数年ぶりの再会
「「ようこそ皇邸へ!お待ち申し上げておりました、次期当主様!」」
「おおーー!!会いたかったぞ!鉄平~~~!!」
扉を潜った先は日本では有り得ないくらいの、お城のような豪邸の前に赤い絨毯……所謂レッドカーペット……の敷き詰めた上での鉄平の祖父、兵藤泰三の出迎えプラス筋肉の壁で覆われた暑苦しいばかりの抱擁だった。
その前のメイド達の綺麗な声は、祖父の抱擁に押し流され、鉄平の記憶から飛び出してしまった。
そしてこの目の前の老人……兵藤泰三……、髭は生やし、頭はスキンヘッドの2メートル近い筋肉質のご老人。
というか、どう見ても30代と言った方が通じる筋肉量でありとても100歳間際(98歳)の老人には思えない。
更に、戦闘能力に関しては驚くなかれ、下手な筋肉を変質させる能力者(魔術師)よりも余程変体なのらしい。
たとえ突かれても、金属の方が曲がる弾力を帯びた筋肉に、それを生かす全体のバネは、一線級の魔術師や魔法師が十人がかりでもビクともしないくらいの体を持っている。
その体のお陰で日本をある理由で飛び出し渡英して武者修行の旅に出ても無事であり。
息子夫婦が日本へ移住した際に本人は妻(皇美琴)と残っても問題が無かったのである。
その後も美琴の仕事の都合上、名前を同じにしては何かと家族に迷惑が掛かるので、美琴と結婚して子供がいるのだが、その事は公にせずに独り者として泰三が護衛兼風来坊のような関係が続いている。
そしてその泰三の屋敷の実力者相手に暇潰しの訓練で更に鍛え上げられた肉体は、もう一般人とは思えない様相を呈している。
しかし、その脅威的な信頼できる肉体も肉親への抱擁に成ると、いかんともしがたい反応に成らざるを得ない。
「……う~、鉄平~……。もうこの数年、お前の顔を見るのが端末越しでしかないからお前の温もり不足じゃったわい」
鉄平を抱きしめながらそうやって久しぶりの孫の体温を楽しむ泰三。
そしてその途中で自分を苦笑しながら見つめている己の妻……皇美琴……に目だけを向けて
「美琴さんには悪いが、妻がいてもやはり抱擁は可愛い孫とするのが爺の楽しみなのじゃ。美琴さんとは後で夫婦の形で楽しむから許してくれ?」
と言いながら、ムギューっと孫の骨が軋んでいる音や、「じいちゃ‥…死ぬ………」と、息も絶え絶えに訴えている事にも気付かず、念願だった孫との抱擁を無心になって楽しむ泰三。
その様子は他の出迎えに参加した数百人メイド&執事(外国という広大な土地に見合った広大な敷地にある為、どれだけ人数がいるのかわからない)も苦笑を持って眺めているしかない光景だった。
そして、謝られた泰三の妻であり、イギリスに於いてのみではあるが、王室魔術組織最高評議会議長や、下手な宗教団体の教祖よりも重要人物である皇美琴も、皆と同様に苦笑しながらだが、応える。
「ええ、それは構いませんよ?私も理由があるとは言え、今まで黙っていた罪があります。今暫くは夫と孫の抱擁シーンで我慢しますわ?まあ、実際に会えて少しは満足しましたし」
そう言いながら泰三の行為に微笑みながら……若干呆れながら……まるで我が事の様に嬉しそうに見ている美琴。
この皇美琴も白髪に成る様な歳(実年齢78歳)なのだが、その体には艶があり衰えることのない胸の起伏でどう見ても30代、否、自毛だと言われれば20代と言われても違和感がない。
それから鉄平の無事に心底安堵した美琴は、どうやら遭遇先で魔者と出会い戦闘になったと聞いているので、鉄平を見つけ護る事に成功した二人と搜索に協力した者達の実績を湛えた。
