ギンノヨル
凛として、冷たい空気が漂う夜。
そんな日は空がとても綺麗なのだ。
そして、そんな夜は僕は大好きだった。
一番の癒しだった。
まぁ、それを言うと、すぐにナルシストだなんていわれるけど。
とはいえ、それは否定はしない。
とりあえず、変なところで、そんな気のある僕だから。
と、それはいいとして、本当に星が綺麗だ。
こんな日は、あったかい緑茶でも飲みながら、団子を食べたりするのもいいだろう。
ちょうど戸棚にみたらし団子があったし。
それを取ってくると、ベランダに出る。
大きな満月が僕達を照らしている。
僕は、それを眺めながら、お茶をすする。
まさしく、これこそ日本の夜の過ごし方だ。
うむ、風流。
そんな事が頭の中で浮かぶ。
だけど、次の瞬間、あの悪魔の哄笑が脳裏に浮かんだ。
こうして、のんびりとしているところに、いきなり現れて、
『さぁ、夜は始まったばかりよ、めくるめく快楽の日々を!!』
なんていっている様が、だ。
もう地獄だ。
とりあえず、すぐにでも、払拭しないと。
お茶をすすり、団子をほおばる。
途端に、心が落ち着く。
やはり、日本人には、日本人らしい姿をしているときが、一番落ち着く……
「やはり、日本の夜と言えば、夜這い。さぁ、今こそ、あたしの帯を取って、回してください!!」
わけないか。
どうして、こうお約束のように出てくるのだろう。
まぁ、彼女だから、といわれれば、おしまいと言えばおしまいだけど。
はぁ。
とりあえず
「お断りだ!!」
ベランダから飛び降りて、逃げるのだった。