陽炎
ぼんやりとしながら、僕は、窓の外を見た。
とりあえず、今は授業中。
なので、比較的平和だ。
平和じゃない学校なんて、ものすごく嫌だが。
まぁ、だからと言って、家が平和かと言ったらそうでもないし。
気がついたら、両親と仲良くなってたし、あの悪魔。
いつでも、嫁に来てね、なんて恐ろしい事まで言わせてた。
本当に恐ろしい限りだ。
とりあえず、どうにかならないものだろうか。
とはいえ、うちの両親にそんな事をいったところでどうにもならないだろう。
なんだかんだ言って心配しているのだろう。
僕の事を。
僕の性格じゃいつまで経っても恋人なんて出来ない。
それを心配して、協力しているんだろう。
まぁ、その方法があまり好ましくないが。
せめて、既成事実を作らせようとするのはどうかと思うし。
親のさせる事じゃないと思う。
とりあえず、この時期なら、親なら、させようとはしないはずだ。
責任なんてとれないわけだし。
なのに、うちの親と言ったら、ホント……
ホント変な人だ。
まぁ、そんな中でよく、僕みたいな普通な子が育ったと思うよ。
とりあえず、僕は偉大だ。
「紺野、この問題といてみろ」
「全く分かりません」
ごめんなさい、嘘です。
とりあえず、僕は偉大じゃありません。
出された問題は結局解けず、白旗。
僕が偉大だなんていう事は陽炎のように消えて言った。