「……ニーナ、リルカ。貴女たちもよくぞ無事に護り通しましたね?上出来です。他の子達もよく頑張りました。結果は二人のお陰ですが、皆の頑張りがなければ結果は違っていたでしょう。皆には特別ボーナスと、二人には後日特別に報酬を上げるから、何か欲しい物を考えておきなさいな?」
「「は!ありがとうございます!」」
美琴がメイド達に報酬を確約している間、一頻り孫の温もりを確認した泰三は、一旦力を緩め、到着の遅れた原因を聞く。
「ふ~、満足じゃ。それはそうと鉄平?」
「……」
が、問いかけに反応無し。
結論。
哀れ鉄平。
喜びすぎた祖父に絞め殺されてしまった。
その口からはエクトプラズマが出ていたという……
~~~~~~~~~~~ 完 ~~~~~~~~~~~~
「ノーーー!!鉄平ーーー!死ぬな!美琴さん、鉄平を助けてくれ!!」
あまりの(自分のした事なので誰も責めることができない、というか逆に責められそうな)結末に、気が動転して妻に助けを乞う異常者代表である、被害者の祖父泰三。
「……その前に、鉄平さんを離してはどうですか?折角生き延びてくれた鉄平さんを、貴方が殺してしまいますよ?」
しかし、流石に理由が理由だけにピクピクと眉をヒクつかせながら呆れた表情で泰三を見る美琴。
その眉間には暗がりでも分かる程多量にシワが寄っていた。
まあ、自分が(可愛い孫、しかも事情があって会ったこともない孫を)その手に抱く前に絞め落とされたのだから、当然と言えば当然だが。
「お!こりゃ盲点じゃった!」
言われた泰三は両手をそのままの状態で離す。
結果……
「ぶへ!」
落ちた衝撃で目を覚ました鉄平はあたりを見回し……
「つつつ……あ、あれ?綺麗なお姉さんは何処いった?」
「なに?私がどうしたの?」
何故か綺麗なお姉さんの言葉に、横に居たニーナが鉄平の言葉に反応するが……
「いや、お前の貧乳じゃなくて、ルナくらいの巨乳でこっちよ~って「貧乳で悪かったわね!!」……へぶ!」
起き上がったばかりの状態の鉄平は、余計な一言を言ったばかりに、受けなくても良い更なる追い討ちを受け、再び地面に突っ伏する。
「あ、ごめん」
「……」
咄嗟に出た己の拳を見つめながら謝るニーナ。
しかし返事がない。
その事に、周囲にいるメイド達もソワソワし始める。
「ちょ……、今ので止め?」
「いや、流石に泰三様のお孫さんがアレくらいの一撃でってのは無いでしょ?」
「いや、けど泰三様に絞め落とされた後だよ?」
「「「「……」」」」その場にいる大勢のメイド達。
その囁きのような会話を聞いていたニーナは、己のしでかした行為を脳内で再生……多分に被害者の自業自得が多く入っている物の、最後の一撃が余分だったのは動かしようのない事実。
なので、呆然とした状態から一転、被害者の目を覚まさせようと思って肩を掴み……
「……え?…ちょ、ちょっと鉄平様?」
思いの外激しく揺さぶってみるが……
「……」
変わらず返事なし……。
「……あの~……」
ギギギ……と油の無くなったゼンマイの様に重々しく頭を動かして己の主にして自分が止めを刺した鉄平の祖母に振り返る。
尋ねられた主は、その懇願にも似た「どうしましょう?」という表情を受け、見た限りの診断を説明する。
「……恐らく長旅の疲れと戦闘の緊張が解けたことによる気に緩みで気を失っているだけでしょう。だから、そんな顔は止めなさい」
泰三の後の自分の使用人による追い討ちに、更に固まってしまった眉間のシワを解しながら、鉄平と変わらない、自身の孫の様な年齢のメイドを呆れた眼差しで見つめる美琴。
その表情は「しょうがない子」と言った感じの可愛いが、どうしよもない子供を見る表情だ。
