例えばそれは
窓の外を見る。
青い空が切なくなるほど綺麗。
とりあえず、今ではそれほど嫌いじゃなくなった。
まぁ、雨の日だろうとどんな日だろうと、悪魔の攻撃は続くからだ。
諦めの境地と言ったところだろう。
この年で到達したくはなかった。
もう少し青い春を過ごしておきたかった。
とりあえず、愛しい思い人が出来るまでは。
けれど、やはり現実はどこまでも優しくない。
そっと牙を剥くのだ。
特に、僕のように平凡に生きたいと思う人間に限って。
それが世界の摂理。
アダムとイブが背負った現在の由縁。
けれど、僕は思う。
なぜ、僕達までもが罪を背負わなくてはならないのかと。
罰を下すならば、その本人達でかまわないはずだ。
なのに、なぜ!!
「黄昏姿の都君はそれはそれで素敵……ぽっ。」
そう、とりあえず、こんな状況にならなければならない理由なんてないはずだ!!
視線を戻す。
悪魔の手先は、僕の膝に座りがっちりとしがみついている。
ほとんど寄生虫のような物だ。
おまけに、周りからは生暖かい目で見られている。
とりあえず、これは僕の趣味ではない。
こんな羞恥プレイなんて、全く持って好みじゃない。
むしろ、むっつりな僕は、二人きりの密室で、いろいろ……
て、何を言わせるか!?
むぅ、これが寄生虫の害毒なのか。
精神すら寄生するとは、なんとも恐ろしい。
とりあえず、殺虫剤はないだろうか。
とはいえ、期待なんて全くできないが。
きっと、そんなもので倒せるようなものなら、誰も苦労しない。
きっと幸せなはずだ。
なのに、こうして、深い悲しみに、絶望にいると言うことはそう言う事なのだろう。
「なんだかんだ言っても、あつあつだな、都」
そして、さらに追い打ちをかける我が友。
あぁ、どこにも仲間はいない。
助けは期待できない。
まさしく、四面楚歌。
例えば、それは、孤城に一人佇む、没落王家の主と言ったところだろうか。
て、意味がわからないか。