わたくしがお相手致します。
それはいつもどおりの放課後の事だった。
普段と変わらず我が友と賭けをしていた。
今日はトランプ。
その中でも、五枚大富豪と言う奴だ。
とりあえず、最初に五枚ずつ持って、出せなくなったら、一枚ずつ引き、最終的にゼロ枚になれば勝ちと言うシンプルな賭け。
オッズは一枚残りに付き十円。
つまり、三枚残ったら三十円って言う事だ。
そして、ただいま、僕の驀進中。
圧勝中と言う事だ。
別にいかさまはしていない。
何回か負けを喫してもいる。
ただ、勝つときの僕の勝ち方が圧倒的なため、どんどんたまっていっているのだ。
「ほい、これで、また俺の勝ち。いや、ついに500円の大台に乗りましたな」
そして、また勝利。
にやりと笑ってそう言ってやる。
賭け金額にしては大した事はないけど、それでも、オッズの低さからするとかなりの配当だろう。
50倍だし。
「く、くそ……」
その歯がゆさに我が友は奥歯をかみ締めている。
相変わらず、運のない男だ。
まぁ、運があれば、こんなところで、こんなしみったれたような事をしなくてもすんだだろうが。
とりあえず、素材はいいわけだし、うまくやれば、彼女の一人や二人すぐにできるだろうし。
まぁ、それができないのが、我が友だけど。
「さぁ、降りるか、乗るか、どっちなんだ?」
そして、さらに詰め寄る。とはいえ、もうこれ以上はやらない事は目に見えている。
引き際と言う物をしっかりと知ってるし。
もし、ここで、続けたら、もう後はずるずるとなる事は目に見えている。
「ちっ、降りるよ」
そして、僕の予想通りに降りた。
まぁ、それでなくちゃ僕の友なんてやってられないけど。
それはいいとして、ちゃっかりと賭けの代金をもらう。
まぁ、これでジュースでも飲むか。
せっかくだから、我が友にも奢ってやるか。
なんと言っても、僕は優しいから。
そんな事を思いつつ、立とうとした。
けれど、それよりも早く
「今度は私がお相手致します」
にこりと笑って、一人の少女が座る。
とりあえず、言わずと知れた悪魔さんだ。
「そして、私が勝ったときは、一日中一緒にいてもらいます。もちろん、夜も……じゅるり」
そして、その悪魔はにやりと笑うと恐ろしい事を言ってくれる。
つまるところ、僕の貞操を差し出せ。
そういう事なのだろう。
だが、甘い。
今日の僕は、とりあえず絶好調。
しかも、その気になれば、いかさまだって出来る。
ならば……
「分かった。その代わり、僕が勝ったら、僕の事を諦める事。いいね?」
にやりと笑って、それを受ける。
彼女もこくりとそれを頷くところ、かなり自信があるのだろう。
だが、今日は、僕の勝ちだ!!
そう勢い良く念ずると、いかさまをするべく、カードを切って、勝負を始めた。
そう始めたのだ……
だけど……
結果だけ言おう。
負けた。
これでもかって言うぐらいに負けた。
こちらが、いかさましているはずなのに、負けた。
そして、あっさりと僕は陥落した。
そんな僕の姿を見た友は笑っている。
ちなみに、その後どうなったかと言うのは、また別の話しだ。