「ミューレ?大事は無いと思いますが、一応見て上げなさい。そうしなければニーナが納得しないでしょう。……私も流石に心配ですし……私がまだ抱いていないのに……気を失われて、この想いを何処にぶつけたら良いのかしら?」
そして、最後は愚痴に成りながらも、医療魔法に精通した女医の資格を持つ側近メイドを呼ぶ。
「はーい」
すっと音もなく美琴の傍に現れた白衣のメイドは、子供の様な返事の後、ニーナの横へ腰を下ろすと……
「心配しないのニナちゃん。私が見た限りでも主の言った通り、単なる疲労による気の喪失と泰三様の抱擁による全身の脱力だけだから、簡単な医療魔法で霊子を大気から摂取しやすくして上げれば時期に目を覚ますわよ」
ニーナに優しくそう言いながら、彼女が抱きかかえている鉄平の頭に手を翳す。
そして、一瞬の魔法陣の発光後それまで苦しそうだった鉄平の顔に生気が戻る。
恐らくミューレの言うとおり、体力の低下で霊子が体内から失われていた所為で気を失う条件が合わさったのだろう。
「……これでよし。後は、これをやったニナちゃんがその後のお世話もするのが妥当だと考えますが?今の状態では積もる話も無理でしょう?」
「え!?私ですか?」
突然の同い年(恐らく)のお世話というしたことが無い仕事の要請に戸惑うニーナ。
しかし、言った本人は……。
「当然ですよね?美琴様?」
問われた主(美琴)は頷き
「……そうですね。原因は鉄平さんにあるとは言え、手を出した事は事実。貴女には何時も言っているでしょう?手より言葉を先に出しなさいと。貴女の行動力は認めますが、言い合いになって苦労するのは貴女なのですよ?」
「……はい」
さも当然とばかりに目の前の項垂れるメイドの日頃の行動を持ち出して非難する美琴。
言われたニーナも、本当の事故に反発ができない。
「ってことで、これは自業自得の事だと思いなさい?本当は、同じ日本に住む乙葉を護衛兼専属メイドに付けて、色々と教えさせようと思ったのですが、流石に一人だけでは何かと対応に融通が利きませんからね?乙葉の教育に関しては、お風呂などの屋敷での作法は既に出来てますから、後は貴方と乙葉で協力して鉄平さんに奉仕なさい」
(恐らく男性と混浴の)お風呂での作法という乙女にはきつい言葉を敢えて聞かなかったことにして、ニーナは他の気になる情報を聞き返す。
「え!?乙葉ちゃん、もう昨日の魔術師協会に依頼されたって言う悪霊退治終わったんですか?」
「ええ、アナタと同じで非常に優秀な子です。途中で思わぬ反撃に遭って負傷したらしく今は出迎えに出ていませんが、明日の朝からは普段通りに動けると担当医の診断が成されました。だから、彼女と後、隠密魔法に長けたクロエあたりを専属にして、日本の特殊な魔法育成場所に通わせる事を考えていたのです。(……本当は鉄平さんには安全なこの屋敷に居て貰いたいですが、どうやら日本の反魔法団体(一般人には判別不可能な人型魔者集団)の動きが怪しいですからね。少しでも優秀な、信頼できる人材を派遣しなくては……)」
今度はなんとか心の声を漏らさない事に成功した美琴は、孫の暮らしている日本の一般中学校に潜入捜査をしている隠れ魔法師(公表されている魔法師は魔法師だが、普段一切魔法を使わないで生活している魔法師は隠れ魔法師と呼ばれている)の村雨乙葉の素性を孫に明かし、序に実力的(忠誠面ではこの屋敷の人間の忠誠を疑うことはしない。雇用段階で素性を調べ上げているから、怪しいものは居ないと確信している)に信頼する二人を、一人は友人として、一人は隠密として守護させれば孫の安全は保証されると確信しているので、キナ臭い動きのある日本に魔法師として通わせる事を決めたのだ。
