千切れて流れて
誰もいない放課後の教室。
既に窓から差し込む日の光は赤く、夕暮れ時である事を表している。
そして、目の前にいるのは、見目麗しき美貌の少女。
しかし、それは表だけで、中身は絶望的なほどまでの悪魔。
その悪魔は涎を垂らさんばかりに僕の事を舐めまわすようにして見ている。
その逆に、僕は、動けないでいる。
いや、そもそも動けるわけがないのだ。
両手両足をしっかりと縄で縛り付けてくれてるし。
おまけに、助けを呼ばせないつもりなんだろう。
猿轡までしっかりとかませている。
つまり……
彼女は、ついに禁断の世界へと渡ろうとしているのだ。
「もがーもがー!!」
とりあえず、一生懸命になって助けを呼んでみる。
だけど、やはり無駄な事。
言葉にならず、ただ虚しく教室に響くのみ。
そんな僕を目の前にして彼女は、怪しく笑い
「大丈夫。すぐに、もう何も考えられなくなるから。ただただ、快楽を味わうだけの生きた蝋人形になるだけだから」
そう耳元でつぶやく。
途端に、身体に悪寒が走る。
やはり、彼女は、この僕の身体を骨の髄まで味わうらしい。
このもぎたて果実をいただこうという心積もりなのだろう。
くそ、やはり、油断したのが失敗だった。
一瞬の隙を突いて、まさかクロロフォルムを嗅がせるとは!!
今でも、悔やまれる。
だがしかし、そんな事を言っていても何も解決しない。
とりあえず、打開策を考えなくて……
「ひい!!」
そう思ったところで、彼女がそっと服の中に手を忍ばせてきた。
もうそれはそれはいやらしい手付きで、僕の上半身を撫で回す。
「あぁ、やっぱり、都君の肌って気持ちいいわ。もうぞくぞくしちゃう。じゅるり」
しかも、当の本人は完璧にトリップしている。
もしかしないでも、麻薬でもやっていらっしゃるのでしょうか?
いや、もうきっとやっているに違いない。
そうじゃなきゃ、こんなことするはずがない。
とりあえず、そう言う事に決定だ。
よし、これで、解決……
て、違うわ!!
まずは、この状況を
「もう、全部が煩わしいわ!!脱がしちゃいましょう!!」
「ひぎい!!」
縄を解き、もう服を破り捨てる。
もうなんだか、その姿は男らしすぎる。
というか、僕の制服が……
びりびりに破れ、窓から、ひらひらと風に乗って、流れていく。
これは、つまり……
「いやぁぁぁぁぁぁ!!」
とりあえず、あられもない姿と言うわけでして……
下着姿とか……
しかも、男だし……
こんなのじゃ、視聴率稼げませんよ!!
もう、僕の中でも壊れてしまった。
「うへへへ。大丈夫。最初は痛いかもしれないけど、すぐに良くなるから」
しかし、そんな僕よりも、もっと壊れた彼女。
もう既に、女を捨てたのだろう。
涎を垂らし、変態おやぢさながらの姿をして、僕の下着に手をかける。
そこは、最後の砦。
これが取られたら、きっとこの小説は終わりだろう。
なら、どうする。
どうする、俺!!
て、それはライ○カードだ!!
今は、そんな冗談を言っている場合じゃないと言うのに。
くそ、とりあえず……
肉を切らせて骨を断つか。
「愛してるよ、結奈」
僕は、泣く泣く、彼女のそう言うとキスをする。
とりあえず、これで……
「はぅぅぅぅぅ。幸せぇぇぇ」
隙は作れるだろう。
僕は、カバン等を取ると、その場から去る。
とりあえず、その途中で会った人達には変態扱いされてしまったが。
……もう、やだ。