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異端の魔術師(マジシャン)~神器の継承者~  作者: arandora
気がつけば外国でメイドハーレム
4/6

翌朝のメイド紹介(側近2人目)

 鉄平の目が醒めると、そこは見知らぬ部屋の一室だった。

 というか、天蓋付きのベッドに寝ており、しかもキングサイズベッドだった。

 ベッドの周りには見たこともない様な高級そうな調度品が並べられ、鉄平程度のお小遣いでは弁償はできないと思わせるには十分な部屋の内装だった。

 そして極めつけは隣に眠る美少女。

 その美少女は、鉄平が気を失う前に知り合った、確かニーナと言った鉄平がこれまでに会った中でも最高に綺麗だと思えるくらいの美少女……の下着姿。


「え……?下着?これは、まだ夢を見てんのか?確かに夕べは風呂場で似たような子のバスタオル姿を見たら急に意識が飛んだけど……、痛!ってことは夢じゃないのか?……そうとなればやることは一つ。……失礼しまーす……」


 どうやら鉄平は夕べというのは辛うじて覚えているが、誰のバスタオル姿を見たかは覚えていないようだった。

 そして、今まさに目の前で静かに寝息を立てている美少女の下着姿に、健全な思春期真っ盛りの男子が、欲情しない訳もなく、思わずと言った感じでその慎ましい下着の中から溢れる双丘に手を伸ばすと……。


「触っても良いけど、脱がすのはアウトね?私も年頃の女の子だから、年頃の男の子のそう言う感情に付いて理解は有るつもりだけど、理解をするのと許可をするのは別だから」


「え!?起きてたの!?っていうか、触っていいのか!?」


 目を閉じたままでそう言ってくる美少女……ニーナ……の意見に驚きながらも、鉄平はその理由を尋ねる。

 起きていた事にも驚いたが、その意見にも驚いたのも事実。

 しかし、尋ねた結果……。


「別に減るもんじゃないしね?けど裸は別。男性に裸を見られたら、次はもっと凄いことをされる可能性が高いって先輩に聞いたことがあるから。その危険を避ける為には、触るだけで我慢してね?」


 と言った返答に一瞬固まる鉄平。


「へ~。それはなんというか、親切な先輩ですこと……」


 主に男にとってという意見は内に仕舞い込む。

 余計な意見は身の破滅である。

 というのも、触ってしまえば同じだと鉄平は内心で思うからだ。

 しかし、本人が良いというのでお言葉に甘えて……と思っていたら、不意にコンコンという音がした。


「残念、朝のお世話をするメイドが起きてきたみたいだから、この続きは後日ってことで」


 音の発生原因を知っている様子の彼女に釣られて、見た先にはまだ誰もいない。

 しかし、彼女が「起きてるから入って?乙葉ちゃんでしょ?」というと……。


「失礼します」


 そう言って、ガチャっという音と共に、扉の向こうから鉄平の知っている顔が姿を現した。


「乙葉ちゃんって……もしかしなくても、ウチのクラスの村雨乙葉ちゃん!?」


 そう、出てきた人物は、先日(夏休み前のHRホームルームで別れたばかりのクラス委員長にして学園のアイドル、村雨乙葉だった。

 黒く癖の無い長い髪を背中の方まで伸ばした後ろ髪は艶やかで、大和撫子を思わせる、日本人の可愛らしさを浮き立たせる顔も相まって、ニーナとは違った種類の美少女だった。

 瞳は何故か真紅に染まっており、何処かの外国の血でも混ざっているのかと勝手にクラスで想像を羽ばたかせていたのだが、その神秘さが返って美しさを際立たせていると鉄平の友人が話していた。