この事は夫、泰三にも打ち明けており、渋々ながらも月に一度位は長距離転移が可能なゲート(扉魔法)を開発できたらという条件付きで了承してもらっている。そして、空港から屋敷まで100キロ近い距離を移動できるゲートが先日完成したので、条件もクリアされた。
準備はほぼ整ったと考えていいだろう。
「貴女とクロエ、乙葉がタッグを組めば条件付きの戦闘なら近衛の一人とも十分に勝機があると私は考えていますからね。向こうの育成機関でも驚異を十分に跳ね除ける事は出来るでしょう。今鉄平さんが通っている中学の霊的、魔的な悪影響のある物は乙葉でも十分に排除は出来ているらしいですから、貴女とクロエの本番は育成機関……魔法学園に入ってからの事になります。その前の中学の後半年間は謂わば骨休めと向こうでの友人探しにでも使いなさい」
「……こちらでの魔術師協会の依頼はどうしましょうか?なるべく他の組織では手に負えないような依頼を率先して片付けて居ますけど、それでもまだまだ新興魔法師団体やBクラスの魔術師では対処できない魔者が少なくないですよ?」
「……」
ニーナの問いに僅かに眉間のシワを濃くした美琴は、ふと倒れて気を失っている鉄平を見てからニーナに質問する。
「……ニーナの分析から、その依頼の魔者は貴女と乙葉、クロエが居る状態で、まだ卵にすらなっていな鉄平さんを護りながら遂行できる依頼はありますか?私と泰三さんの血縁なら、例え魔法が使えないとしても体的には他の一般人より優れて居るはずですが、もし中途半端な魔法の才があった場合、それが身体能力に悪影響を与えない事もありません。なので、一般人と同レベルで考えて……どうですか?」
「……」
今度はニーナが黙考。
そして、黙っている間、ミューレはヒソヒソと美琴に要らない?進言をする。
「ねえ、美琴様?」
「なんです?ミューレ」
「どうせなら、友好を深める意味で、浴室では裸で接待させるってのはどうです?鉄平様も、どうせなら若い女の子が裸で背中を流してくれた方が色んな意味で元気になりますよ?あと、ベッドの中では下着のみってこと。プププ……」
「……面白半分ってのが丸分かりですよ?ミューレ。……しかし、そうですね。作法にばかり気を取られ、肝心な鉄平さんの気持ちを考えてませんでしたね。……分かりました、少々無作法ですが、これも今まで秘密にしていた事への多少の罪滅ぼしです。まあ、私がしても意味は無いということもありますがね?……考えが終わった様なので、ニーナにはその様に伝えましょう」
美琴の言葉通り、考えが纏まったニーナは、その胸に鉄平の顔を愛おしげに抱いたまま顔を上げて美琴を見据え……
「……クロエさんと乙葉ちゃんがいるのでしたら、恐らく問題はありません。乙葉ちゃんに鉄平様の護衛をして貰いながら、クロエさんに周囲の警戒を担当して貰えれば、私が単独の任務の時よりも返って安全に熟せます」
美琴はニーナの返答に一つ頷くと、命令を下す。
「それでは、鉄平さんの覚醒儀式終了後、日本に戻る迄の2週間。貴女とクロエ、乙葉の三人が専属のメイドとして鉄平さんのお世話をするということで。依頼を習熟訓練に利用して、なるべく鍛えなさい。それが貴女がたの負担を軽くする早道ですから。……それと、誰とは言いませんが先ほど進言があり、浴室でのバスローブ及び水着の着用は禁じます。バスタオルを巻くのは許可しますが、湯船に付けるのは禁止です。バスタオルの件については日本の伝統に乗っ取る形に変更しましょう」
「……誰の進言かは聞かずと分かります。……ミューレ先生!?そんなにあからさまに笑いを堪えてたら隠している意味はありませんよ!!」
