込まれた機械によって生命活動を持続させています。人間と同じ『脳』や『心臓』は持っていません。
そのため彼らロボットは、人間のように表情を緩ませて笑うこともなければ、誰かに対して怒りを爆発させることもなく、そして何かに感動して涙を流すことさえも、知らずに生きていたのです。