 そして驚いたことに、先ほどメイドと聞いた筈なのに、乙葉ちゃんは私服のワンピースだったのだ。

 そういえば、昨日爺ちゃんに会った時もメイドとはいうものの、日本のメイドの衣装は全然見かけなく、執事は黒い執事服だったがメイドらしき人は全て私服だった。

 そして鉄平がしばし思案にくれる中、そんな事は考えてもいない乙葉は自分の説明をする。


「おはよう、兵藤くん。驚いた?私は実は兵藤くんの親類に当たる血筋でね?毎年夏休みのこの時期にこちらで魔法の勉強がてらメイドの仕事っていうか、お手伝いをしてるの」


 そう言って、クルッとその場で回って普段見せない私服を見せてから「似合う?」っとはにかみながら聞いてきた。

 その事に対し、鉄平はどう反応していいやらで、苦笑しながらも応える。


「似合うのは似合うけど。、……っていうか、色々と聞きたいことはあるけど、俺の親戚に魔法を使える人は居ないはずなんだけど?」


 その返答に「ありがと」と言って礼を言うと、次の鉄平の素朴な疑問に、微笑みながら乙葉は応える。


「兵藤くんの知ってる人っていっても、お爺さま絡みの親類でしょ?私の親類は鉄平君が死んだと聞かされているお婆さま絡みの親類なの。それも遠い遠い親戚。そして、親類といっても私にはこの一族に無くては為らないある才能が無かったからここでメイドとして働いてるの。勿論、お小遣い程度というには多すぎる程の賃金は貰えるし、就職先に困る事は無いから、日本で就職できなくてもこちらで生活する分には安心なんだけどね?」


「ある才能って?」


「それは後継者を見極める儀式でハッキリするわ。まあ、それでその才能がもし無くても、泰三様や美琴様の親類である以上放り出される事はないし、泰三様絡みの親類である以上身体能力的には平均よりも高いはずだから、予定通りの命令が下される筈よ」


 鉄平と乙葉の会話に、いつの間にか私服(昨日のドレスの色違い)を着て居たニーナが割り込んだ。

 そして、ニーナは乙葉もベッド(鉄平が未だ下着状態で腰掛けている)に招き、ここでの鉄平の地位を説明する。


「一応言っとくと、ココは美琴様のお屋敷ではあるけど、代々ある神器を受け継ぐ家系でもあるの。そして、何故だか知らないけどその神器は男性を中心に受け継がれる。代々とか男性を中心にってことで、中には女性が受け継いだ代もあるらしいけど、一人か二人らしいわ」


「神器?」


「ええ、いくつか種類があるらしいけど、詳細は代々の主とその妻又は夫にしか語られないらしいわ。もっとも?今までにも結構ハーレムみたいな物を築いた方はいるらしく、様々な神器が色んな場所に移動して、今本家であるこの皇家にあるのは三種類の神器だけらしいんだけどね?」


「ふ~ん?」


「そして、ココ数世代はその神器の一種類は男性にしか受け継がれていない。後の二種は数世代に渡って後継者が皆無。ってことで、ココ数世代のこのお屋敷は男性上位の場所らしいの。勿論、主である美琴様は別枠になるわよ?しかし働く執事の中では、女性執事より男性執事の方が権力が上。……まあ、今いる人達の権力が強い理由は納得できるんだけど。んで、序に言うと美琴様の祖父……乙葉ちゃんの親類にも当たる人なんだけど、その人も継承者だったらしいけど、やはりハーレムを築いて海外で豪遊してるらしいわ。」


 苦笑しながらではあるが、そう締めくくったニーナは鉄平の世話焼く乙葉と、自分の能力に付いて少しだが教えてくれるようだ。


「そして、能力については私の場合は普通に皆が使える物以外にも固有に召喚魔法があるわ。皆が使える魔法は鉄平様はどれくらいの魔法に関する知識があるか知らないんだけど、イギリスでの常識としては、一般現代魔法は主に四大元素魔法をこんな魔装具と呼ばれる機械にインストールしていくつかの使いやすい魔法を簡単に引き出すことができるの」


 そう言って、自分の腕に填めてある3つのブレスレットのような機械の内の一つを示して見せる。

 それには幾つか色が付いており、赤、青、茶、緑で色分けされていた。


「この色を見て分かるだろうけど、四大元素は火、水、風、地の4つの元素を使う物。簡単に言えば、体に触れている状態で自分が使いたい元素を浮かべながら魔力……言い方を変えれば霊子とも言えるんだけど、それをブレスレットに注入することで、簡易的な魔法が発動できるの」


「じゃ、じゃあ、俺もそれを使えば?」


「ええ、慣れも関わってくるけど、殆どの人間に霊子は存在するから、使えるとは思うわ?っていうか、魔法大国日本にいて、そんな事も知らない事がおかしいんだけどね?……そこんとこどうなの?乙葉ちゃん?」