美琴の横で腹を抱えながら笑い堪えるミューレに気づき、美琴の提案の進言の発案者にたどり着き、怒鳴りながら相手を睨む。
しかし、元々の実力の違いもあって、そこまで驚異に感じないミューレは、怒り顔のニーナの追求もなんのその、知らんぷりで誤魔化す。
「さ~?私はなんの事だかさっぱりだわ~?……まあ、事の原因はニナちゃんもあるんだし、ここはニナちゃんの色仕掛けで次期後継者候補の男の子を落とすチャンスだと思って……ガンバ!!」
何故か小さくガッツポーズで応援してくる悪女を睨みつつも、一度決めた事はあまり変えない(余程の間違いがあれば別だが)主の命令に、観念して「分かりました」と了承の意を示すニーナ。
ここで相手が同じ年頃の男の子だという論理を振りかざした所で、「それがどうしました?貴女も泰三さんの世話をする順番の時は水着で奉仕しているのです。同じ男性に差別はダメですよ?」と言って一蹴されるのがオチだ。
なので、ここは恥ずかしくても耐えるしかない。
その何かを決意した表情のニーナを見下ろしている美琴は、一応の救済(?)というか、ダメ押し(?)として、一言その場にいる比較的若いメイド達にも同じことを命令する。
「……そして、裸を見られる位は鉄平さんが此処に居る間は相当な頻度で見られることになるんです。これは皆も同じですよ?」
「「「は~い、可愛い男の子相手ならドンとこいデース」」」
意外と乗り気なメイド達に苦笑しつつ、頷くと、再びニーナをみやり……
「なら結構。ニーナも分かりましたね?何ならその肢体でメロメロにしても構いませんよ?」
「……///」
「まだそういう事は考えてませんか?まあ、そこらへんは任せます。泰三さん?貴方は異論ありますか?」
聞かれた泰三は顎に手をやり「う~ん」と唸りながら頷き。
「う~む、分かった。正直久しぶりに孫との風呂を楽しみにしておったが、鉄平のやつも、こんな爺より若いニナちゃんが色々としてくれた方が入浴中に目を覚ましても嬉しいじゃろ」
「それは私にも言えることです。幾ら泰三さんが何時までも若いと言ってくれていても、実際は80近いお婆ちゃんなのですから。こんな年寄りと裸の付き合いをするよりも、若い者同士の方が健康的ですからね」
泰三の意見に美琴も賛同してから、ニーナの方を向くと。
「そう言うことで、ニーナ?入浴中は精一杯鉄平さんのお世話をすること。……心配しなくても、鉄平さんも所詮は15歳の中学生。女の子に興味はあろうと、そこまでする勇気は無いでしょうから、裸を見られたり、興奮した際に体を抱きしめられる程度です。貴女はキスをして差し上げる位で舞い上がって手玉に取れるでしょう。そして、ベッドの上で優位に立つ条件を揃えておき、いざと言う時に備えておきなさい」
物凄く悪女の養成法を伝授してくる主に、ニーナは覚悟を決めて返事をする。
「……分かりました。鉄平様のお世話、確かに仰せつかりました……」
項垂れながら命令を承諾するニーナであった。
「では、鉄平さんが目を醒ます迄皆は各自のやり残した事をやっていなさい。それから、ミューレ。一応はニーナの監視と鉄平さんの容態の管理の為二人に付いて浴場の横のモニタールームで待機。序に鉄平さんの霊子の回復状態を見ながら、もし今日中には色々な説明は無理だと判断すれば、目を醒ましても休ませなさい。そしてニーナはその場合鉄平さんに張り付いて看護すること。明日には乙葉が加わるので、交代時間を予め決めれば負担は減るでしょう……良いですね?」
「はーい。了解でーす」
「でーす……」
更なる指令を受けたニーナは、もはや逃れられない運命にあった。