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最終話

‡最終話‡




「だいじょうぶか?!」




手際よく縄をほどくアッタカに、先程までの余裕の態度を一変させ、アッキナが思いっきり抱きついた。




「アッタカぁー! 来てくれるって信じてたわ!! 怖かったよぉお……!」




「ねねねねねぇひゃま?!?!」




なぜか顔を赤らめるアッタカと、見事な演技を披露するアッキナを見て、チダユゥはため息をついた。




(よくやるぜ……)




青派連中が寝ている間にアッキナから聞いたことだが、この『アッタカ改造計画』に青派を絡ませようとしたのはアッキナ自身だった。




この計画自体は大分前から練り上げていたようで、演技か本気か気付かないほどよくできている。




(それにしたって……)




自分はともかく、あのチビーズたちは随分怖い思いをしただろう。アッキナだって、肝心の弟だって、下手すれば大怪我を負っていたかもしれない。




「とんだブラコン悪魔だぜ……」




チダユゥが呟いた時、背後から叫び声が聞こえた。




「アッタカ! ふいうちなんてヒキョーだぞ! せいせーどうどーと勝負しろ病弱!!」




それは、珍しく演技がかっていない、子供らしいクホの声。




「……おい」




しかし、それを聞いて、アッキナの腕からやっと解放されたアッタカが声を震わせた。




「どぅああああれがびょーじゃくじゃあああああ!!!」




「アッタカ?!」




アッタカはクホに駆け寄ると、両のこめかみにげんこつを当て、ぐりぐりしだした!




「びゃあああああっ!!!」




「ぎゃはははは!! ざまーみやがれ青ヤロー!!!」




「……おい」




「なぁに?」




「お前の弟……強くなったな」




「ええ」




泣きじゃくるクホと意地の悪い笑顔を浮かべるアッタカ、そしてそれを笑顔で眺めるアッキナに順に視線を移し、チダユゥはもう一度、大きなため息をついた。









「覚えてろよ!」と定番の捨て台詞を残し青派の子供たちが走り去っていくのを仁王立ちで眺めていたアッタカが、いきなりがっくりと倒れた。




「あ、アッタカ?!」




近くにいたニシニが駆け寄れば、




「すー……」






「あら、寝ちゃったわね」






月明かりに照らされた弟の、少しだけ男らしくなった寝顔を見つめ、アッキナが満足そうに呟く。






「俺がせおってくぞー」




ニシニが、アッタカを抱えあげ、その背に背負う。






「あー疲れた……じゃ、かえるぞ」




チダユゥがそい言って歩き出そうとした瞬間。






「君たち、ご苦労さまでした」




「どわあああっ!!」




何もない闇から、いきなり赤チェックずくめの女があらわれた。




「マママママヤンサマ?!」




焦るチダユゥを完璧に無視さて、シャマイ1腹黒い女宰相は、アッキナ達に歩みよった。




「ま、マヤン様……」




いつも余裕のアッキナとさすがのニシニも、珍しく冷や汗をかいているようだ。




「ふむ、私の提唱した作戦が功を奏してなにより」




「へ?」




チダユゥが聞いたかぎりじゃ、アッキナがこの作戦を考えたはずだが……






「ま、ま、マヤン様のアドバイスのおかげです!」




「そうでしょうとも!」




アッキナの言葉に、マヤンが瞳を輝かせる。






「忘れないでください、アッタカくんは、『私の考えた作戦』で強くなれたんですからね」




「「「はい……」」」






チダユゥも、アッキナも、ニシニも、ただただ頷くしかなかった。






(俺が甘かった……シャマイ1の悪魔は、この女だ……)






チダユゥが仰いだ空には、満月が穏やかに輝いていた。













その頃のアッツキ。




「兄しゃまー! 姉しゃまー!! おしっこーーー!!!!」






[終]

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