 ニーナの話の振りに、乙葉は一瞬戸惑うも、次の瞬間にはニッコリと天使の笑顔で微笑んで鉄平に説明する。


「私の知る限りだと、今の日本では基本的に十二の魔法大家が台頭していて魔法関係の知識を魔術組織や一般魔法師、下部の魔法師一族に電子書物等にで譲渡していっている状態です。結果的に一般人と魔法師の知識さは広がる一方で、格差も広がる一方なんです」


 一応の知識をニーナに説明したあと、鉄平の方に向き。


「情報としては、魔法に関する物だけで、一般人が知っていた方が後の発展に繋がりそうな知識や技術でもどうせ使えないと言う事で公開されていない物も多数あるそうだよ?そして、今ニーナさんが見せた魔装具は最近一般魔法師に迄情報が卸された天才少年魔法機械技師の傑作と言われている技術の一つだね。確かニーナさんや私や兵藤くんと同じ年齢で、既に国立魔法研究員Sランクの免許を取得したって今年の魔法関係のウィキに載ってたよ」


「ふ~ん?名前は知ってるの?その天才の」


「家名だけはなんとか。確か安倍家の傍流だったかと……。ああ、一応言っとくけど、某有名陰陽師の方とは一切縁の無い方だと伺ってるよ?」


「……さいですか」


 自分のしる有名な日本最古の魔法師一族の名が出たと思えば、全然縁の無い家の人だったらしい。

 その事に多少ながらショックを受けていると、気を取り直させるように乙葉が自分の魔法を説明してきた。

 序に語られていなかったニーナの固有魔法も……


「そして、私も一般現代魔法は一通り出来るし、固有の魔法に声帯魔法と言って、ある一定の魔力を魔声に変換し、相手にぶつければ、その内容に応じた命令を、乗せた魔力量に応じた強さの拘束力で使用することが可能な物があるね。……まあ、その魔力量が半端じゃないくらいの量だから、拘束力の高い命令はまだ無理なんですけどね?……因みにニーナさんの召喚魔法。これは結構固有の魔法と言ってもメジャーな物でこのお屋敷でも結構な数の使用者が居るけど、逆にニーナさんほど上手く扱える方は、お婆様の親衛隊のようなロイヤルナイツの方くらいしか居ないよ?」


「まあ、あの人たちの中にはソロモンの神々の何柱かと契約を交わしてる方や、泰三様と同じ様に魔法とは別枠の仙術を学んでいる方も居て、対抗する気もないんだけどね?」


 乙葉の言葉にニーナが自分の想いを付け足した。

 どうやらロイヤルナイツという護衛隊の実力は他とは隔絶した域にあるようだ。


「じゃあ、乙葉ちゃんができる命令で、一番強力なのってどんな奴?」


「う~ん、そうね~?例えば、それが無機物の場合で言えばそこにある布団にしましょうか?それに向かって『舞い上がれ、そしてその場で我が瞳の映像を映し出せ』と言えば……ほらね?」


 そう言って示した先には、乙葉が見ている今の映像……つまり、鉄平とニーナを含めたこの部屋の光景が舞い上がった布団に映像として流れていた。


「……と言った具合に、無機物にならコノくらいは出来るんだけど、これでも結構な魔力を消費するの。勿論、有機物である人には更に必要量が桁違いで、それほど便利な魔法でもないんですよ」


 そういった乙葉を見れば、額に薄らと汗が滲み、その消費量を物語っている。

 それを確認した上で鉄平は人体に対しての拘束力に関して質問する。


「……因みに、人に命令するとしたらどれくらいが限界?」


 そう言うと鉄平はチラッとニーナを見て言ったのだが、乙葉は首を横に振り……


「いや、私の魔力量ではニーナさんに対しての拘束力は皆無に等しいものだよ。相手が先ほどのように、魔力の伴っていない無機物なら、対象の魔力抵抗値が0な為に結構な幅の命令が下せるけど、相手が魔力に抵抗のある有機物となると、その抵抗値が掛け算した値で対抗してくるから、一般人なら別だけど、優秀な魔法師の方相手では効果は先ず無いと言っても過言ではないよ」


