築き上げた空
「ねぇねぇ、何で空って青いんだと思う?」
隣にいる少女は唐突にそう尋ねてきた。
暖かそうなファーつきのコートを来ている。
とりあえず、それは完璧に校則違反なんだけど、誰もが彼女に関しては容認している。
まぁ、彼女に文句をいえるような人はいないのだ。
それに一応、今は校外。
その時点で文句は言えない。
言ったところで、さっき持ってきてもらった。
そう言えばおしまいだ。
まぁ、それ自体が事実なんだから、どうしようもないけれど。
とりあえず、さっき黒塗りのロールスロイスのリムジンに乗った人が彼女に渡していた。
それに乗って、さっさと帰ればいいようなものを、しっかりと僕にくっついている。
まぁ、僕も今はそれを容認しているけど。
だって、暖かいんだもん。
やっぱり、冬場は寒くて敵わない。
だから、どうしても、この悪魔をカイロにしたくなる。
べったりとくっついてくれるから、本当に暖かい。
もちろん、そんな状態だから、いつもよりもちょっぴり優しい。
当社比1.5倍って感じだ。
まぁ、どんな感じだ、って感じだろうけど。
それよりも、彼女の問いかけに答えなくちゃいけない。
とはいっても、それは問いかけと言うよりも確認なんだろう。
そんなニュアンスを匂わせるような問いかけをしている。
まぁ、もちろん、僕はなぜ青いかは知っている。
「色の散乱でしょう?」
まぁ、そういう事だ。
とりあえず、これぐらいは常識だ。
「ぶぶー、あたし達みたいな青い果実達の思いが詰まってるからでした」
が、あっさり、切り捨てられた。
というよりも、なんだ、それ。
「ごめん、それ普通に寒い」
すさまじく寒い。
なんというか、もうとりあえず、ありえないほど寒い。
しかも、はにかみながら、どうだと言わんばかりの顔をしているから余計にだ。
「というか、これ以上一緒にいると凍えちゃいそうだから、帰るね」
もう、これ以上一緒にいる気はうせた。
とりあえず、これ以上一緒にいると凍え死にそうだから。