「……因みに鉄平様?怒らないから、私にどういう命令をさせたかったか言ってみてくれる?場合によれば私が進んでその通りにしてあげるわよ?」


「ホント!!?」


「ええ(ニッコリ)」


 ニーナの言葉に、思わず舞い上がってしまった鉄平は言ってはダメだと分かっているのに余計な一言と口走る。


「じゃ、じゃあ、この場ではだ「出来るかーーーい!!」へぶし!!」


 そして、余計な一言を言った鉄平は、万が一の希望も虚しくベッドに頭から突っ伏した……。


「はあ…はあ……、ほんっと懲りないエロ当主候補だこと。……乙葉ちゃんも、あまり調子に乗せたらどんな要求をされるか分かんないわよ?」


 鉄平を殴った状態の拳をそのままに、ニーナは微笑み続けている乙葉に向かって忠告する。


「ふふふ……面白い人なのは学校の時と変わっていないから、その点は安心してますよ?普通、自分を取り巻く環境が変われば、態度も変わってしまう人が結構いますからね?私は今のような、学校にいる時と変わらない、少しエッチで普段から楽しい兵藤くんが好きですよ?」


「え!?それホント!?乙葉ちゃん?」


「ええ、流石にこの場で裸に成って証明しろとかは恥ずかしくて出来ないけど、お風呂場で他の子達と同じような条件なら、恥ずかしさも薄れるし、私で良ければお供するよ……勿論、バスタオルとかは巻くかもだけど?」


「その時は是非!」


 と言う風に、同じ日本人同士の為か、はたまた同じ学び舎に通う薄いながらも血の繋がった親類同士だからかは定かではないが、再会したと同時に仲良くなってしまった二人を見て、ニーナは取り残された感が過ぎる。

 だが、今の状態で先ほどのお願いを受け入れても単に媚を売っていると思われて癪なので、その事はおくびにも出さず、今後の予定を乙葉に確認しようと言葉にした。


「所で、乙葉ちゃん?」


「はい?」


「乙葉ちゃんがここに来たってことは、説明は受けてるってことで良いの?それとも諸々の説明は朝食後にって事?」


 ニーナの話に、例の事だと感づいた乙葉は、チラッと鉄平を見てから頷き


「私は起きてから一番にナターシャさんから説明を受けて、兵藤くんとニーナさんとクロエさんと共に大広間にて泰三様とおばあ様の説明を受けるように言われました。そして、その後4人で演習場にて儀式を行うらしいです」


「そう……分かったわ。って事で鉄平様?言った通り此処では男性が強い権力でいる代わりにその男性自体は少数だから、その格好で出歩いても文句は言われないから、気にしないで行きましょうか?」


「……何故か物凄くムカつく言われ方をされたが、そんなに今の格好は気にしないといけない格好なのか?乙葉ちゃん。家では珍しい格好ではないと思うけど?」


「ふふふ……。確かに、日本の一般家庭では当たり前かもしれないけど、ここは外国だよ?家の中でさえ土足が当たり前の環境で、日本と同じ感覚で居たら、返って変に思われちゃう。日本でも諺であるでしょ?郷に入っては郷に従えって。あれと同じだよ?兵藤くんもここでは私と同じくらいしか滞在しないんだろうけど、ここにいる時くらいはお爺さまやおばあ様の慣習に習っておいても罰は当たらないと思うけど?」


 微笑みながら、人懐っこい感じの喋り方で諭す乙葉は、中学で委員長をしている時と変わらない様子で鉄平に語りかけてくる。

 その表情は何処までも穏やかだ。

 しかし、この彼女も魔法師としての一面を持っているのだと今さっき驚かされたのだから、世の中分からない。

 なんといっても、学校では一番遅くまで残って他の人の仕事を引き受けていたり、学校の間は生徒会長として学校のアイドルとなり皆を纏め、朝は早くから来て校庭の花壇なんかを眺めていたりと言った物凄く真面目な印象が強い子なのだ。

 しかし、いざ魔法師だと知ると、それが何らかの役目を担っていると考えに至るのだから人間分からないものだ。


「……じゃあ、このままで良いと言うんだから、このままで行きますか?どうせ持ってきた着替えなんかはひったくられて持ってないし?」


 そんなこんなで昨日遭遇した事件を伝えれば、二人共驚いた。


「「ひったくり??!」」


「お、おう。色々と説明は面倒だから、其の辺は後で祖父ちゃんを交えて説明するよ」


「わかったわ。じゃあ、行きましょうか?」


「はい」


「ああ」


 そう言って3人で鉄平の祖父が待つ大広間へと移動を開始した。



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